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甘いひととき
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「どうしたんだ、これ?」
いつもの二人のお茶の時間。イリムが盆にのせてきたのは大量のチョコカップケーキだった。
「えへへ、村の女の子に教えてもらって作ったんだ」
実に楽しそうな笑顔。どうやら一緒に作ってきたらしい。少しだけ胸がざわつくのを気付かないふりをした。
「……まったく、変に期待させると後で傷つけるぞ」
彼に気のありそうな女の子たちの顔がいくつか浮かんで、思わずため息をつく。
「期待? なんのこと?」
「……いや、なんでもない。それで、どういう風の吹き回しだ?」
きょとんと小首を傾げる姿に、彼女たちの好意が全く伝わっていないことを悟る。だめだ、こいつは全くわかっていない。
「うん、今日は大事な人とチョコ食べる日なんだって」
「……そうか」
今日がどんな日なのか、一応いわれは聞いてきたらしい。
「だからね、グジムといっぱい食べようと思って」
「……俺と?」
「うん!思い切り甘い時間にする日なんだって」
「あ……甘い時間って……」
きらめくような笑顔から飛び出した、いきなりの爆弾発言に思わず目を白黒させる。それはいったいどういう意味だ……
「だからお砂糖は倍にしたよ!」
「……それ、甘いの意味が違うぞ……」
……やはり、こいつは全くわかっていない。全くわかっていないぞ。
彼に想いを寄せているであろう少女たちに、俺は心の中で合掌した。
※バレンタインなので甘々です(笑)
イラストはきせかえアプリのピュアニスタで作成しました。
いつもの二人のお茶の時間。イリムが盆にのせてきたのは大量のチョコカップケーキだった。
「えへへ、村の女の子に教えてもらって作ったんだ」
実に楽しそうな笑顔。どうやら一緒に作ってきたらしい。少しだけ胸がざわつくのを気付かないふりをした。
「……まったく、変に期待させると後で傷つけるぞ」
彼に気のありそうな女の子たちの顔がいくつか浮かんで、思わずため息をつく。
「期待? なんのこと?」
「……いや、なんでもない。それで、どういう風の吹き回しだ?」
きょとんと小首を傾げる姿に、彼女たちの好意が全く伝わっていないことを悟る。だめだ、こいつは全くわかっていない。
「うん、今日は大事な人とチョコ食べる日なんだって」
「……そうか」
今日がどんな日なのか、一応いわれは聞いてきたらしい。
「だからね、グジムといっぱい食べようと思って」
「……俺と?」
「うん!思い切り甘い時間にする日なんだって」
「あ……甘い時間って……」
きらめくような笑顔から飛び出した、いきなりの爆弾発言に思わず目を白黒させる。それはいったいどういう意味だ……
「だからお砂糖は倍にしたよ!」
「……それ、甘いの意味が違うぞ……」
……やはり、こいつは全くわかっていない。全くわかっていないぞ。
彼に想いを寄せているであろう少女たちに、俺は心の中で合掌した。
※バレンタインなので甘々です(笑)
イラストはきせかえアプリのピュアニスタで作成しました。
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イラストのイメージでほんわかな想像ができました♪
鈍感な可愛さは罪ですね〜( ̄▽ ̄)
感想ありがとうございます!
学校行事続きでお返事がおそくなり、大変申し訳ありません。
この二人、本編ではハードな目にばかり遭っているので、プライベートではほのぼのしてもらいました(n*´ω`*n)
イリムの天然っぷりにグジムもやきもきしていることでしょう。