香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫

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雪原の狼

迷いの山

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 朱の宮の庭でシマエナガたちの指導っぷりを目撃した後、彼女たちはあきれながらその場を去った。そして談話室にて、問題の山について話し合う。


「お姉様はご存知ですか? あの山とこの後宮には、切っても離せない繋がりがあるということを」

 香 麗然コウ レイランの純粋な質問に答えたのは曹朱ツァオジュではなく、金明ジンミンだった。少女の手にはくしが握られていて流れるような動作で香 麗然コウ レイランを姿見の前に座らせる。
 櫛で彼女の艶やかな髪をかしていった。幼いながらも慣れた手つきで、乱れていた髪を見事に整える。

「いいえ、知らないわ。私は、この辺り出身ではないし。それで? どんな繋がりがあるのかしら? あー。未知の謎が待ってると思うと、ウズウズしちゃう!」

「……お姉様、楽しんでいらっしゃいますよね?」

「当然よ! 何事も、全部楽しまなくちゃ。……それで?」

 たくましく人生を遊びくす。それが香 麗然コウ レイランの生き方だった。
 金明ジンミン、そして曹朱ツァオジュも、彼女のそんな明るい性格を理解しているのだろう。彼らは諦めたように苦笑いして、香 麗然コウ レイランに山のことを伝えていった。

 【雪狼山せつろうざん】は、ほぼ一年中雪に覆われた山でもある。ただそれだけなら、気候の問題からということで納得がいくだろう。
 しかしこの山はそうではなかったのだ。山そのものが迷路のように要り組んでいる。さらには、一度入ったら 出て来れないというおまけ付きだった。

「え? じゃあ、山向こうの港町とは、どうやって交流してるの?」

「王都から南に進み、【雪狼山せつろうざん】を迂回うかいしている。何年か前までは、普通に登山できていたのだがな。いつのまにかそういった不思議な術におおわれてしまい、今では南を大きく迂回しなければならなくなっている」

 北には旧王都がある。けれどそこは濃い霧に覆われてしまい、前が全く見えない状態となっていた。足場も悪く、底なし沼まであるという。
 
「どちらにせよ、南は相当時間がかる。北はとても ではないが、進め場所ではないんだ」
 
 八方塞がりとはこのことか。
 曹朱ツァオジュ……いいや。眠曹ミエンツァオが皇帝の座につく前から、これらは続いていた。解決策などありはしない。あるのは山を迂回うかい。たったそれだけだった。

「ふーん。そんなことになってたんだ……」

 (でも、このままじゃいけない。そう思ったから……一族の私がいるからこそ、何ができる。きっと曹朱ツァオジュは、そう思ったのね)
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