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155話

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この街の聖樹に付いた実で不具合はなさそうだと俺はひとつひとつ確認していく。
ミトさんに、そうして欲しいのだと頼まれたからだ。
少し古くなったリボンの実に触れる。
小さな鼓動を感じて手を離す。
それをゆっくりと繰り返していた。

「じゃあ、皆で何か食べていきましょ?」

ミトさんがパンと手を叩く。
最近できた甘味処が人気なのだそうだ。

おやつの時間には少しだけ遅いけれど、夕飯には少しだけ早い。
夕飯を遅くすれば大丈夫よと笑うミトさんに勝てる人なんていないのだ。
6人で座れる外のテラス席それぞれが腰かける。
俺はリルの膝の上で、ミラはルーファスさんが抱き、ミトさんとレヴィが一緒に座っている。
ミトさんとレヴィなんて珍しい組み合わせのような気がしたけれど、話が思ったよりは弾んでいる。
あ、レヴィもルーファスさん達に育てられたんだと思い出したんだ。

血が繋がっていない子供を育てるのがどのくらい大変なのだろうか。

「リクトどうした?」

リルが俺の顔を覗き込む。

「家族なんだなぁって、思って……俺、家族と離れてもう会えないかもしれないけど、こっちに来てリルとレヴィに助けられて、恋人から伴侶になって、それからルーファスさんとミトさんが親になってくれてミラも生まれて……早く俺も子供欲しいなって思う……」
「俺もだ」
「リルにもレヴィにも似た子欲しいな……」
「たくさん作ろう……」

リルとクスクス笑っていると、レヴィの視線を感じた。

「リクトが子供欲しいってさ」

ペロリと吐露したリル。

「俺にもレヴィにもにた子供を沢山な?」
「ちょっ!」
「あらぁ、じゃあ私たちも近くに住もうかしら、ねぇダーリン?」

ミトさんが話に混ざる。

「そうだな、屋敷を譲れれば引っ越すのも大丈夫だろう」
「じゃあ、決まりね!近いうちに空き家を探しに行かなきゃ。ミラもいるから無理な移動はできないけれど、孫ができるなら願ったり叶ったりだわ!」

ルンルンしながらなにかを考えているところに、甘味が届く。
フルーツの盛り合わせや、ジュースが並んでいく。

「うわ、綺麗……」

パフェに似た甘味がキラキラと光を弾くのを見ながら、俺は頼んだ冷たいお茶をリルに取って貰う。
甘くないもの。
甘いもの食べ過ぎたら絶対に太る。
こうしてリルやレヴィ、はたまた、ミトさんにまで抱き上げられたのだから俺の重いのはばれている。
ダイエットしなきゃと思いながらも頼んだのはパンケーキ。
リルと半分この予定だけれど、絶対8割はたべるはめになる。
ダイエットは明日からかなぁなんて思いながら置かれたパンケーキを口にした。
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