【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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93話

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それから、伯爵家にミゲル様を招いて夕食にし、何やらお祖父様とミゲル様は話をしながらお酒を飲み始めたため、俺はそっと部屋に戻った。
漸く今までと同じ生活が戻ってくる。
そう思っていたのだが。

いつものように日記を書いて、眠ろうとした頃、扉にノックがある。

「サハル、起きているか?」

ミゲル様の声だった。

「あ、はい」

慌てて俺は扉を開けた。
お祖父様と話をしているものだと思っていたから。

「どうぞ?」
「いや、時間があれば少し散歩でもどうかと思ったのだが」
「こんな格好でいいですか?」

眠る前だったため、既に寝着なのだ。
本来ならば外に出るような格好ではない。

「構わないが、寒くないか?」
「大丈夫です」

俺はその格好のまま部屋を出る。
ミゲル様に自然に手を取られておやっと思いながらもそのまま歩く。
並んで歩いてもぶつかることがない広さの廊下を抜けてから階段を降りて外へと出た。
中庭は足元は明るく照らされており、ミゲル様の手にはいつの間にかカンテラがある。
ゆらゆらとオレンジ色の光が揺れる。

「ミゲル様、座りましょうか…こちらに」

知っているだろうけれどと思いながら庭を案内していく。
そして、あるベンチで足を止めた。
良くお祖父様が座っているベンチ。
いくつもあるベンチで唯一此処にお祖父様は座る。

「サハル、あちらに座ろうか」

ミゲル様の手が腰に回されてやんわりと違うベンチへ向かい腰を下ろした。
並ぶようにして座る。
数日の事なのに随分ミゲル様と離れていたような気がする。
いや、討伐遠征があったから、長くは一緒にいなかったけれど。

「ミゲル様、お休みをいただいて申し訳ありません近いうちに戻りますが、体調を崩されてはいませんか?」

繋いでいた手からそっと魔力を流して回復をかけるが、特に病気や怪我は無いようだった。

「大丈夫だが、早めに帰ってくれると有り難い…」
「はい、お祖父様が大丈夫だと仰いましたら直ぐにでも」

これ以上神殿からの要求が無ければいいとは思うが、魔石の事もある。
簡単にはいかないだろうが……。

「そうか、神殿から何かがあれば、俺が守る。俺だけでなく騎士団が……な」

ミゲル様を見ると、何故か視線を逸らしているが、きっと庭を見ているのだろう。

「ありがとうございます、俺も騎士団の為に頑張りますから!」

ミゲル様を守ることが騎士団を守ること。
ミゲル様はお強いから俺ができることなど少ないだろうが、それでも何か力になれればいいなと少し思った。
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