37 / 39
厄災との衝突
しおりを挟む
【断空‼︎】
【狐火‼︎】
ひたすらに俺はヨタカに向かい斬撃を放ち、回避する先を見通した顔面にセッカは炎を叩き込む。
【おかしいなぁ? ちゃんと攻撃は読んで回避をしてるし、パターン分けをして同じ回避方法にならないように分散してるのに……なぁ、セッカ? どうしてお前の攻撃は当たるんだ?】
巨大な火柱の直撃。
しかしヨタカの体は一度崩れはするものの、すぐに元の形へと戻ってしまい、余裕綽々の様子で首を傾げながらセッカへとそんな問いを投げ掛ける。
「はっ‼︎ 当然じゃろう? 回避パターンの分析とか、分散とか、ぽやっぽやのくせに内政だけはまともだったお父様の考えそうなことじゃ、一体どれほど我がお父様が大好きだったと思う! お父様の考えそうなこと、取りそうな行動、思考パターン、何年経とうが体に染み付いておるわ‼︎」
叫びながら火柱を叩きつけるセッカに、ヨタカは体を再生させながら芝居掛かったため息を漏らす。
【泣かせるねぇ、親子の絆が呪いを追い詰める。 いい御伽草子だよ。 ファザコンもここまでくると感動できるんだねぇ……でも残念、非常に残念だ、何度も何度も俺を焼こうがこの体は呪いの塊、燃やせるだけで人の恨みつらみがなかったことになるなら、世界中の人間はみんな放火魔になっているはずさ、あぁだからこそこの攻撃はまるで無意味、でも安心しろよセッカ、人間っていうのは無意味なものに価値や喜びを見いだせる生き物なんだろう? だったら今のお前はちゃんと人間をしているよ……あはははは】
「出来損ないが、今のうちにほざいておくが良いわ『紅蓮地獄‼︎』」
両手をかざし、ヨタカの足元から巨大な火炎を生み出し、セッカは周りの雨粒もろともヨタカを蒸発させる。
その火力に泥はなすすべもなく霧散するが。
【まだまだぁ‼︎】
それでもなお、あたりの泥が寄せ集まりヨタカは黄泉帰る。
「やれ‼︎ ルーシー‼︎」
だが、体を再構築するその一瞬だけ、ヨタカの動きは止まる。
その隙を狙い、剣聖のスキルが示すままに、呪いを両断する。
「これで終わりだ‼︎【我流・大演爪‼︎】」
歪み三里による神速の移動から、動きの止まったヨタカへ放つ全方位攻撃。
逃げ場などない、回避も不可能、自らが持てる最速をもって俺はヨタカに全てをぶつける。
だが。
【だから何度も言ってるだろ? 憎しみのせいで、太刀筋がダダ漏れだぞ?】
その、俺が持てる最高の一撃ですら……ヨタカを捉えることができなかった。
「何で……うわっ‼︎?」
腹部に響く鈍痛。
見れば地面から伸びたヨタカの足が、俺の腹部に突き刺さっている。
形を形成している最中だったのが不幸中の幸か、体を貫かれることこそなかったが。
俺はそのまま、吹き飛ばされ地面へと叩きつけられる。
「ルーシー‼︎?」
【何度も言わせんなよ速さじゃないんだって。 お前が剣聖のスキルで俺を殺せる切り方がわかるように、俺には人の憎悪や憎しみが読み取れる……同じ狐の尾を持ってるセッカならともかく、いかに剣聖だろうとそれだけ憎悪に塗れてりゃどれだけ早く剣を振れようとどこをどう切るか懇切丁寧に教えてもらってるようなもんだ。おまけにセッカの掛け声まであったとなりゃ、あらかじめ安全な場所に体を置いておけば良い……憎しみや恨みじゃ、呪いは殺せねえんだよ】
「ルーシー‼︎ 無事か‼︎?」
セッカの声に俺は途切れかけていた意識を取り戻し、よろよろと立ち上がる。
こんな時、ひ弱な自分の体が憎らしい……。
「けほっ……あぁ……なんとかな」
【まだ立つか……ははは、かわいそうな奴だよ、ルーシー。憎しみもなく、剣聖らしく空っぽのまんま戦ってりゃ、勝機なんていくらでもあっただろうに、持ち主に恵まれないと、いかな剣もなまくら同然だな】
挑発をするようにそう語るヨタカだが、俺はその言葉に首を振る。
「別に哀れまなくていいよ出来損ない……別に俺はアンタを倒すのが目的じゃない。憎しみを持って、アンタを惨めに終わらせるのが目的なんだ」
【随分と物騒だなぁ? それはお前の意思なのか?】
「どうだろうな、もしかしたらセッカに命令されてるから憎んでるのかもしれない。だけどそんなことはどうでもいいよ、だってどっちにしたって俺がお前を殺したいっていうのは本当なんだから」
俺は一拍呼吸を開けて、さらに出来損ないに斬りかかる。
もう何度攻撃を回避されたかはわからないが、それでも攻撃の手を止めるつもりはなかった。
【鈍い鈍い‼︎ 剣聖のスキルが泣いてるぞルーシー。 そんな攻撃が俺に当たるわけ……】
「よそ見をするな、我を見よ出来損ない‼︎ 貴様の相手は私だろうが‼︎『五連火柱‼︎』」
五つの炎の渦がヨタカを取り囲み飲み込む。
セッカの怒りに呼応するかのように、次第に炎は強くなっていき、飲み込まれたヨタカは音もなく蒸発をするが、すぐさまに体が再形成されていく。
【怒りで学習能力すらも失ったのかセッカ……何度やっても……む?】
しかし、その時始めてヨタカの余裕ぶった表情が歪む。
「ふっふふふ、貴様も人らしい表情ができるではないか、出来損ない」
見れば、体の際形成により身動きが取れなくなっている隙に、セッカはヨタカの狐の尾をつかんでいた。
【なるほど、御剣による器の破壊は諦めて、直接力の源である狐の尾を狙いに来たか……】
「あぁ、狐の尾がなくなれば貴様はただの汚泥に成り下がる。 ここで貴様を殺し、我がツキシロ家の悲願ここで達成してくれようぞ‼︎」
【―――っ‼︎?】
怒声とともにセッカは額に青筋を浮かべ、その狐の尾を引き抜こうとするが。
「‼︎? な、ぬ、抜けぬじゃと?」
狐の尾は抜けることなく、セッカは何度も狐の尾を引っ張るが、ビクともしない。
【着眼点は悪くない。 だが残念、お前のその作戦が有効なのは、狐(俺)の存在が表面化してない、つながりの弱い狐の尾だけだ……完全に取り込まれ、狐そのものとなった俺にはその手は通用しないし……狐を殺せるのは、剣聖だけだ】
ヨタカは嘲笑するように笑い、尻尾を掴むセッカの腕を振り払うと首を掴む。
「がっ‼︎?」
「セッカ‼︎?」
【頭の回転は早いのに往生際と運が悪いなセッカ‼︎ 憎しみで憎しみは潰せない、呪いで呪いは打ち消せない‼︎ 結局 混ざり合って巨大になるだけさ、お前がもうちょっと冷静で、お前の御剣がもうちょっと賢ければ俺を倒せたかもしれないのに、お前は憎しみを持って俺に挑んでしまった、お前は剣に憎しみを持てと命令してしまった‼︎ それだけで、その時点で、呪いそのものである俺には勝てねーんだよ‼︎ もがけばもがくほど深みにはまってく、それが厄ってもんだろうが‼︎】
「………っ」
俺は掴まれたセッカを助けようと剣を握るが。
【おっとぉ‼︎ 古典的すぎて言いたくないが動くなよぉ? お前の大事な大事なご主人さもの首が落ちるのはみたくはないだろ? 武器を捨てな‼︎ おっとお前の近くにじゃないぞ、すぐに拾えないように俺の方にだ‼︎】
「ぐっ‼︎?」
高らかに笑うヨタカに俺は言われた通り剣を捨てる。
【はっはははははは、そうそうそれで良いんだよ。人間はいつだってラブアンドピース、人を愛して絆を作って、そして呪(オレ)いが全てをぶっ壊す。バカだよなぁ、ここでセッカを見捨てれば、多少は長生きできるっていうのに。はっはははははは。さぁこれでチェックメイトだけど、ほかに何か手はあるのか? セッカ】
「……―――ッ」
【あん? 聞こえないぞぉ? 怖くて声も出ないかぁ?】
首を掴まれたまま、セッカを耳元まで近づけるヨタカ。
その下卑た瞳に俺は全身の血が逆流しそうな感覚をおぼえるが。
「たわけ……もちろん、あるに決まっておろう」
セッカはふてぶてしくヨタカの耳元でそう笑った。
【‼︎‼︎?】
『決戦凍氷‼︎ 改』
「これは……フェリアスの‼︎?」
大地に捨てたおっさんの剣から狐の尾が飛び出し……ヨタカの周り全てを一瞬にして氷河の時代へと逆行させる。
空から落ちる雨粒さえも凍りつき、先ほどまで火柱が上がっていた大地は代わりに氷柱が大地がめくりあげながら何本も生え、気がつけばその氷はセッカの体ごとヨタカの体を捉える。
【なっ‼︎? なななな、なんだこりゃあ‼︎ テメェ、いつの間に剣に細工してやがった‼︎】
驚きの声を上げるヨタカ、しかしセッカは氷に体を囚われながらも鼻を鳴らし。
「いつのまにって、最初からに決まっておろうが……いかに貴様が狐の尾を奪えるからといって、発現していない狐の尾を奪うことはできなかろう? あぁ、だからここぞという時まで温存しておいたのじゃ」
【ふざけんな‼︎? お前の体から出てる狐の尾はじゃあ何なんだよ‼︎?】
「露骨に一本たりなんだらいくらバカでも気がつくであろう。 魔力で勝手に作った偶像よ」
そういうと同時に、セッカは魔力を消したのか4本の狐の尾の一本が目の前で消滅する。
【いや、フェイクとかふざけんな‼︎? それじゃあお前は、戦いが始まる前からこの状況を予想してたってことだろう?】
俺の言葉にヨタカは首をかしげるが、セッカは悪辣な笑みを浮かべると。
「だから言ったじゃろうに? 手に取るようにわかるって」
そう言った。
大詰めである。
呪いの塊は氷により動きを止められ、セッカの体は震えながらもしっかりとヨタカを離すことはない。
【く、くそ‼︎? 離せ‼︎ 離しやがれ‼︎】
「離せと言われて話すバカがどこにおる……貴様はここでしまいじゃ……このままここで朽ち果てよ出来損ない‼︎ ルーシー、そのまま私ごとやれ‼︎」
セッカの言葉に、俺は無言のまま剣を構える。
その手にあるのは、ギルドマスターゲンゴロウの持っていた一振りの刀。
『断ちたいものを断ち、それ以外は斬らぬ。 剣は凶器にして暴力、切るものは問わぬ斬(ざん)の妖。 故に剣豪とは、その両腕のみで妖の手綱を操るものでなければならぬ。 それが出来ねば剣は己を、そして守りたかったはずのものさえ飲みこんで行く』
そんな言葉が俺の頭の中に思い起こされる。
そんなこと簡単だと、心の中で思った自分。
だけど、その言葉の真意を……俺は今更になって理解する。
力に飲み込まれたヨタカに、それを守れなかったことを後悔し続けたゲンゴロウ。
同じ思いをセッカにさせないように……同じことを繰り返さないように。
ゲンゴロウはセッカをずっと見守っていた。
そして……御剣である俺に、この剣を託したんだ。
「閃剣の明‼︎‼︎」
【狐火‼︎】
ひたすらに俺はヨタカに向かい斬撃を放ち、回避する先を見通した顔面にセッカは炎を叩き込む。
【おかしいなぁ? ちゃんと攻撃は読んで回避をしてるし、パターン分けをして同じ回避方法にならないように分散してるのに……なぁ、セッカ? どうしてお前の攻撃は当たるんだ?】
巨大な火柱の直撃。
しかしヨタカの体は一度崩れはするものの、すぐに元の形へと戻ってしまい、余裕綽々の様子で首を傾げながらセッカへとそんな問いを投げ掛ける。
「はっ‼︎ 当然じゃろう? 回避パターンの分析とか、分散とか、ぽやっぽやのくせに内政だけはまともだったお父様の考えそうなことじゃ、一体どれほど我がお父様が大好きだったと思う! お父様の考えそうなこと、取りそうな行動、思考パターン、何年経とうが体に染み付いておるわ‼︎」
叫びながら火柱を叩きつけるセッカに、ヨタカは体を再生させながら芝居掛かったため息を漏らす。
【泣かせるねぇ、親子の絆が呪いを追い詰める。 いい御伽草子だよ。 ファザコンもここまでくると感動できるんだねぇ……でも残念、非常に残念だ、何度も何度も俺を焼こうがこの体は呪いの塊、燃やせるだけで人の恨みつらみがなかったことになるなら、世界中の人間はみんな放火魔になっているはずさ、あぁだからこそこの攻撃はまるで無意味、でも安心しろよセッカ、人間っていうのは無意味なものに価値や喜びを見いだせる生き物なんだろう? だったら今のお前はちゃんと人間をしているよ……あはははは】
「出来損ないが、今のうちにほざいておくが良いわ『紅蓮地獄‼︎』」
両手をかざし、ヨタカの足元から巨大な火炎を生み出し、セッカは周りの雨粒もろともヨタカを蒸発させる。
その火力に泥はなすすべもなく霧散するが。
【まだまだぁ‼︎】
それでもなお、あたりの泥が寄せ集まりヨタカは黄泉帰る。
「やれ‼︎ ルーシー‼︎」
だが、体を再構築するその一瞬だけ、ヨタカの動きは止まる。
その隙を狙い、剣聖のスキルが示すままに、呪いを両断する。
「これで終わりだ‼︎【我流・大演爪‼︎】」
歪み三里による神速の移動から、動きの止まったヨタカへ放つ全方位攻撃。
逃げ場などない、回避も不可能、自らが持てる最速をもって俺はヨタカに全てをぶつける。
だが。
【だから何度も言ってるだろ? 憎しみのせいで、太刀筋がダダ漏れだぞ?】
その、俺が持てる最高の一撃ですら……ヨタカを捉えることができなかった。
「何で……うわっ‼︎?」
腹部に響く鈍痛。
見れば地面から伸びたヨタカの足が、俺の腹部に突き刺さっている。
形を形成している最中だったのが不幸中の幸か、体を貫かれることこそなかったが。
俺はそのまま、吹き飛ばされ地面へと叩きつけられる。
「ルーシー‼︎?」
【何度も言わせんなよ速さじゃないんだって。 お前が剣聖のスキルで俺を殺せる切り方がわかるように、俺には人の憎悪や憎しみが読み取れる……同じ狐の尾を持ってるセッカならともかく、いかに剣聖だろうとそれだけ憎悪に塗れてりゃどれだけ早く剣を振れようとどこをどう切るか懇切丁寧に教えてもらってるようなもんだ。おまけにセッカの掛け声まであったとなりゃ、あらかじめ安全な場所に体を置いておけば良い……憎しみや恨みじゃ、呪いは殺せねえんだよ】
「ルーシー‼︎ 無事か‼︎?」
セッカの声に俺は途切れかけていた意識を取り戻し、よろよろと立ち上がる。
こんな時、ひ弱な自分の体が憎らしい……。
「けほっ……あぁ……なんとかな」
【まだ立つか……ははは、かわいそうな奴だよ、ルーシー。憎しみもなく、剣聖らしく空っぽのまんま戦ってりゃ、勝機なんていくらでもあっただろうに、持ち主に恵まれないと、いかな剣もなまくら同然だな】
挑発をするようにそう語るヨタカだが、俺はその言葉に首を振る。
「別に哀れまなくていいよ出来損ない……別に俺はアンタを倒すのが目的じゃない。憎しみを持って、アンタを惨めに終わらせるのが目的なんだ」
【随分と物騒だなぁ? それはお前の意思なのか?】
「どうだろうな、もしかしたらセッカに命令されてるから憎んでるのかもしれない。だけどそんなことはどうでもいいよ、だってどっちにしたって俺がお前を殺したいっていうのは本当なんだから」
俺は一拍呼吸を開けて、さらに出来損ないに斬りかかる。
もう何度攻撃を回避されたかはわからないが、それでも攻撃の手を止めるつもりはなかった。
【鈍い鈍い‼︎ 剣聖のスキルが泣いてるぞルーシー。 そんな攻撃が俺に当たるわけ……】
「よそ見をするな、我を見よ出来損ない‼︎ 貴様の相手は私だろうが‼︎『五連火柱‼︎』」
五つの炎の渦がヨタカを取り囲み飲み込む。
セッカの怒りに呼応するかのように、次第に炎は強くなっていき、飲み込まれたヨタカは音もなく蒸発をするが、すぐさまに体が再形成されていく。
【怒りで学習能力すらも失ったのかセッカ……何度やっても……む?】
しかし、その時始めてヨタカの余裕ぶった表情が歪む。
「ふっふふふ、貴様も人らしい表情ができるではないか、出来損ない」
見れば、体の際形成により身動きが取れなくなっている隙に、セッカはヨタカの狐の尾をつかんでいた。
【なるほど、御剣による器の破壊は諦めて、直接力の源である狐の尾を狙いに来たか……】
「あぁ、狐の尾がなくなれば貴様はただの汚泥に成り下がる。 ここで貴様を殺し、我がツキシロ家の悲願ここで達成してくれようぞ‼︎」
【―――っ‼︎?】
怒声とともにセッカは額に青筋を浮かべ、その狐の尾を引き抜こうとするが。
「‼︎? な、ぬ、抜けぬじゃと?」
狐の尾は抜けることなく、セッカは何度も狐の尾を引っ張るが、ビクともしない。
【着眼点は悪くない。 だが残念、お前のその作戦が有効なのは、狐(俺)の存在が表面化してない、つながりの弱い狐の尾だけだ……完全に取り込まれ、狐そのものとなった俺にはその手は通用しないし……狐を殺せるのは、剣聖だけだ】
ヨタカは嘲笑するように笑い、尻尾を掴むセッカの腕を振り払うと首を掴む。
「がっ‼︎?」
「セッカ‼︎?」
【頭の回転は早いのに往生際と運が悪いなセッカ‼︎ 憎しみで憎しみは潰せない、呪いで呪いは打ち消せない‼︎ 結局 混ざり合って巨大になるだけさ、お前がもうちょっと冷静で、お前の御剣がもうちょっと賢ければ俺を倒せたかもしれないのに、お前は憎しみを持って俺に挑んでしまった、お前は剣に憎しみを持てと命令してしまった‼︎ それだけで、その時点で、呪いそのものである俺には勝てねーんだよ‼︎ もがけばもがくほど深みにはまってく、それが厄ってもんだろうが‼︎】
「………っ」
俺は掴まれたセッカを助けようと剣を握るが。
【おっとぉ‼︎ 古典的すぎて言いたくないが動くなよぉ? お前の大事な大事なご主人さもの首が落ちるのはみたくはないだろ? 武器を捨てな‼︎ おっとお前の近くにじゃないぞ、すぐに拾えないように俺の方にだ‼︎】
「ぐっ‼︎?」
高らかに笑うヨタカに俺は言われた通り剣を捨てる。
【はっはははははは、そうそうそれで良いんだよ。人間はいつだってラブアンドピース、人を愛して絆を作って、そして呪(オレ)いが全てをぶっ壊す。バカだよなぁ、ここでセッカを見捨てれば、多少は長生きできるっていうのに。はっはははははは。さぁこれでチェックメイトだけど、ほかに何か手はあるのか? セッカ】
「……―――ッ」
【あん? 聞こえないぞぉ? 怖くて声も出ないかぁ?】
首を掴まれたまま、セッカを耳元まで近づけるヨタカ。
その下卑た瞳に俺は全身の血が逆流しそうな感覚をおぼえるが。
「たわけ……もちろん、あるに決まっておろう」
セッカはふてぶてしくヨタカの耳元でそう笑った。
【‼︎‼︎?】
『決戦凍氷‼︎ 改』
「これは……フェリアスの‼︎?」
大地に捨てたおっさんの剣から狐の尾が飛び出し……ヨタカの周り全てを一瞬にして氷河の時代へと逆行させる。
空から落ちる雨粒さえも凍りつき、先ほどまで火柱が上がっていた大地は代わりに氷柱が大地がめくりあげながら何本も生え、気がつけばその氷はセッカの体ごとヨタカの体を捉える。
【なっ‼︎? なななな、なんだこりゃあ‼︎ テメェ、いつの間に剣に細工してやがった‼︎】
驚きの声を上げるヨタカ、しかしセッカは氷に体を囚われながらも鼻を鳴らし。
「いつのまにって、最初からに決まっておろうが……いかに貴様が狐の尾を奪えるからといって、発現していない狐の尾を奪うことはできなかろう? あぁ、だからここぞという時まで温存しておいたのじゃ」
【ふざけんな‼︎? お前の体から出てる狐の尾はじゃあ何なんだよ‼︎?】
「露骨に一本たりなんだらいくらバカでも気がつくであろう。 魔力で勝手に作った偶像よ」
そういうと同時に、セッカは魔力を消したのか4本の狐の尾の一本が目の前で消滅する。
【いや、フェイクとかふざけんな‼︎? それじゃあお前は、戦いが始まる前からこの状況を予想してたってことだろう?】
俺の言葉にヨタカは首をかしげるが、セッカは悪辣な笑みを浮かべると。
「だから言ったじゃろうに? 手に取るようにわかるって」
そう言った。
大詰めである。
呪いの塊は氷により動きを止められ、セッカの体は震えながらもしっかりとヨタカを離すことはない。
【く、くそ‼︎? 離せ‼︎ 離しやがれ‼︎】
「離せと言われて話すバカがどこにおる……貴様はここでしまいじゃ……このままここで朽ち果てよ出来損ない‼︎ ルーシー、そのまま私ごとやれ‼︎」
セッカの言葉に、俺は無言のまま剣を構える。
その手にあるのは、ギルドマスターゲンゴロウの持っていた一振りの刀。
『断ちたいものを断ち、それ以外は斬らぬ。 剣は凶器にして暴力、切るものは問わぬ斬(ざん)の妖。 故に剣豪とは、その両腕のみで妖の手綱を操るものでなければならぬ。 それが出来ねば剣は己を、そして守りたかったはずのものさえ飲みこんで行く』
そんな言葉が俺の頭の中に思い起こされる。
そんなこと簡単だと、心の中で思った自分。
だけど、その言葉の真意を……俺は今更になって理解する。
力に飲み込まれたヨタカに、それを守れなかったことを後悔し続けたゲンゴロウ。
同じ思いをセッカにさせないように……同じことを繰り返さないように。
ゲンゴロウはセッカをずっと見守っていた。
そして……御剣である俺に、この剣を託したんだ。
「閃剣の明‼︎‼︎」
0
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる