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1章
8話
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あー…びっくりした。
抱き締められたのなんていつぶりだろうか。
まだ、心臓がドキドキしている。
胸の辺りを押さえてゆっくりと深呼吸すると何とか動悸が治まって来たような気がした。
触れあう事も見ることもできないから、どんな方か声しかわからない。
それでも今日触れられて、自分よりは背が高く、がっしりとした体型で、優しい声音。
ふわりと薫るのは香木で、滑らかな布地と香りに身分の高さが伺えた。
ただ、知らないのはあの方の名前。
呼ぶことも無かったために聞いていなかったが…え。
私の名前を呼んだ?
気のせい?
ドキドキしてしまってよく覚えていない。
持ってきてくれた菓子は甘い焼き菓子だった。
1人では食べきれないため、隣の家のミルさんにお裾分けをすると、大層喜んでくれた。
甘いものはあまり頻繁には口にできない。
俺は薬師だから、蜂蜜などを混ぜて薬にしているため、それなりには触れあう事もあるがこの焼き菓子に使われているのは砂糖。
以前から持ってきてくれていた菓子に使われていたが、こんなに頻繁に持ってきてくれると、申し訳ないと思ってしまう。
ミルさんに、どうしたんだい?と、聞かれたから、以前に助けた方が身分かあり支払いついでに来てくれたからと説明したら、ミルさんは豪快に笑うと私も行き倒れがいたら助けなきゃねぇと背中を叩かれた。
行き倒れなんて物騒なもの要りませんよと笑うと、そりゃそうかと焼き菓子の代わりに小麦の粉を練って焼いたものを貰う。
これに煮物があれば明日の食事になるなぁなんて考えながら水を汲んでから室内に戻った。
明日も来てくれると言っていたが、本当に来てくれるのだろうか。
1人になると、その事ばかり考えてしまう。
寝台に入ると、早く明日が来ないかななんて考えてから、明日が来るとは限らないと頭を振った。
期待だけさせないでください…お願いします。
抱き締められたのなんていつぶりだろうか。
まだ、心臓がドキドキしている。
胸の辺りを押さえてゆっくりと深呼吸すると何とか動悸が治まって来たような気がした。
触れあう事も見ることもできないから、どんな方か声しかわからない。
それでも今日触れられて、自分よりは背が高く、がっしりとした体型で、優しい声音。
ふわりと薫るのは香木で、滑らかな布地と香りに身分の高さが伺えた。
ただ、知らないのはあの方の名前。
呼ぶことも無かったために聞いていなかったが…え。
私の名前を呼んだ?
気のせい?
ドキドキしてしまってよく覚えていない。
持ってきてくれた菓子は甘い焼き菓子だった。
1人では食べきれないため、隣の家のミルさんにお裾分けをすると、大層喜んでくれた。
甘いものはあまり頻繁には口にできない。
俺は薬師だから、蜂蜜などを混ぜて薬にしているため、それなりには触れあう事もあるがこの焼き菓子に使われているのは砂糖。
以前から持ってきてくれていた菓子に使われていたが、こんなに頻繁に持ってきてくれると、申し訳ないと思ってしまう。
ミルさんに、どうしたんだい?と、聞かれたから、以前に助けた方が身分かあり支払いついでに来てくれたからと説明したら、ミルさんは豪快に笑うと私も行き倒れがいたら助けなきゃねぇと背中を叩かれた。
行き倒れなんて物騒なもの要りませんよと笑うと、そりゃそうかと焼き菓子の代わりに小麦の粉を練って焼いたものを貰う。
これに煮物があれば明日の食事になるなぁなんて考えながら水を汲んでから室内に戻った。
明日も来てくれると言っていたが、本当に来てくれるのだろうか。
1人になると、その事ばかり考えてしまう。
寝台に入ると、早く明日が来ないかななんて考えてから、明日が来るとは限らないと頭を振った。
期待だけさせないでください…お願いします。
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