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1章
21話
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「さて、ティア様ホウアン様も出掛けましたし、お湯はいかがですか?湯船にお湯を張りましたから…身体を温めてはいかがでしょうか」
かなりバタバタした後に、キラがレイジュを追い出して部屋にはやっと静けさが戻ってきた。
「はい…あの、場所だけ教えていたたければできますから」
「いえ、今日だけはお世話させてください、それでティア様が嫌だと仰れば後日はおひとりでお願い致しますので」
レイジュには、治療はすぐにでも始めて、治療をしている間はこの屋敷に留まって欲しいと言う。
借家や薬等をそのままにしていると告げると、薬は全てホウアンが責任を持って管理すると言ってくれた。
薬と、家に置いてあるのは少しの生活用品。
父の形見の薬研一式と、母の形見の楽器は手元に置きたい。
それと、借家の1年分の家賃の支払いをお願いした。
「全て良いようにするから、任せてくれ」
レイジュはそう言った。
私はそれに頷いて私はその手を取ったのだ。
レイジュの顔を見たい…私を慈しんでくれる人の顔を。
きっと一生かかっても返せないだろうけど、この命をレイジュに捧げよう。
「ティア様、こちらへどうぞ」
長椅子から立ち上がり、背凭れに移動してからそのまま部屋の壁に向かい、壁にぶつかったら右へ。
手摺に触れて7歩浴室の入口がある。
そこから先に手水場があると聞いた。
キラ様がゆっくりと順に使い方を教えてくれる。
それは今までと全く違った内容で、それに慣れるまでは時間が必要そうだと知った。
「服をお脱がせしますね?」
「あ、脱ぐのはできます。できることは自分でしないとしていただくのはありがたいのですが、やっぱり自分でやる方が色々とわかるので」
「わかりました、では全裸にその後に身体を洗いますので」
キラ様が喋るのを聞いて、壁に付いた手摺を掴みながら着ている服を脱いでいく。
脱いだ服は手摺を左手で握ると、正面の棚に2つ上下に並んだかごがあり、上のかごには新しい着替えが入っており、下のかごは汚れ物を入れるためのかごで、ティアは下のかごへ脱いだものを入れる。
これ入れておけば洗って貰えるとのこと。
着替えは全てティア様のものですからご心配なさらずにとキラ様に言われた。
私のもの?
その言葉の意味がわからず首を傾げるも、キラ様はそれ以上の意味を教えてはくれなかった。
1枚ずつ服を脱ぐ。
と言っても、真冬ではないため、着ているものは多くない。
袖を通し、身体の全面で布を合わせ両脇をそれぞれ紐で結ぶ上衣に、腰の辺りを通した紐で結んで調節をする下衣。
この型式だと体型が変わってもある程度融通がきくからだ。
薬を売っても多額の利益が出るわけでなく、できるだけ出費は抑えるようにしていたため、こまめに洗ってはいたものの、きっと色々なところが擦りきれていることだろう。
それが少し恥ずかしくもあった。
その下には更に擦りきれそうな白い下着。
それに、踵が合わなくなってきている草履が私の身につけていたものだった。
「ティア様、服を少しお借りしますので」
キラ様は何事もなく私が脱いだものを何処かへ持っていくようだ。
「では、風邪を引く前にお手伝いいたしますので、壁づたいにこちらへ」
服を入れるかごを避けてから右へ。
角を過ぎると数歩でまた壁が途切れていた。
「浴室はこちらからになりますので、木の扉…引き戸になっておりますのでこちらを開けて中にお入りください」
キラ様が扉を引いたのだろう、一気に空気が変わった。
湿り気を帯びた少し重い暖かい空気が身体にまとわりつく。
私はつい、手摺を握り締めてしまった。
かなりバタバタした後に、キラがレイジュを追い出して部屋にはやっと静けさが戻ってきた。
「はい…あの、場所だけ教えていたたければできますから」
「いえ、今日だけはお世話させてください、それでティア様が嫌だと仰れば後日はおひとりでお願い致しますので」
レイジュには、治療はすぐにでも始めて、治療をしている間はこの屋敷に留まって欲しいと言う。
借家や薬等をそのままにしていると告げると、薬は全てホウアンが責任を持って管理すると言ってくれた。
薬と、家に置いてあるのは少しの生活用品。
父の形見の薬研一式と、母の形見の楽器は手元に置きたい。
それと、借家の1年分の家賃の支払いをお願いした。
「全て良いようにするから、任せてくれ」
レイジュはそう言った。
私はそれに頷いて私はその手を取ったのだ。
レイジュの顔を見たい…私を慈しんでくれる人の顔を。
きっと一生かかっても返せないだろうけど、この命をレイジュに捧げよう。
「ティア様、こちらへどうぞ」
長椅子から立ち上がり、背凭れに移動してからそのまま部屋の壁に向かい、壁にぶつかったら右へ。
手摺に触れて7歩浴室の入口がある。
そこから先に手水場があると聞いた。
キラ様がゆっくりと順に使い方を教えてくれる。
それは今までと全く違った内容で、それに慣れるまでは時間が必要そうだと知った。
「服をお脱がせしますね?」
「あ、脱ぐのはできます。できることは自分でしないとしていただくのはありがたいのですが、やっぱり自分でやる方が色々とわかるので」
「わかりました、では全裸にその後に身体を洗いますので」
キラ様が喋るのを聞いて、壁に付いた手摺を掴みながら着ている服を脱いでいく。
脱いだ服は手摺を左手で握ると、正面の棚に2つ上下に並んだかごがあり、上のかごには新しい着替えが入っており、下のかごは汚れ物を入れるためのかごで、ティアは下のかごへ脱いだものを入れる。
これ入れておけば洗って貰えるとのこと。
着替えは全てティア様のものですからご心配なさらずにとキラ様に言われた。
私のもの?
その言葉の意味がわからず首を傾げるも、キラ様はそれ以上の意味を教えてはくれなかった。
1枚ずつ服を脱ぐ。
と言っても、真冬ではないため、着ているものは多くない。
袖を通し、身体の全面で布を合わせ両脇をそれぞれ紐で結ぶ上衣に、腰の辺りを通した紐で結んで調節をする下衣。
この型式だと体型が変わってもある程度融通がきくからだ。
薬を売っても多額の利益が出るわけでなく、できるだけ出費は抑えるようにしていたため、こまめに洗ってはいたものの、きっと色々なところが擦りきれていることだろう。
それが少し恥ずかしくもあった。
その下には更に擦りきれそうな白い下着。
それに、踵が合わなくなってきている草履が私の身につけていたものだった。
「ティア様、服を少しお借りしますので」
キラ様は何事もなく私が脱いだものを何処かへ持っていくようだ。
「では、風邪を引く前にお手伝いいたしますので、壁づたいにこちらへ」
服を入れるかごを避けてから右へ。
角を過ぎると数歩でまた壁が途切れていた。
「浴室はこちらからになりますので、木の扉…引き戸になっておりますのでこちらを開けて中にお入りください」
キラ様が扉を引いたのだろう、一気に空気が変わった。
湿り気を帯びた少し重い暖かい空気が身体にまとわりつく。
私はつい、手摺を握り締めてしまった。
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