【BL】転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。

梅花

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本編

356話

「リルとレヴィは、ライが大人になるまでロウには合わせないって言ってた……ライがロウじゃなくて他に伴侶を作ると良いなって。ロウがいくら大型の狼族でもライだって熊族だからね、大人になってしまえば力では負けないと思う。それだから俺はそれもいいねって同意した。あんな事をする大人をライの傍に近づけたくなかったから。でもね、この今のライを見ると、貴方の事が嫌いじゃなさそうだから、あの時ライに酷いことはしなかったと信じてる」
「し、してねぇよ……ただ、撫でて抱きしめたくらい」
ボソッと小さな声で言うロウに、俺は腕の中のライを抱き締めた。
愛する子供を奪われた恐怖。
何も無かったのは結果論なのだから。
「もう、あんな事しないと誓える?」
「誓う、本当に悪かった……」
「まだ、殴られる覚悟はある?」
「殴られてもいい。ライに触りてぇよ……」
情けない声でそう呟いたロウ。
それは演技では無さそうだ。
「わかった、すぐじゃないけれど、そっち側に扉を付けてあげる……そうしたら、ライに会ってもいいけれど扉が付くのは直ぐじゃない。リルとレヴィが付けてもいいと思ったら付くだろうからそれまでは許されないと思って。街中で会っても声も掛けないで。遠くから見てるのも駄目。約束できるなら二人に扉を付けるように話してあげる」
「頼む!」
ロウはその場で土下座しそうな勢いで頭を下げる。
ガツッと何かが柵にぶつかった音がしたのは、ロウの頭だったのかもしれない。
「でも、今日はもう帰って……」
突き放したくても、俺の優柔不断な性格からロウを突き放すことが出来ない。
だから、せめて踵を返して背中を向けた。
「ライ、おうちに帰ろうか」
ロウに聞こえるように言いながら、ライを抱き締める。
ライは小さくキュウと鳴いたが、俺の腕の中でじたばたと暴れることは無かった。
ちょんと冷たいライの鼻先が俺の頬に触れた。
「ライ、大好きだよ……」
今思い出しても心臓が潰れそうになる。
そんな気持ちを知ってか知らずか、ライは庭に出る度にロウがいたあの場所の近くに座り、前の通りをぼんやりと見る事が多くなった。
遊具で遊ぶこともあるが、まるでロウを待つような仕草を見せる。
その事をライはずっと覚えていて、大きくなってからずっとずっとロウを待っていたのだと聞いたのは、また別のお話。
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