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本編
413話
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街道から少し外れた場所に獣車を止めてあり、なだらかな芝生が続いている。
「あの、あちらに休憩所がありますので」
御者さんの指した先には休息できるような四阿がいくつか点在している。
「ありがとうございます、ルス、ライ、どこで休憩しようか」
「ここ!」
ルスが指したのは芝生の上。
四阿があると言うのにだ。
「わかった、いいよ。じゃあ、お手伝いしてね?」
俺はインベントリーから大きめのレジャーシートを取り出した。
布の上に汚れないように防水の薬剤を塗って干したもの。
「ルスはここ、持ってね?あー……上に座っちゃってもいいよ?ライはママと一緒にこっちに来てね?」
ルスにレジャーシートの端に座ってもらい、残りをライと広げて行くと後ろから追いついた伴侶ふたりがそれを手伝ってくれた。
大きく開いたレジャーシート。
「ありがとう、ルスもライもおいで?ママのお弁当だよ」
靴を脱いで、レジャーシートに上がるとインベントリーから皿や食事を出す前に、石鹸と水を取り出した。
「リル、子供達の手を洗ってあげて?本当はウェットティッシュがあるといいんだけどね」
「ほら、双子順番にこっちに来い」
リルに呼ばれて双子が抱きついてリルは困ったように一人ずつ掴まえて手を洗う。
「俺も洗って、リルもレヴィもね」
「おぅ」
洗った手を拭いてから、二人の御者にも手を洗ってもらいレジャーシートに座ってもらった。
「じゃあ、一人一枚お皿をどうぞ?」
「ありがとうございます」
「じゃあ、おふたりは食べ慣れない料理かもしれませんので、無理なさらず食べられるものをどうぞ」
バスケットを取り出し開くと、いつもと同じメニュー。
おにぎり、サンドイッチ、唐揚げ、卵焼き。
アスパラ巻き、白身魚のフライ。
インゲンの胡麻和え、ピーマンの肉詰め。
家を離れるからと野菜は全部鍋に入れてスープにしたのと、作り置きをしていた煮物も全部持ってきた。
作り過ぎたと思うくらい作ってしまったお弁当を出していく。
こんな時には本当に何でも入るインベントリーは便利だ。
しかも、入れた時のままの状態を保ってくれているから、まだスープは熱々だ。
「どうぞ」
フォークを渡してから、俺は子供用の皿を手に少しずつ取り分けをしてやる。
リルたち肉食獣に合わせてどうしても作るものは肉や揚げ物中心になってしまう。
でも、あれだけ食べても太らないのは……解せぬ。と、思う。
「これ、スープですがいかがですか?御者台は寒いでしょ?」
木で作ったスープマグにスープを入れると御者さんたちに先に手渡す。
「いただきます」
「美味しい」
そう言ったふたりにほっこりする。
「リルとレヴィにもね?」
「朝からこんなに作ったのか?」
レヴィがマグを受け取る。
「こっちは作りおきだしそんなに大変じゃないよ?夜に作って入れたのもあるし俺が楽しみで眠れなかったからさ」
俺はペロリと舌を出して見せた
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俺はペロリと舌を出して見せた
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