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1章 旅立ち
1-11話
「王子、どうぞ?」
先に降りたアイヴィス陛下が、手を差し出してくる。
一国の王がすることではないのに。
セラフィリーアが困ったように辺りを見回しても、それに答えてくれる人はおらず、仕方ないとその手を取った。
「こちらは、通常の出入口で、謁見等をするときに入るのは違う建物からなので、今度、そちらを案内しますが今日はこちらから。通常使うのも基本はこちらだと思ってください」
馬車を降りてからすぐに段差があり、そこから入り口までずらりと人が並んでいた。
「お帰りなさいませ、陛下」
「あぁ、侍従長…家令と言えば解りやすいだろうか、ハワードだ。宮殿を総括する。何かあれば聞くといい。
こちらが、ファレナスのセラフィリーア王子だ、良く仕えるように。
そして、後ろにいるのが、セラフィリーア王子の従者…アスランだったな」
ちらりとアイヴィスが視線を向けた先には、いつものキリッとしたアスランが立っていた。
「ようこそ遠い所から。ハワードと申します」
セラフィリーアに挨拶をしたあと、アスランをちらりと見てから目礼をしたハワードは、どうぞと促す。
「歩けますか?」
アイヴィスに差し出された手をとって、歩き出そうとした瞬間、かくっと膝が崩れ前のめりに倒れそうになったのを抱き止められた。
「申し訳ありません」
「いえ、慣れない移動ですから。このままお連れしても?」
先程の馬車のデジャブ。
どうしてこんなにも陛下は気さくと言うか…
そのまま抱き上げられると、ハワードの先導のもと並んだ従者達の間をすり抜けて、扉を潜る。
建物の中に入ると、外からは解らなかった艶やかな造りに目を奪われた。
「凄い」
ファレナスの王宮とは違う華やかでも落ち着いた調度。それより吹き抜けになった高い天井にはキラキラと光を弾く色とりどりのステンドグラスが花のモチーフを象って埋め込まれていた。
「この宮で一番美しいと言われている天井です。下から光を当てると夜でも空から見えますから、飛竜達が迷いにくいのです」
知らなかった。ゲームではそんなところまでは公開されていないと思う。
「そうなのですね、素敵です」
上ばかり見てしまい、はっとしてアイヴィスを見ると思ったより近い場所に顔があって顔に血が集まったのがわかる。
「も、申し訳ありません…陛下、歩きますので…下ろしてください」
いくら自分とは違う屈強な体格とはいえ、自分だって男なのだ。軽いわけがない。そっとアイヴィスの腕に触れると、問題ないとばかりにキラキラとした笑顔を向けられてしまった。
…どうしてだ?
先に降りたアイヴィス陛下が、手を差し出してくる。
一国の王がすることではないのに。
セラフィリーアが困ったように辺りを見回しても、それに答えてくれる人はおらず、仕方ないとその手を取った。
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馬車を降りてからすぐに段差があり、そこから入り口までずらりと人が並んでいた。
「お帰りなさいませ、陛下」
「あぁ、侍従長…家令と言えば解りやすいだろうか、ハワードだ。宮殿を総括する。何かあれば聞くといい。
こちらが、ファレナスのセラフィリーア王子だ、良く仕えるように。
そして、後ろにいるのが、セラフィリーア王子の従者…アスランだったな」
ちらりとアイヴィスが視線を向けた先には、いつものキリッとしたアスランが立っていた。
「ようこそ遠い所から。ハワードと申します」
セラフィリーアに挨拶をしたあと、アスランをちらりと見てから目礼をしたハワードは、どうぞと促す。
「歩けますか?」
アイヴィスに差し出された手をとって、歩き出そうとした瞬間、かくっと膝が崩れ前のめりに倒れそうになったのを抱き止められた。
「申し訳ありません」
「いえ、慣れない移動ですから。このままお連れしても?」
先程の馬車のデジャブ。
どうしてこんなにも陛下は気さくと言うか…
そのまま抱き上げられると、ハワードの先導のもと並んだ従者達の間をすり抜けて、扉を潜る。
建物の中に入ると、外からは解らなかった艶やかな造りに目を奪われた。
「凄い」
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「この宮で一番美しいと言われている天井です。下から光を当てると夜でも空から見えますから、飛竜達が迷いにくいのです」
知らなかった。ゲームではそんなところまでは公開されていないと思う。
「そうなのですね、素敵です」
上ばかり見てしまい、はっとしてアイヴィスを見ると思ったより近い場所に顔があって顔に血が集まったのがわかる。
「も、申し訳ありません…陛下、歩きますので…下ろしてください」
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