【BL】ほれぐすり

梅花

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6話

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「悪ぃな、使わせて貰うぜ?」
 指で掬い上げたのは蜂蜜色をした粘り気のある軟膏で、ふわりと花の香りを移した軟膏は女性に人気なのだが、子供が口に入れてしまっても大丈夫なものだ。
 子供がいる母親から傷薬が欲しいと言われて調合した物で、厳密に言うと子供に影響が出る可能性のある蜂蜜は使っていない。
「力を抜いてろよ?」
 ヴィンセントの言葉に頷きを返したフェイの奥まった部分にぬくりとヴィンセントの指が入ってくる。
 元来何かを受け入れるための器官ではなく、感じたことの無い感覚にフェイの身体はヴィンセントの指を異物と感じてそれ以上の侵入を拒もうとするように締め付ける。
 だが、ヴィンセントのそれには慣れているのか無理やりに指を進めようとはせずに少し進んでフェイの様子を伺いフェイが息を吐くのに合わせて指を進めてくる。
「あっ、は……っん……」
 声を出すことで意識を逸らすのだろうか、フェイは甘く可愛らしい声をあげる。
「痛くはないか?」
 ヴィンセントの問いかけに小さな頷きを返したフェイだったが、その指ですら辛そうに目を伏せている。
「は、ぁ……」
「もうすぐ根元まで入るぞ?これで全部だ」
 そう言いながらヴィンセントは中に埋めた指をゆっくり曲げて指先が触れる少し硬い部分を探す。
 指の腹がそこを押し上げる瞬間、フェイの喉からは悲鳴が上がった。
「此処だな」
 雷に撃たれたような強い刺激にフェイは開いていた足を閉じ、身体を丸めようとするのをヴィンセントは許さなかった。
 軟膏が溶け始めたのか、指が動く度に粘着質な水音がする。
「ゆっくり広げるからな?指が三本入るまで、我慢しろ」
 指が動き始め、中から壁を押すように動き次第に指が増えていく。
 二本が三本になった時にはフェイの喉はカラカラになっていた。
「三本、わかるか?」
 バラバラに体内で動く指を感じ、フェイは涙を浮かべた目でヴィンセントを見上げた。
「ん、ヴィンセントさん……苦しい」
「このくらいで苦しかったら俺のは無理だぞ?」
 やめるかと聞くがフェイは左右に頭を振った。
 さらさらと髪が敷布の上で緩く波を描いた。
「ヴィンセントさんが、欲しいです……僕の初めて、面倒だと思いますけど……」
 掠れた声でそう告げたフェイの喉に、ヴィンセントはそっと水を含ませた。
 いつの間にか指は引き抜かれており、フェイは驚きながら水を飲み込んだ。
「一息ついたらな」
 ヴィンセントもグラスから水を飲み唇をなめる。
「もっと飲むか?」
 フェイはこくりと頷くと、ヴィンセントはグラスを煽り自らの口に水を含むとフェイにそのまま口吻けた。
「ん、く……」
 注がれた水をこくりと水を飲み込むとフェイは息を吐き出す。
「おいし……」
「そうか、喉は痛くねぇな?」
 フェイを気遣うように問いかけながら、ヴィンセントはフェイの唇を舐めた。
「だいじょうぶ、です」
 鼻にかかった甘えたような声に驚き、フェイは自分の口を手で塞いだ。
 誘うような少し高めに発せられる声はまるで自分のものではないように聞こえて驚きながらもヴィンセントを見上げると幸せそうに見える笑みを湛えていた。
「すげぇ可愛い」
「そんな」
「今まで、色々なことを想像してきたけどやっぱ本物には勝てねぇな」
 ヴィンセントの言葉にフェイはふふっと笑うと
「幻滅はしていませんか?ヴィンセントさんは僕にどんなことをしていたのでしょうか。ヴィンセントさんが想像していたことを僕にしていただけますか?」
 恥ずかしいけれど、ヴィンセントが欲しい。そう思いながら問いかけてみると、ヴィンセントは照れたように笑いフェイの頬を撫でる。
「んじゃ、挿れるぞ?」
「はい」
 軽く言われたフェイは頷いてしまってから少しだけ後悔した。
 押し当てられた先端がぐいっと抉じ開けてくる感覚。
 息が止まるような衝撃。
「辛いか?悪いな、もう少しだ」
 もう少しが何を指すかはわからずにフェイはコクコクと頷くしかできない。
 苦しさに涙が零れ落ちたのをヴィンセントの舌が舐めとり、ふっと一瞬だけ苦しさが和らぎ息を吐いた瞬間さらに体内の圧迫が強くなった。「……っはぁ」
「悪い、これで全部だ」
「ぜん、ぶ?」
「あぁ」
 フェイは自分の下腹部にヴィンセントがあるのだと、そっと触れた。
「フェイの薬は凄いな」
 小さく囁いたヴィンセントの言葉にフェイはその唇に口吻ける。
「僕、ヴィンセントさんが薬を使わなくても大丈夫なようになるよう、たくさん勉強します……ね」
「は?お前……今、それを言うのか?」
 ヴィンセントはフェイの呼吸が落ち着くのを待とうと思っていたが、それを堪えきれず腰を動かし始める。
「ぁっ! ん、ゃ」
 いきなりの律動にフェイは開いていた膝に力が入る。
 閉じるのを許さないヴィンセントはフェイの腰を掴んで身体を捻じ込む。
 それからどのくらいの時間が経ったかわからない。
 空が白み始めて明るくなってもフェイの店が開店することはなく周囲の住人が心配そうにしていたが、ようやく店が開店したのは太陽が天高くなってからだった。

フェイ、本当にこれは精力剤か?
ヴィンセントは首を傾げる。
フェイから貰った薬の三本目を服用する頃にはほぼ、この薬を飲まなくてもヴィンセントは繰り返しフェイを喘がせる事ができるようになっていた。
あの時致すことが出来なくなっていたのは嘘のように。
だがヴィンセントはわかっていた。フェイ以外には反応しないのだと。
ならば、この薬はなんだったのだろうか。
それは二人にしかわからない。
フェイは、生涯この薬を作ることはなかったという。
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みんなの感想(1件)

さとうあけみ

フェイとヴィンセントの🥰てれてれお話しに期待がいっぱいです🙇
コレからの進展にガッツリ👍️ワクワクです🙏
応援📣👏👏👏頑張って〜💪
🐸👋💮

2026.02.09 梅花

あけみさん

ありがとうございます!
フェイが案外天然ちゃんなのでわちゃわちゃしてるかも。
完結見えてるので頑張ります!

解除

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