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8章
2話
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「認知してくれとは、言わないわ……それは、貴方が他国民だとか、元の出自がどうとかと言うわけじゃないのよ……ただ、産まれたリッツを一目見て欲しかっただけなの。ごめんなさいね……」
レイモンドがニコルの側に立つと、ニコルは慌てて立ち上がる。
「属性も神殿で確認したわ。貴方と同じαですって……せめて、アタシみたくβだったら良かったんだけど……可愛いでしょう?貴方そっくりなのよ」
ゆっくり言葉を選びながらレイモンドは腕の中のリッツを撫でた。
「ニコル、神殿からの通知は届いているわよね?」
「はい」
「貴方は特殊なαですって……だから、アタシも子供をもてたのだけれど……この子を権力で取られてしまう前にニコルに伝えたかったのよ……」
レイモンドの言っている意味がわからないと言うニコル。
「ニコル……貴方、騎士団長さまから話を貰ったでしょう?」
「どうして……」
恐らく内々で話しがあったのだろう、王族との婚姻話。
「私が子供を持たなければ貴方にその話が行くこともなかったのよ……本当ごめんなさい」
「レイモンドさま!どうして先程からそんなに謝るのですか!」
無意識に繰り返していた謝罪の言葉。指摘されてレイモンドはハッとした。
「あ……そうね、まだ憶測だけれど少し長い話をしましょ……座りましょうか」
立ったままだったと、レイモンドはそのままソファーに腰掛ける。
座りなさいと、自分の隣をポンポンと叩いてみせるとニコルはおずおずと腰を下ろした。
「アタシに子供が出来た事を知ったアタシの親……が、調べたのでしょうね……だって、アタシはβだもの子供ができる筈なんてないのだから」
レイモンドはゆっくりと言葉を選びながらニコルに話す。
「どうしてももう隠せない所まで来て騎士団を辞めたの。辞める前には何処で産もうか考えて、でも頼れる知り合いは居ないしそれでも何処か屋根のある所が必要だったから、生まれ育ったこの家に来たのよ……持ち主はアタシだけど、管理していたのは別の人だから、療養すると伝えてね……そうしたら、持ち主がアタシの事を調べたみたい……いい迷惑よね」
レイモンドは矢継ぎ早に喋る。
そして、一息いれるようにティーカップの紅茶を口にした。
「ニコルには悪い事をしたと思っているの。貴方に何も言わずに産むことを決めてしまったから……でもね、後悔はしていないのよ。
アタシ……家族が欲しかったのかもしれないわ」
腕の中で大人しくしているリッツ。
「俺では駄目だった?俺ではレイモンド様の家族にはなれないですか?」
ニコルの低く押し出すような声にレイモンドはリッツから顔を上げる。
そこには今にも泣き出しそうなニコルがいた。
レイモンドがニコルの側に立つと、ニコルは慌てて立ち上がる。
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「ニコル、神殿からの通知は届いているわよね?」
「はい」
「貴方は特殊なαですって……だから、アタシも子供をもてたのだけれど……この子を権力で取られてしまう前にニコルに伝えたかったのよ……」
レイモンドの言っている意味がわからないと言うニコル。
「ニコル……貴方、騎士団長さまから話を貰ったでしょう?」
「どうして……」
恐らく内々で話しがあったのだろう、王族との婚姻話。
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「レイモンドさま!どうして先程からそんなに謝るのですか!」
無意識に繰り返していた謝罪の言葉。指摘されてレイモンドはハッとした。
「あ……そうね、まだ憶測だけれど少し長い話をしましょ……座りましょうか」
立ったままだったと、レイモンドはそのままソファーに腰掛ける。
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「アタシに子供が出来た事を知ったアタシの親……が、調べたのでしょうね……だって、アタシはβだもの子供ができる筈なんてないのだから」
レイモンドはゆっくりと言葉を選びながらニコルに話す。
「どうしてももう隠せない所まで来て騎士団を辞めたの。辞める前には何処で産もうか考えて、でも頼れる知り合いは居ないしそれでも何処か屋根のある所が必要だったから、生まれ育ったこの家に来たのよ……持ち主はアタシだけど、管理していたのは別の人だから、療養すると伝えてね……そうしたら、持ち主がアタシの事を調べたみたい……いい迷惑よね」
レイモンドは矢継ぎ早に喋る。
そして、一息いれるようにティーカップの紅茶を口にした。
「ニコルには悪い事をしたと思っているの。貴方に何も言わずに産むことを決めてしまったから……でもね、後悔はしていないのよ。
アタシ……家族が欲しかったのかもしれないわ」
腕の中で大人しくしているリッツ。
「俺では駄目だった?俺ではレイモンド様の家族にはなれないですか?」
ニコルの低く押し出すような声にレイモンドはリッツから顔を上げる。
そこには今にも泣き出しそうなニコルがいた。
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