香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫

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明かされる謎

人身売買

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 香 麗然コウ レイランもこの少女と同じように身近な存在を見て、教師の道に憧れを示していた。だからこそ、金明ジンミン妃の気持ちに寄りうことができる。
 香 麗然コウ レイランの手は自然と、隣にいる少女の頭へと伸びていった。金明ジンミン妃の 髪の毛は柔らかく、とてもふわふわだ。
 そのことに気を許した彼女は、ふふっとほくそ笑む。

「うんうん。夢を持つことはいいことです。その夢に向かって頑張りましょう。それが、権姜クォンカンへの恩返しにもなるのですから」

「……っ!? は、はい!」

 金明ジンミン妃に笑顔が戻った。子供らしい、幼さの残る眩しい笑顔だ。

 香 麗然コウ レイラン曹朱ツァオジュは顔を見合わせ、二人で笑いあう。
 そのとき、金明ジンミン妃が何かを思い出したかのように、両目を見開いた。少女の大きな目はふたりを映している。

「あの、そういえば……権姜クォンカンが、不思議なことを言ってました」

「……?」

「”売り買いには気をつけて”と」

 それを伝えたのち、少女は兵に連れられて部屋を後にした。




 残された香 麗然コウ レイラン、そして曹朱ツァオジュは、互いの顔を見合わせる。部屋の外に出て園と向かい、東屋に腰を落ち着けた。

「ねえ。さっきの話、どういうこと?」 

「おそらく、人身売買のことだろう」

 曹朱ツァオジュの淡々とした低い声が風の音に混じる。

 後宮の外では、常に人身売買が行われていた。人が人を買い、それを金に変える。買われた先で待っているのは家僕かぼくという名の召し使い、もしくは奴隷どれい
 家僕ならばかろうじて衣食住はあるのだろう。それでも召使いであることには変わらなかった。奴隷どれいの場合、女ならば性のはけ口に。男ならば家僕かぼく以上に、生きていくこと自体が難しくなる。
 そして後宮に売られる者もいた。主に女官や妓女がそれにあたる。給料の何割かは人身売買を行った者たちの手元に行ってしまい、自分たちの懐に入る金は微々たるものだ。

「この後宮にはそういった、人身売買に巻き込まれた者たちが数多く働いている」

 手持ち無沙汰になり、腰にかけている剣の柄に触れる。きびすを返し、ふうーと深呼吸した。
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