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102話
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「サハル……話をしようか今夜は長くなるかも知れないから、俺の部屋でいいか?」
俺はこくりと頷いた。
ミゲル様は何の話をしてくれるのだろうか。
ミゲル様の部屋に入ると、並んで寝台に腰掛ける。
そしてミゲル様は何か考え込むとゆっくりと口を開いた。
「まず、サハルの聞きたいことがあれば答えよう」
そう言われて何から聞けば良いのか悩んでしまう。
「ミゲル様……結婚をされないというのは……」
まず、最初に聞きたかったことだ。
「騎士団は、結婚を認めていないわけではないがかなり昔は家庭を持つことを禁じていた時もある」
そう、ミゲル様は話し始めた。
騎士団へ入団するのは平民や貴族でも三男以降。
要するに家を継げない者達やその給金をあてにする者が多かったらしい。
一夫多妻の世界のため、どうしても男が余る。だから継ぐ家がない男児は成人をする前に手に職をつけることをして家を出る。
騎士団という狭い世界だが、やはり騎士同士で懇ろな仲になる場合もある。
家庭を持つことを禁じられていた騎士は兄弟と名前を付けた絆を結ぶことで家族を得たのだと、ミゲル様は話してくれた。
それでもミゲル様が結婚をしない理由にはならない。
今は認められているのだから。
「ミゲル様に何か……ご事情が?」
聞いてしまってもいいのだろうかと、ちらりとミゲル様を見ると何故か満面の笑みだった。
「事情は無いが、サハルがしてくれるのなら式を挙げてもいい」
と、爆弾を落として下さった。
「えっ!?」
「……今までそういう出逢いが無かったのもあるが、俺と縁を結ぼうというのも居なかった」
そう言って笑ったミゲル様は、続けた。
「それに、縁を結ぶなら自分が尊敬できる人だと決めていた」
「尊敬ですか」
「ああ」
並んで座ると少しだけ視線が近くなる。
肩が触れる距離。
いつの間にかそっと腰を抱かれていた。
「俺は尊敬されるような所はありませんよ……ミゲル様こそ、俺は尊敬します」
「そうか?それこそ俺に尊敬されるところは無いと思うが?」
「ミゲル様、尊敬されるからこそ団長になられていらっしゃるのですよ……誰もがなることができるものではありませんから。だから俺も騎士になることができて幸せです。まだ、見習いですが」
今、思い返せば騎にならなくても働く事はできた。
癒しの力を使える職種なら医者でいいのだ。
それなのに騎士になりたかったのは、少しの後悔とミゲル様の傍にいたかったから。
それが最初は愛情ではなかったとしても。
いつからだろうか、自分の気持ちが愛しいに変わったのは。
「見習いでも騎士は騎士だからな、決して昇格には私情を挟むつもりはないが、サハルならば直ぐに騎士になってさしまうだろう。シグルドやサディ、ラーシュまでお前の虜だ」
「そんなこと!」
「必要以上にサハルをー気にかけてはいる」
「そうですか」
確かに思うところはあるけれど。
特別にしてもらってはいないと思う。
俺を特別扱いをするのはミゲル様だけだ。
それが嬉しくなってしまうのは、本当はいけないことなのだと思う。
騎士には平等の精神があるのだから。
俺はこくりと頷いた。
ミゲル様は何の話をしてくれるのだろうか。
ミゲル様の部屋に入ると、並んで寝台に腰掛ける。
そしてミゲル様は何か考え込むとゆっくりと口を開いた。
「まず、サハルの聞きたいことがあれば答えよう」
そう言われて何から聞けば良いのか悩んでしまう。
「ミゲル様……結婚をされないというのは……」
まず、最初に聞きたかったことだ。
「騎士団は、結婚を認めていないわけではないがかなり昔は家庭を持つことを禁じていた時もある」
そう、ミゲル様は話し始めた。
騎士団へ入団するのは平民や貴族でも三男以降。
要するに家を継げない者達やその給金をあてにする者が多かったらしい。
一夫多妻の世界のため、どうしても男が余る。だから継ぐ家がない男児は成人をする前に手に職をつけることをして家を出る。
騎士団という狭い世界だが、やはり騎士同士で懇ろな仲になる場合もある。
家庭を持つことを禁じられていた騎士は兄弟と名前を付けた絆を結ぶことで家族を得たのだと、ミゲル様は話してくれた。
それでもミゲル様が結婚をしない理由にはならない。
今は認められているのだから。
「ミゲル様に何か……ご事情が?」
聞いてしまってもいいのだろうかと、ちらりとミゲル様を見ると何故か満面の笑みだった。
「事情は無いが、サハルがしてくれるのなら式を挙げてもいい」
と、爆弾を落として下さった。
「えっ!?」
「……今までそういう出逢いが無かったのもあるが、俺と縁を結ぼうというのも居なかった」
そう言って笑ったミゲル様は、続けた。
「それに、縁を結ぶなら自分が尊敬できる人だと決めていた」
「尊敬ですか」
「ああ」
並んで座ると少しだけ視線が近くなる。
肩が触れる距離。
いつの間にかそっと腰を抱かれていた。
「俺は尊敬されるような所はありませんよ……ミゲル様こそ、俺は尊敬します」
「そうか?それこそ俺に尊敬されるところは無いと思うが?」
「ミゲル様、尊敬されるからこそ団長になられていらっしゃるのですよ……誰もがなることができるものではありませんから。だから俺も騎士になることができて幸せです。まだ、見習いですが」
今、思い返せば騎にならなくても働く事はできた。
癒しの力を使える職種なら医者でいいのだ。
それなのに騎士になりたかったのは、少しの後悔とミゲル様の傍にいたかったから。
それが最初は愛情ではなかったとしても。
いつからだろうか、自分の気持ちが愛しいに変わったのは。
「見習いでも騎士は騎士だからな、決して昇格には私情を挟むつもりはないが、サハルならば直ぐに騎士になってさしまうだろう。シグルドやサディ、ラーシュまでお前の虜だ」
「そんなこと!」
「必要以上にサハルをー気にかけてはいる」
「そうですか」
確かに思うところはあるけれど。
特別にしてもらってはいないと思う。
俺を特別扱いをするのはミゲル様だけだ。
それが嬉しくなってしまうのは、本当はいけないことなのだと思う。
騎士には平等の精神があるのだから。
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