【BL】転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。

梅花

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本編

412.5話 リル視点

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家を建てるつもりが、どうしてこうなった。
聖樹の苗木が手に入ったのはいい。
伴侶のリクトは嬉しそうだし、子供たちも走り回るようになったから少し手狭になるだろう。
それに、リクトもレヴィももうひとり子供が欲しいと既に結ぶためのリボンは出来上がっている。
だが、リクトが親父たちが戻ってきたら結びたいと言っていたため、子供ができるのは少し後になるだろうとは思っていた。
庭付きの大きな家を建てるかという話になった所で家族になった苗木もとい、シャーラを庭に植えたいのだろう。
聖樹が庭にある家なんて今まであったのか?
無くはないか。
街ができた所に聖樹がある。いや、聖樹があるからそこには街が出来たのた。
俺たちはリクトがやってみたいと言うことに異議を唱えない。力を貸すことはあってもだ。
だから、家を建てる候補地をレヴィに掛け合って貰うようにギルドに送り出したのだが、レヴィがギルドから提示された土地は三ヶ所。
しかも、一ヶ所は俺たちが良く知る土地だった。
おそらく力が動いている……いや、恐らくでは無いな絶対だ。
だから、レヴィから聞いた瞬間に顔を見合わせてしまった。
いや、俺もレヴィも文句はない。
湖のすぐ側に建つ家ごと譲ってくれると言うのだ。
しかも、聞いたところ破格の金額でだ。
金に困っている訳では無いのはわかるが、それはどうなのだろうか……。
湖に、船着場もある。
俺たちの二手、三手先を読んでいるのかと思うと、少し嫌になるがリクトがいいなら仕方ないな。
避暑地として有名なその土地は、子供たちを育てるのにも良い環境だろう。
「なぁ、リクトはどうするだろうな」
子供たちを撫でているレヴィに問い掛ける。
「……シャーラが望めば……だろうな。だが、流石に俺たちじゃあの屋敷は維持できないぞ?」
「だよなぁ、どうするか」
「まぁ、今ここで話し合っても仕方無い。リクトが目を覚ましたら……と言うか、実際に見て貰ってからだろうな」
まだ、獣車はガタゴトと揺れている。
隣で眠っていたリクトが一瞬寒そうに毛布を抱き締めた。
「まぁ、決まらないかもしれねぇしな」
「あぁ」
俺は、服を脱ぎ始め獣体に変化する。
少しキャリッジの中は狭くなるが仕方無い。
眠るリクトに寄り添ってやると、無意識だろう身体を擦り寄せて気持ち良さそうに笑みを浮かべる姿がいつになっても可愛らしい。
「シャーラ、お前の意見も聞かなきゃな?」
端の方に鎮座する、聖樹の苗木は気持ち良さそうに葉を揺らした。
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