香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫

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睡蓮の夢

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 二人は鯉を仲間のもとへ帰し、再び園へと戻ってきた。そして池へと向かい、亀を探す。
 池の中では難を逃れた鯉たちが優雅に泳いでいた。所々に睡蓮スイレンが浮かんでいて、鯉が作る波に合わせてゆらりゆらりと揺れる。たくさんの岩もあり、藻がくっついていた。

「うーん。亀さん、見つからないわね」

「この園は、建物を行き来するために必ず通る場所だ。素通りしていたとしても、目にしたことはあるとは思うのだが……」

 もともと曹朱ツァオジュは園に興味を持ってはいない。言葉どおり、ただ、通り道として使っているだけだった。それが今になって苦労する羽目になるとは 思わなかったよう。かなり悔いていた。

 香 麗然コウ レイランはそんな彼を慰めるでもなく、ひたすら亀を探す。

(気持ちは分からなくもないわね。ここがとかじゃなくて、人って、興味がないものは見ないから)

 彼女自身、修行の一環でなければこの後宮には来ていなかった。すべてに興味を持つということは難しい。それがわかっているからこそ彼女はあえて、彼への返事はしなかった。
 かと言って、それで亀が見つかるはずもなく……二人は途方に暮れ始める。

「……いない。全然、姿見ないわよ?」

「……いったい、どこにいるというのだ?」

曹朱ツァオジュ、あなた、この後宮で働いてるんでしょ? 人脈とかあるだろうから、聞いてみればいいじゃない」

「いや、無理だ。この園を清掃する庭師ですら、亀の存在は知らないはずだ。聞いたこともない」

「……本当に、いるんだべか? オラ、疲れちゃっただよ」

 ふーっと息を吐き、近くにある岩に腰かけた。座り心地があまり良くない岩のようで、香 麗然コウ レイランはしかめっ面になってしまう。そのとき……

「……っ!? おいっ、それ!」

「……?」

 曹朱ツァオジュが驚いた様子で岩を指さした。
 香 麗然コウ レイランは何事かと、下に敷く岩を見る。するとそこにあるのは岩……のようで違う、四本の足と頭が生えた生き物だった。

「ひゃあ!?」

 驚いて曹朱ツァオジュに抱きつく。
 抱きつかれた曹朱ツァオジュは「お、おいっ!」と、しどろもどろした。心なしか耳の先まで真っ赤になっている。

「び、びっくりしたわ。この子、探していた亀じゃない?」

「あ、ああ。多分、な」

 香 麗然コウ レイランに抱きつかれたまま、彼はそっぽを向いた。そんな曹朱ツァオジュに気づかないまま香 麗然コウ レイランは亀に近よる。

「えっと、亀さ……あっ!」

 甲羅を触ろうとしたとき、亀は素早く逃げていった。
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