4 / 5
忘れればうまくいく?
しおりを挟む
「どういうこと?」
「運命はたしかに勝手にやってくるものだけど、それを選んでつかみ取るのは自分自身だろう?」
「何それ……」
「だって、相性が悪い勤め先も、嘘つきで横暴な恋人も、選んだのは君自身だろう?」
「それは……運が悪くて……騙されてただけで……」
「だからさ。全部忘れてしまったら、また同じものを選んでしまうんじゃないかな、君は」
「なんですって……」
あんまりな言い様に思わずむっとしてにらみつけるが、彼は全く動じない。
「何もかも他人のせいにして、都合の悪い事はなかったことにしても、君自身は何も変わらないよ」
「な……何も知らないくせに……っ!」
何をわかったようなことを、したり顔で言っているんだろう。
「そうだね、君のことは君にしかわからない。だから、そうやって自分で自分に言い訳して、一人でいじけているだけなら、この先もずっと同じことの繰り返しだよ」
突き放すような言葉とともに、不意に彼の姿が消えた。
「僕が代償としていただくのは大切な記憶だ。逃げ出したい、忘れたいだけの記憶なんて、差し出されたところで迷惑なだけだ」
囁く声が夜の空気に消えていく。
「運命はたしかに勝手にやってくるものだけど、それを選んでつかみ取るのは自分自身だろう?」
「何それ……」
「だって、相性が悪い勤め先も、嘘つきで横暴な恋人も、選んだのは君自身だろう?」
「それは……運が悪くて……騙されてただけで……」
「だからさ。全部忘れてしまったら、また同じものを選んでしまうんじゃないかな、君は」
「なんですって……」
あんまりな言い様に思わずむっとしてにらみつけるが、彼は全く動じない。
「何もかも他人のせいにして、都合の悪い事はなかったことにしても、君自身は何も変わらないよ」
「な……何も知らないくせに……っ!」
何をわかったようなことを、したり顔で言っているんだろう。
「そうだね、君のことは君にしかわからない。だから、そうやって自分で自分に言い訳して、一人でいじけているだけなら、この先もずっと同じことの繰り返しだよ」
突き放すような言葉とともに、不意に彼の姿が消えた。
「僕が代償としていただくのは大切な記憶だ。逃げ出したい、忘れたいだけの記憶なんて、差し出されたところで迷惑なだけだ」
囁く声が夜の空気に消えていく。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる