昼の蟷螂 ネタバレ

歌川ピロシキ

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朝露の消やすきいのち

其の四

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 今回はもう間違いなしに陰惨すぎるので閲覧注意にしました。
 最初に「グ〇ランハーフの暗殺者とかいたらものすごく強そう」と思いついた時に「本来生まれないはずの混血児が生まれる経緯」を考え、犯罪組織に飼われる羽目になるような出自だからろくなものじゃないな~と悩んだ結果、こんなことに(´;ω;`)
 まぁ、実際の歴史でも民族浄化をうたう政策が実現される時はこういった類の暴力も横行するようで。とは言えあまりに胸糞悪いうえ、こんなことを平気でやらかす連中に権力を持たせてはいけないので、いずれ神の鉄槌が下される……はず。

 前話でもちらっと触れましたが、この非道な「実験」に関わっている人々からは既に「秩序神の加護」が失われています。にもかかわらず、自分たちが神から見放された背教者だと自覚できず、忌まわしい存在に呪われた被害者だと思い込んでいるのは、未だにわかりやすい形での天罰が下っていないから。

 神様が人間の社会に干渉しすぎると、人間の自律性が失われ、自力で善悪の判断をしたり困難を乗り越える力が失われるとして、神様どうしでけん制しあって直接的な介入をしないようにしているようですが、さすがに今回は目にあまるでしょう。
 たとえ神殿の上層部とはいえ、彼らを告発して粛清を強く誓う信者がいれば、強めの加護を与えるくらいのことはしそうです。

 さて、神殿ぐるみの恥ずべき罪を知ったオーウェンさん、これからどう動くのでしょうか?

 ちなみに章タイトルは「あさつゆの けやすきいのち」と読みます。万葉集一八〇四「箸向ふ 弟(おと)の命(みこと)は 朝露乃(あさつゆノ) 消やすき命(いのち) 神のむた 争ひかねて」から採りました。ちなみに歌の意味は「二本の箸のようにいつも一緒にいた私の弟は朝露のように儚い命で、神様の決めた寿命には抗えませんでした」です。
 もっとも、ラリバをはじめとする実験の犠牲になった妖精たちの命を儚くしてしまったのは神様ではなく、神の威光をかさに着ただけの、あくまで人間なのですが。
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