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84話
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「重い……ですよ」
美南はそっとベルゴッドの太腿に座ろうとした腰をすくい上げられて、横抱きに座らされた。
「えっ!?ベルゴッド!」
足が浮いて不安定なため、ついベルゴッドに抱きつく形になってしまう美南を優しい笑みで見下ろしてくるベルゴッド。
いつもよりも重厚な装いにその逞しい身体は隠れてはいるが、こうして触れてしまうとわかる。
「どうした、ミナミ」
「ダメ、耳元で喋らないで。ベルゴッドの声も好きだから……」
「そうか、声も好き? 他はどこか知りたいが」
甘く腰に響く声。
身体の奥に熱が灯りそうになる。
「言ったでしょ? 全部好きだって……聞いてなかったの?」
「聞いたが何度でも聞きたい。ミナミが俺を選んでくれたのだから、天にも昇る気持ちなんだ」
「声も、見た目も、性格も……全てが好き……です」
そっと美南はベルゴッドの頬に触れ、ベルゴッドを見上げながらそう告げた。
日本人は言葉に出さず、察してもらうのが普通であるためこうして言葉にすることが少ない。
それは美南も同じであり、こうして口にすることはかなりの羞恥がある。
「ありがとう」
ギュッとベルゴッドの腕に力が入るのがわかった。
「……誰だ」
「私です」
物陰から現れたのは執事長。
そして、なにやらベルゴッドに耳打ちをすると、ベルゴッドは小さく息を吐いた。
「ミナミ、悪いな……仕事のようだ」
にっこりと笑いながらも回した腕を離さないベルゴッド。
「王宮から呼ばれたから、行ってくる……シルヴィアにも挨拶だけしていくが、シルヴィアは何処にいる?」
「まだ、中庭に」
「私も行きますシルヴィアの所に」
「そうだな」
ベルゴッドの膝からそっと降りると、ベルゴッドの手が差し出された。
そっと腕に手を添えて、執事長の先導を受けて中庭へと向かう。
テーブルに残っているのは数名の女史。
「シルヴィア」
「あら、お兄様どうかされて?」
「少し……な、ミナミを頼む」
「構いませんけれど」
「明日になればわかるだろう」
「わかりましたわ、ミナミは夕方までには送り届けますわ」
「頼む」
そんな会話をしてから、ベルゴッドは中庭から出て行った。
「で、ミナミはお兄様とゆっくりできたかしら?」
シルヴィアが悪戯っぽく微笑む。
やっぱり、シルヴィアの差し金か。
あれだけ花の数があるのに、ベルゴッドは迷いなくカードと同じ花を選んできたのだ。
「いつもと違う話ができたかな……ありがとう」
席に座ると紅茶が運ばれてきた。
ふわりと香るレモンティーだった。
「あら、お兄様ね」
ふとシルヴィアの声に顔を上げると、騎士の盛装を纏うベルゴッドがこちらへ足早に歩いてくる。
その姿は先程とは違い威厳に満ちていた。
「ふふ、ミナミの所に来たのね」
小さく笑ったシルヴィアをミナミは驚きながら見つめてしまった。
美南はそっとベルゴッドの太腿に座ろうとした腰をすくい上げられて、横抱きに座らされた。
「えっ!?ベルゴッド!」
足が浮いて不安定なため、ついベルゴッドに抱きつく形になってしまう美南を優しい笑みで見下ろしてくるベルゴッド。
いつもよりも重厚な装いにその逞しい身体は隠れてはいるが、こうして触れてしまうとわかる。
「どうした、ミナミ」
「ダメ、耳元で喋らないで。ベルゴッドの声も好きだから……」
「そうか、声も好き? 他はどこか知りたいが」
甘く腰に響く声。
身体の奥に熱が灯りそうになる。
「言ったでしょ? 全部好きだって……聞いてなかったの?」
「聞いたが何度でも聞きたい。ミナミが俺を選んでくれたのだから、天にも昇る気持ちなんだ」
「声も、見た目も、性格も……全てが好き……です」
そっと美南はベルゴッドの頬に触れ、ベルゴッドを見上げながらそう告げた。
日本人は言葉に出さず、察してもらうのが普通であるためこうして言葉にすることが少ない。
それは美南も同じであり、こうして口にすることはかなりの羞恥がある。
「ありがとう」
ギュッとベルゴッドの腕に力が入るのがわかった。
「……誰だ」
「私です」
物陰から現れたのは執事長。
そして、なにやらベルゴッドに耳打ちをすると、ベルゴッドは小さく息を吐いた。
「ミナミ、悪いな……仕事のようだ」
にっこりと笑いながらも回した腕を離さないベルゴッド。
「王宮から呼ばれたから、行ってくる……シルヴィアにも挨拶だけしていくが、シルヴィアは何処にいる?」
「まだ、中庭に」
「私も行きますシルヴィアの所に」
「そうだな」
ベルゴッドの膝からそっと降りると、ベルゴッドの手が差し出された。
そっと腕に手を添えて、執事長の先導を受けて中庭へと向かう。
テーブルに残っているのは数名の女史。
「シルヴィア」
「あら、お兄様どうかされて?」
「少し……な、ミナミを頼む」
「構いませんけれど」
「明日になればわかるだろう」
「わかりましたわ、ミナミは夕方までには送り届けますわ」
「頼む」
そんな会話をしてから、ベルゴッドは中庭から出て行った。
「で、ミナミはお兄様とゆっくりできたかしら?」
シルヴィアが悪戯っぽく微笑む。
やっぱり、シルヴィアの差し金か。
あれだけ花の数があるのに、ベルゴッドは迷いなくカードと同じ花を選んできたのだ。
「いつもと違う話ができたかな……ありがとう」
席に座ると紅茶が運ばれてきた。
ふわりと香るレモンティーだった。
「あら、お兄様ね」
ふとシルヴィアの声に顔を上げると、騎士の盛装を纏うベルゴッドがこちらへ足早に歩いてくる。
その姿は先程とは違い威厳に満ちていた。
「ふふ、ミナミの所に来たのね」
小さく笑ったシルヴィアをミナミは驚きながら見つめてしまった。
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ありがとうございます。今も書いたり書かなかったりで定期的に更新はできていないのですが……
そもそもが美南は愛されることに願望はあるけれど、愛されてこなかったからどうしていいかわからないのですよー。
もう、ベルゴッドがでろでろに溺愛するつもりですが、そうなるまでどのくらいかかるか……
やっと半分くらいまで来ましたので、もう少しお楽しみいただければうれしいです。
57ページ
ガゼボではないでしようか。
承認不要です。
c_zさま
指摘ありがとうございます。
何だかとんでもない変換ミスしてました。
直しましたので大丈夫……かな?
フリック入力怖い😱