昼の蟷螂 ネタバレ

歌川ピロシキ

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昼の蟷螂

其の十六

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 にわにはにわにわとりが うらにわにはにわにわとりとわにがいる

 ……と、脈絡のない早口言葉は放っておきまして。

 神殿の裏庭に変なものがあったようです。ぶっちゃけ子供のころからここに住んでるオーウェン君が全く気付いてなかったのが不思議なんですが……

 まず、オーウェン君は晴れて神官騎士になるまでは見習いの身だったので、たとえ教会の敷地内でも勝手にあちこち出入りする事はできませんでした。さらに言うなら、この落し戸の偽装はかなり高度なもので、よほど幸運でない限りはまず見つからないかと。

 元ネタのゲームの話になりますが、たいていの「判定」は「その判定に関連する技能レベル」+「判定に関連する能力値ボーナス」+「さいころの目」が目標値を超えるかどうかで判断します。「関連する技能」を持っていない場合はサイコロの目だけ(平目)です。なので、基本的に技能がないと「判定」は急に難しくなるわけです。そして様々なゲームで「出たサイコロの目が全部6」もしくは「全てが5以上」の場合は自動的に大成功(クリティカル)となるルールがあります。

 こうした草地の中に隠された罠や工作物を発見するのは「斥候スカウト」技能か「野伏レンジャー」技能のどちらかが必要です。オーウェン君はどちらも持っていないので平目で勝負しなければならないのですが、神殿にとって大事な機密が素人に見つかるようなお粗末な偽装をされている訳はなくて。「滅多にないような幸運すぎる偶然クリティカル」が起きない限り、例の落し戸は見つける事はできません。

 今回は「足を滑らせて思い切り転ぶ」という珍しい出来事が、「隠された出入り口(仮)を発見する」という滅多にない幸運に結びついたわけです。

 さて、こんなところに隠されている出入口(仮)。当然ながら、中にはろくでもないものがあるはずで……

 以下、次回に続きます。
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