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アテナたんとプレゼント勝負
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「ちちうえ~、おじうえとけんかしました!!」
今日も今日とてちびっこアテナが飛んで来た(物理)。
「叔父といってもどの叔父だ?」
「ポセイドンおじうえです!アッティケのひとびとがアテナにしゅごしんをしてほしいといってきたのに、おじうえがここはじぶんのせいちだからアテナはでていけとおっしゃるのです!」
「そういうのはお前たち神々よりも地元民の意見が大事だろう。アッティケの人間は何と言っているのだ??」
「やくにたってくれるならどっちでもいいと」
「どっちでもいいんかいっ!?」
まぁ、人間なんてそんなものだろう。
「そういうわけですので、おじうえとどちらがアッティケのしゅごしゃにふさわしいか、しょうぶしてまいります。どちらかのあたまをかちわってたおれるまでたたかうのです!!」
「ちょっと待てぃっ!!それ地上でやられたらとばっちりで周囲の地形が変わるぞ!?」
「でもおじうえはあまりちょうじかんはみずからでられませんよ?ひからびてしまいます」
長時間海から出ていると干からびるって……大海神はいつからクラゲもどきになったんだ?
「いや、そもそも地元民は強い神を望んでいる訳じゃないんだろう?役に立つならどっちでもいいと言ってるんだから。だったら地元民の役に立って喜ぶような贈り物をした方が守護神になれば良いじゃないか」
「なるほど!!さすがちちうえです!!」
どうやら納得してくれたらしい。ふぅ、これでアクロポリスが吹き飛んで海辺が埋め立てられるようなこともないだろう。
「そういうわけでおじうえ、どちらがよろこばれるプレゼントをおくれるかしょうぶです!!」
「望むところだ!!ふんぬっ!!!」
大海神は気合を入れるとアクロポリスのてっぺんに思い切り三叉矛を突き入れた。すると、なんということだろう。丘のてっぺんから勢いよく塩水が噴き出したではないか。
「人は塩がなければ生きて行けないからな!!清潔な塩水を安定して得ることができれば塩に困ることはあるまい!!」
自信満々に語る言葉に、地元の人間たちも「おお素晴らしい」と湧きたっている。
たしかに塩は生物が生きて行くには欠かせない大切なものだ。清潔な塩水が常に手に入る泉は住民にとっても実にありがたい贈り物だろう。
「つぎはあたしのばんですね!!えいっ!!!」
今度はアテナが気合一閃、双槍を大地に突き立てる。そしてそのまま槍を通して神気を大地に流し込むと、むくむくといたるところからオリーブの樹が生えてきたではないか。
乾燥気味でやせており、岩がちな土地であるにもかかわらず、オリーブはしっかりと横に根をはって土を抱え込み、すくすくと育っていった。そのままがっちりつかんだ土は雨が降るごとに水をしっかりと抱き込み、大地の乾燥を緩和してくれる。
しかも実は食料や薬に、種から採れる油は調理油や燃料に、育った幹は家具や建材に、そして落ち葉は堆肥にと、その存在の全てが人間の生活を潤してくれるオリーブの樹。しかも輸出品の石鹸の材料にもなる。
人々の生活を根底から支えるオリーブこそ、この街の守護者から住民たちへの贈り物にふさわしい。
うぉおおおおおおおっっ!!!アテナ様、ばんっざい!!!
地元民たちの大地を揺るがさんばかりの大歓声に、ポセイドンもアテナの勝利を悟ったのだろう。重々しい声でアテナの勝利を讃えた。
「わが姪よ、素晴らしい贈り物であった。しばらく見ぬ間に立派になったな」
「おじうえ……っ!!」
案の定、脳筋娘はあっさりほだされ、叔父にとびついては大きな灰色の瞳をウルウルさせている。
「アテナよ、この地を『アテナイ』と名付けてアクロポリスに巨大な神殿を建て、この街の人々の行く末を見守るのだ!!」
「かしこまりました!!おじうえのおおせのとおりに!!」
とても勝負に負けたとは思えぬくそ偉そうな態度でアテナに指図すると、素直な脳筋娘と地元民たちはあっさり流され、完全に「最初からポセイドンの思惑通りだった」かのような空気になってしまっている。
うおぉぉぉっ!!アテナ様、ばんっざい!!!ポセイドン様、万々歳!!!!
盛り上がりまくる人々を前に、大海神は堂々と海の彼方へと去っていくのであった。
今日も今日とてちびっこアテナが飛んで来た(物理)。
「叔父といってもどの叔父だ?」
「ポセイドンおじうえです!アッティケのひとびとがアテナにしゅごしんをしてほしいといってきたのに、おじうえがここはじぶんのせいちだからアテナはでていけとおっしゃるのです!」
「そういうのはお前たち神々よりも地元民の意見が大事だろう。アッティケの人間は何と言っているのだ??」
「やくにたってくれるならどっちでもいいと」
「どっちでもいいんかいっ!?」
まぁ、人間なんてそんなものだろう。
「そういうわけですので、おじうえとどちらがアッティケのしゅごしゃにふさわしいか、しょうぶしてまいります。どちらかのあたまをかちわってたおれるまでたたかうのです!!」
「ちょっと待てぃっ!!それ地上でやられたらとばっちりで周囲の地形が変わるぞ!?」
「でもおじうえはあまりちょうじかんはみずからでられませんよ?ひからびてしまいます」
長時間海から出ていると干からびるって……大海神はいつからクラゲもどきになったんだ?
「いや、そもそも地元民は強い神を望んでいる訳じゃないんだろう?役に立つならどっちでもいいと言ってるんだから。だったら地元民の役に立って喜ぶような贈り物をした方が守護神になれば良いじゃないか」
「なるほど!!さすがちちうえです!!」
どうやら納得してくれたらしい。ふぅ、これでアクロポリスが吹き飛んで海辺が埋め立てられるようなこともないだろう。
「そういうわけでおじうえ、どちらがよろこばれるプレゼントをおくれるかしょうぶです!!」
「望むところだ!!ふんぬっ!!!」
大海神は気合を入れるとアクロポリスのてっぺんに思い切り三叉矛を突き入れた。すると、なんということだろう。丘のてっぺんから勢いよく塩水が噴き出したではないか。
「人は塩がなければ生きて行けないからな!!清潔な塩水を安定して得ることができれば塩に困ることはあるまい!!」
自信満々に語る言葉に、地元の人間たちも「おお素晴らしい」と湧きたっている。
たしかに塩は生物が生きて行くには欠かせない大切なものだ。清潔な塩水が常に手に入る泉は住民にとっても実にありがたい贈り物だろう。
「つぎはあたしのばんですね!!えいっ!!!」
今度はアテナが気合一閃、双槍を大地に突き立てる。そしてそのまま槍を通して神気を大地に流し込むと、むくむくといたるところからオリーブの樹が生えてきたではないか。
乾燥気味でやせており、岩がちな土地であるにもかかわらず、オリーブはしっかりと横に根をはって土を抱え込み、すくすくと育っていった。そのままがっちりつかんだ土は雨が降るごとに水をしっかりと抱き込み、大地の乾燥を緩和してくれる。
しかも実は食料や薬に、種から採れる油は調理油や燃料に、育った幹は家具や建材に、そして落ち葉は堆肥にと、その存在の全てが人間の生活を潤してくれるオリーブの樹。しかも輸出品の石鹸の材料にもなる。
人々の生活を根底から支えるオリーブこそ、この街の守護者から住民たちへの贈り物にふさわしい。
うぉおおおおおおおっっ!!!アテナ様、ばんっざい!!!
地元民たちの大地を揺るがさんばかりの大歓声に、ポセイドンもアテナの勝利を悟ったのだろう。重々しい声でアテナの勝利を讃えた。
「わが姪よ、素晴らしい贈り物であった。しばらく見ぬ間に立派になったな」
「おじうえ……っ!!」
案の定、脳筋娘はあっさりほだされ、叔父にとびついては大きな灰色の瞳をウルウルさせている。
「アテナよ、この地を『アテナイ』と名付けてアクロポリスに巨大な神殿を建て、この街の人々の行く末を見守るのだ!!」
「かしこまりました!!おじうえのおおせのとおりに!!」
とても勝負に負けたとは思えぬくそ偉そうな態度でアテナに指図すると、素直な脳筋娘と地元民たちはあっさり流され、完全に「最初からポセイドンの思惑通りだった」かのような空気になってしまっている。
うおぉぉぉっ!!アテナ様、ばんっざい!!!ポセイドン様、万々歳!!!!
盛り上がりまくる人々を前に、大海神は堂々と海の彼方へと去っていくのであった。
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