香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫

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睡蓮の夢

残酷な池

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「……これは?」

 見せてもらったそれを手にし、軽く摘まむ。白いそれは、とてもふわふわとしていて柔らかかった。少し力を入れただけでぺちゃんこになってしまうほどのそれを、香 麗然コウ レイラン曹朱ツァオジュに見せる。

曹朱ツァオジュ、これって……?」

だな」
 
「お麩? それって、お吸い物とかに入ってる、あれのこと?」

「ああ、そうだ。これは、園にいる鯉たちの餌としても使われている……っ!?」

 二人の視線が池に注がれた瞬間、どちらもが絶句した。橋の上まで進み、池を見下ろす。

「……っこれは!」

「な、何だっぺさ。これ……」

 池には気持ちよさそうに泳いでいる鯉……ではなく、水面に浮かんで微動だにしない魚たちだった。
 これを目の当たりにし、曹朱ツァオジュは言葉を失う。
 しかし香 麗然コウ レイランは違った。彼女は濡れるということすら忘れ、池の中へと自ら飛び込む。後ろからたくさんの悲鳴が聞こえてくるけれどそれを無視し、バシャバシャと音を立てながら池の中を進んだ。そして一匹の鯉を手にし、池から出る。

香 麗然コウ レイラン、君はいったい何をしている!?」

 曹朱《ツァオジュ》は革鎧を脱ぎ、上着を彼女へとかけた。

「……かわいそうに。この子たち、もう死んでるわ」

「……そうか」

 曹朱ツァオジュは急いで兵たちと宦官かんがんに、鯉たちを墓へ埋めるよう命じる。男たちはバタバタと、埋葬まいそうの準備をした。
 
 そんな青年の姿を目で追いながら、香 麗然コウ レイランは物思いにふける。

 (金明ジンミン妃の日課、か。もしかして……金明ジンミン妃が自ら毒を仕込んだ? ……ううん。そんなことする理由がわからないわ。ただでさえ、この子は孤立しているって聞くし。そんな状態で、自分をさらに追いこむようなことするかしら?)

 幼い少女にとってここは敵だらけの場所だ。そのような場所で、自らの首を締めるようなことをするだろうか?  たとえしたとしても、何の得があるのか。
 金明ジンミン妃に視線を置いた。
 少女はガタガタと震えている。何度も「違う私じゃない。どうして誰も信じてくれないの?」と、泣きながら呟いていた。

 (あの姿が演技だなんて、とても思えないわね。そうなると……これの犯人は、別にいるってことになるわよね?)

 少女から預かった恋の餌を見つめる。ふと、そのと──
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