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316話

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「いらないって!国家予算とか言われたら、そんな額怖くて持てないから寄付とかダメなの?ほら、学校とか……保育所とかさ、後は生活に困っている人の支援とか……研究施設への支援とかさ?リルとレヴィがいいように使ってよ」

俺は庶民だから、その日生活できるお金があって、ひもじくなければいい。

「もしくは、治水工事とか……作物栽培とか……えぇと、それから……奨学金とか……」

考えうる使い道を話していると、ギルドマスターとリルの目が点になっていた。

「こりゃ、商業ギルドだな」
「えぇ、とりあえずリクトさん此処にサインを。一気ではなく少しずつ分割での販売にしましょう。新鮮な物だと助かりますから、出していただいたのをまたバッグにいれていただいて、少しずつ販売してください、購入できる商人を用意しておきますから」

出した植物の半分以上を返されて、俺は何も考えずに植物をしまった。

「また、リクトは突拍子もねぇこと言って、ちょっと商業ギルマスんとこ行かなきゃだなぁ……」
「直ぐに手紙をしたためておきますので、返事はご自宅に着くように」
「悪いな、レヴィとも話し合わなきゃならねぇし」

二人が顔を話見合わせてから深い溜め息を吐く。
その理由がわかったのは後日なのだけれど……。

「とりあえずリクト、此処にサインな?タグは持ってるだろ?後は明日、レヴィと商業ギルド行ってくれ。今度は俺が子供達の面倒見るから。だけど、今日はこれから俺と本格的なデートな?」

「え、あ。うん……」

なぜ商業ギルドに行かなきゃならないのかその理由もわからない。
でも、リルとデートは少し嬉しかった。
もちろんレヴィや子供達と出掛けるのも嬉しいけれど、ゆっくりリルと過ごせるのも嬉しい。
さらさらと、名前を書き込むと契約は終わる。

「さて、果物見たいんだろ?他にあるか?」
「直ぐにはわからないけど」
「じゃあ、気づいた店に寄ってみようぜ?飯も食いたいし」

まだ、朝食を食べて直ぐなのにと笑いながらギルドマスターにお世話になりましたと頭を下げて部屋を出た。
もちろん抱っこは継続で。

「じゃあ、何処の果物見るんだ?」
「果物もいいけど、リルはお腹空いた?食べ歩きしようか」

燃費の悪いうちの肉食獸達。

「いいな!」
「俺はリルのを味見させてくれればいいんだけど……」
「任せろ」

鼻がいいリルは、食事ができる店の方向へと歩いていく。
きっと肉が食べたいんだろうな。俺はクスクス笑ってしまう。
そして着いたのは間違いなく串焼きのお店だった。
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