死神姉妹 ネタバレ

歌川ピロシキ

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お花畑転生娘と死刑判決

登場人物について(ネタバレあり)

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今回は主要3キャラのモチーフについて。
他にも重要なサブキャラは出てきますが、登場がまだまだ先なので、その都度ご紹介することにします。

〇マリーローズ・エテレクシィ
何があっても法と裁判の決定に従う、良くも悪くも「司法の狗」。
「処刑人」の持つ「秩序の番人」としての側面を擬人化したキャラです。
モデルとしてはシャルル・アンリ・サンソンを考えていますが、前述のように概念の擬人化なので、史実の彼とは大幅に違います(そもそも性別も違うというツッコミはなし)
彼女は個人的な恩讐を超え、罪人に対して法にのっとった罰を公正に与えることによって、その罪を昇華できるという信念を持っています。
そのため、親しい人の仇であっても理不尽に痛めつけることはありませんし、逆に親しい間柄だからと裁判の決定を歪めて手心を加えることもありません。

〇リリーローズ・エテレクシィ
こちらは「処刑人」の家系が持つ「医学者」および「篤志家」としての側面を擬人化したキャラクター。
作中では、あくまで社会秩序を維持する立場で行動するマリーに比べ、あくまで民衆に寄り添った立場で激動の時代を語る役割を持たせています。
歴史好きの方はご存じかもしれませんが、処刑人は死刑囚の遺体を解剖することで医学の進展に寄与し、また自身も医師として人々にその知識を活用することで、「処刑」という「合法的な殺人」の持つ負の要素を昇華しようとする側面がありました。

〇ミア・アピリスティア
モチーフはマリー・アントワネットとロベスピエール。
ガチガチに固まった階級社会では、ごく一部の特権階級が利権をほしいままにして、そこから外れた人々はただ搾取されるだけの人生を送ります。
そういった人々にとって、その「社会構造の外」から現れて「特別な権威もしくは権力」を持つ人物は、「既存の権力構造を壊して自分たちに新しい社会をもたらしてくれるかもしれない」存在として多大な期待を寄せられます。
ミアも搾取される側の「孤児」という身分だったにもかかわらず、「女神から特別な力を与えられた人物」として突如貴族社会に現れ、既得権益をしっかりと握っていた高位貴族を次々と粛清したことから、庶民から「自分たちのための新しい社会」の作り手として熱狂的な支持と期待を寄せられていました。
その「熱狂」が「支持」ではなく「糾弾・粛清」へと転換するポイントが何なのか。
彼女を支持した「民衆」の求めていたものは何か。
それがこの物語の核心となります。
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