完結【BL】紅き月の宴~Ωの悪役令息は、αの騎士に愛される。

梅花

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70話

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「……ルーカスへ……だって」
達筆なシルフェ様の書く文字が便箋を走る。
読みやすく綺麗な文字は、シルフェ様の性格を表すようだった。
内容は、少しの間留守をすることを謝る内容と、近いうちに一度帰る予定だと言う事。
それから俺の事を気遣う言葉がたくさん綴られていた。
シルフェ様の優しさを再認識しながら、俺は用意してもらったガラスペンを手にした。
すうっとペン先がインクを吸い込むのを見ながら、ふとガラスペンがシルフェ様の瞳の色に似ていると思いながら便箋に走らせる。
何を書こうかと考えながら俺はガラスペンを走らせた。
暫くシルフェ様への手紙を書いていたが、最後に一言だけある言葉を添えてから封をした。
ダーウェルが用意してくれた蝋を溶かしてから印を押す。
そして俺は猫のシルエットを銀のペンで塗った。
「とりあえずこれで……後はシルフェ様が気付いてくれればいいけれど」
そう呟いてから机の引き出しから小瓶を取り出してその中から一つの粒を取り出してゴクリと飲んだ。
「……それと、楼主さまにもお世話になったお手紙も書かなきゃいけないよねそれに、あの場所が戦場から近いのだからその辺も離しておかないといけないかな」
何処まで信じてくれるかはわからないけれど、楼主様も攻略対象なのだから、もし戦闘が始まったら危険であることは間違いない。
俺は残った便箋に手紙を書いて、今度は印を塗らずにおいた。
「これで良し……楼閣には沢山のお菓子かな、花は困るだろうし布も好みがあるから。お姉様方はどうするのかな」
俺は小さな袋を取り出してからチリンとベルを鳴らすとフェイが入ってきた。
「フェイ、こちらがシルフェ様、こちらは楼閣の楼主様へ楼主様へは此処から焼き菓子でも買って持って行って貰って?」
「かしこまりました、ルーカス様この後はどうされますか?」
「街へ出たいからダーウェルに伝えてくれる?もう少年の格好は無理かな?」
「その美しい髪は目立ちますからね。帽子を用意しましょう」
フェイは慣れたように二通の手紙と袋を受け取って一旦部屋を出ると、直ぐに戻ってきた。
「こちらのシャツと、オーバーオール、それにこちらの帽子をどうぞ。靴は歩きにくいかも知れませんがこちらの革靴を」
完璧に用意してくれた服を俺は受け取ってから一度ぐしゃぐしゃっと皺を付けた。
下町の子供がこんなに綺麗なシャツを着ていることなどないからだ。
それにも慣れたフェイは何も言わずに俺の服を着替えさせてくれ、首に嵌るベルトが外れないよう俺はもう一度引っ張って確認をしたのだった。

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