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魚釣りの帰り道に
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空は星一つ見えず、どんよりとした黒い雲が流れるのだけが見えていた。そこは初めて来たのだがずっと前から目をつけていた釣り場所で、想像以上に釣れなかった。わざわざ崖道歩いて山を下ってはきたものの、散々な目にあってしまった。もちろん周りには誰一人と見えないような穴場的な所でずーっと海の向こう側に漁船かなにかポツンと見えるだけで照明も自分のヘッドライトのみである。
時間も12時を回っている。これ以上居てもキリがないとみて帰る事にした。車のとこへ戻るにはこの崖道を10分程登らなくてはならない。こんなとこ、2度と来るかと苛立った。5分ほど道を上がり、多い荷物を地面に下ろして一服する事にした。クウラボックスに腰をかけ、タバコに火を点けた。周りの木がザワザワとざわめき始め、なにか嫌な予感がしてきた。さらにザーーーッッと突然大雨が打ち寄せてきた。最悪だと思いながらも車に走って戻る。ようやくたどり着いて車に乗り込んだ。最悪に最悪が重なり地面がぬかるんでいる。何回も何回も切り返しているその時横から突き出た太い枝に天井部分が激しく擦ったガガガガッッ!!最悪と連呼してしまう。車を降りてその辺の大きな石をタイヤの下に詰め込みなんとか脱出できた。だが慌て過ぎた為か帰りの道が分からなくなってしまった。おまけに車が雨漏りをしている。もう彼は半分泣きそうになっている。タバコの灰も落とさずにそのままずっとふかしている。このままじゃまずいと思いどこか屋根になる様な場所の下で野宿する事にすると決めた。後部座席の天井の端から雨水がタラタラと車の中へ流れこんでくる。一刻も早く屋根の場所を見つけなくてはと車を回すが全くどこにも家がない。たまに見えるのは朽ち果てた木造の建物がポツンポツンと出てくるが、どの家も酷く荒廃している。勿論携帯電話は電波が入らず、助けも呼べない。その時だ、それも朽ち果てた看板が見える。本当は白いのだろうがコケで緑掛かった縦横1メートルはあるとても古い看板だ。コケとサビのせいであまり字が読めないがこの先に病院があると書いてある。とりあえずホッと気持ちが落ち着きながら車を回す。どうせ廃墟だろうが屋根の下に避難出来る。眠気も限界にきている為だろう、廃墟でもなにも気にならなかった。「このへんかなあ……え!?」彼はその廃墟の佇まいがとても不気味に感じ、動揺した。真っ白なコンクリート造りの建物でヒビ割れが激しくあちらこちらに木のツルが巻いている。3階建ての50坪ほどの構造だ。運良く1階部分の一部が屋根付き駐車場となっており、そこに車を停めさせて頂く事にする。車の中で寝るつもりだったがシートがびしょ濡れになり過ぎてとても寝れる状態ではなかった。仕方なく病院の中へ不法侵入になるがやむを得ない為上がらせて頂く事にした。受付のソファで寝る事にしようと思いながらさっそく中へ入る。意外に簡単にドアが開いた。とても真っ暗で静まりかえっている院内がさらに不気味さを増した。がしょうがないから寝るしかない。早くソファか何か見つけて寝させてもらおう。玄関から入って通路になるがそこが意外と細く曲がり角が多くてしかも長い。なんでこんな構造にしたんだと思いながら歩を進める。ようやくフロアに着いた。ここがきっと受付か何かだろうと。ソファもあった為、そこへ横になる。さすがにあれだけの不幸にあい、疲れとストレスからであろう。睡魔が酷かった為すぐにでも眠れそうだ。彼は通路からフロアへ入って右側の角にあるソファでフロア側を向いて横になっている。その正面の奥に別の通路があるのだがその向こう側からずっと音がしてくる。どこか窓が開いていてそから強い風が入ってきているのだろう。あまり気にせず寝かかっていた。その時ガシャーーーン!!!という音にビックリして彼の眠気は一瞬にして消えた。また苛立った様子で次はなんだと思いながらそっちの方向へ歩を進める。どうせ強風で器具かなにかが倒れたのだろうと確信していた。だがどこにも、どの部屋にも開いた窓や酷く倒れたような器具などどこにもない。上の階だと思い、階段を上がる。足音が響き、一歩ずつ上がるにつれ少しずつ正気に戻っていく。上りあがったところで今の自分の現状に気づき物凄く怖くなり動けなくなってしまった。なぜここまできてしまったのだろうと。怒りと眠気から覚めて、正気の彼に戻ってしまったのである。とにかく原因を見つけてさっさと寝るしかない、そう言い聞かせて恐る恐る歩を進める。2階のどこの場所も探したがなにもない。それに3階建てと思いきや3階がないのだ。上がる階段がどこにもない。慌てていたからか見間違っていたのか。とにかく戻って休もうと思い、1階へ戻っている時、ヘッドライトが消えてしまった。最悪に最悪が積み重なる。とても弱いが携帯のライトで辺りを照らす。1メートル先ぐらいなら見えるしどうにかなりそうだ。しかし降りる階段はこんな所だったかと気になった。あまり何も考えずとりあえず降りる事にした。それにしても階段の数が少ない。どう考えてもおかしいと思い携帯のライトで辺りを見回した。なんとそこは手術室だったのだ。だが荒らされた形跡はない。おかしすぎる。だがその時、部屋の中に雷が、落ちたかの様な閃光が走る。彼は目をやられ周囲が見えにくくなっている。その先にうっすらと人の陰がこちらへと向かってくる。盲目した目が徐々に慣れてきてそれを目の当たりにした彼は度肝を抜かれる。顔がパンパンに腫れ上がり両目は閉じている。両腕が無く坊主頭で痩せこけた体で170センチにも満たないほどの背丈だ。まだこちら側の存在に気づいていない様子で辺りを見回している。目が閉じているのに見えるのだろうか。彼の心拍数は絶頂に達している。昔テレビであったキョンシーでも見るように思い切り息を押し殺している。階段の方にまだ奴はいる。この怪物の隙をみてその場から逃げ出す事に決めた。一瞬とも目を離さず見つけたら思い切り駆け込んで外へ飛び出す。しかし一体この化け物はなんなんだろう、両目が無いのか、ずっと閉じていて両腕がない、顔が腫れ上がりまるでホラー映画でも見ているようだ。音だけを頼りに動いている様子だ。あっちへ方向を向けた瞬間彼は一気に飛び出し、階段を駆け上がった。必死に1階へ降りる階段を探しながら懸命に走る。奴は追ってきていないようだもういいだろうと思い、膝に手をついて深く呼吸を整えた。それにしても階段が見つからない、しかもまたわけの分からない場所へと来てしまっていた。ここはトイレか?辺りは水色のタイルで敷き詰められている。だがそれらしきものは一つもない、その代わり瓶や水槽がポツポツと置いてある。携帯のライトを近ずけ目を凝らしてよく見ると、水かなにかつけてあるものは一体なんなのか?まさか奴の体の一部なのか、変に考えれば考えるほど気味が悪くなりそこをあとにしようとしたその時……
彼は気を失った。気がつくと車の中で寝ていた。夢だったのか現実だったのか、とにかく車を走らせ帰宅する。いったい奴はなんだったのか、あの病院はなんだったのか、あの集落はなんだったのか。わけが分からないまままたいつも通りの生活に戻っていった。あそこにはもう2度と近寄りたくはないがあそこで過去に一体なにがあったのかは未だに気になっている。
時間も12時を回っている。これ以上居てもキリがないとみて帰る事にした。車のとこへ戻るにはこの崖道を10分程登らなくてはならない。こんなとこ、2度と来るかと苛立った。5分ほど道を上がり、多い荷物を地面に下ろして一服する事にした。クウラボックスに腰をかけ、タバコに火を点けた。周りの木がザワザワとざわめき始め、なにか嫌な予感がしてきた。さらにザーーーッッと突然大雨が打ち寄せてきた。最悪だと思いながらも車に走って戻る。ようやくたどり着いて車に乗り込んだ。最悪に最悪が重なり地面がぬかるんでいる。何回も何回も切り返しているその時横から突き出た太い枝に天井部分が激しく擦ったガガガガッッ!!最悪と連呼してしまう。車を降りてその辺の大きな石をタイヤの下に詰め込みなんとか脱出できた。だが慌て過ぎた為か帰りの道が分からなくなってしまった。おまけに車が雨漏りをしている。もう彼は半分泣きそうになっている。タバコの灰も落とさずにそのままずっとふかしている。このままじゃまずいと思いどこか屋根になる様な場所の下で野宿する事にすると決めた。後部座席の天井の端から雨水がタラタラと車の中へ流れこんでくる。一刻も早く屋根の場所を見つけなくてはと車を回すが全くどこにも家がない。たまに見えるのは朽ち果てた木造の建物がポツンポツンと出てくるが、どの家も酷く荒廃している。勿論携帯電話は電波が入らず、助けも呼べない。その時だ、それも朽ち果てた看板が見える。本当は白いのだろうがコケで緑掛かった縦横1メートルはあるとても古い看板だ。コケとサビのせいであまり字が読めないがこの先に病院があると書いてある。とりあえずホッと気持ちが落ち着きながら車を回す。どうせ廃墟だろうが屋根の下に避難出来る。眠気も限界にきている為だろう、廃墟でもなにも気にならなかった。「このへんかなあ……え!?」彼はその廃墟の佇まいがとても不気味に感じ、動揺した。真っ白なコンクリート造りの建物でヒビ割れが激しくあちらこちらに木のツルが巻いている。3階建ての50坪ほどの構造だ。運良く1階部分の一部が屋根付き駐車場となっており、そこに車を停めさせて頂く事にする。車の中で寝るつもりだったがシートがびしょ濡れになり過ぎてとても寝れる状態ではなかった。仕方なく病院の中へ不法侵入になるがやむを得ない為上がらせて頂く事にした。受付のソファで寝る事にしようと思いながらさっそく中へ入る。意外に簡単にドアが開いた。とても真っ暗で静まりかえっている院内がさらに不気味さを増した。がしょうがないから寝るしかない。早くソファか何か見つけて寝させてもらおう。玄関から入って通路になるがそこが意外と細く曲がり角が多くてしかも長い。なんでこんな構造にしたんだと思いながら歩を進める。ようやくフロアに着いた。ここがきっと受付か何かだろうと。ソファもあった為、そこへ横になる。さすがにあれだけの不幸にあい、疲れとストレスからであろう。睡魔が酷かった為すぐにでも眠れそうだ。彼は通路からフロアへ入って右側の角にあるソファでフロア側を向いて横になっている。その正面の奥に別の通路があるのだがその向こう側からずっと音がしてくる。どこか窓が開いていてそから強い風が入ってきているのだろう。あまり気にせず寝かかっていた。その時ガシャーーーン!!!という音にビックリして彼の眠気は一瞬にして消えた。また苛立った様子で次はなんだと思いながらそっちの方向へ歩を進める。どうせ強風で器具かなにかが倒れたのだろうと確信していた。だがどこにも、どの部屋にも開いた窓や酷く倒れたような器具などどこにもない。上の階だと思い、階段を上がる。足音が響き、一歩ずつ上がるにつれ少しずつ正気に戻っていく。上りあがったところで今の自分の現状に気づき物凄く怖くなり動けなくなってしまった。なぜここまできてしまったのだろうと。怒りと眠気から覚めて、正気の彼に戻ってしまったのである。とにかく原因を見つけてさっさと寝るしかない、そう言い聞かせて恐る恐る歩を進める。2階のどこの場所も探したがなにもない。それに3階建てと思いきや3階がないのだ。上がる階段がどこにもない。慌てていたからか見間違っていたのか。とにかく戻って休もうと思い、1階へ戻っている時、ヘッドライトが消えてしまった。最悪に最悪が積み重なる。とても弱いが携帯のライトで辺りを照らす。1メートル先ぐらいなら見えるしどうにかなりそうだ。しかし降りる階段はこんな所だったかと気になった。あまり何も考えずとりあえず降りる事にした。それにしても階段の数が少ない。どう考えてもおかしいと思い携帯のライトで辺りを見回した。なんとそこは手術室だったのだ。だが荒らされた形跡はない。おかしすぎる。だがその時、部屋の中に雷が、落ちたかの様な閃光が走る。彼は目をやられ周囲が見えにくくなっている。その先にうっすらと人の陰がこちらへと向かってくる。盲目した目が徐々に慣れてきてそれを目の当たりにした彼は度肝を抜かれる。顔がパンパンに腫れ上がり両目は閉じている。両腕が無く坊主頭で痩せこけた体で170センチにも満たないほどの背丈だ。まだこちら側の存在に気づいていない様子で辺りを見回している。目が閉じているのに見えるのだろうか。彼の心拍数は絶頂に達している。昔テレビであったキョンシーでも見るように思い切り息を押し殺している。階段の方にまだ奴はいる。この怪物の隙をみてその場から逃げ出す事に決めた。一瞬とも目を離さず見つけたら思い切り駆け込んで外へ飛び出す。しかし一体この化け物はなんなんだろう、両目が無いのか、ずっと閉じていて両腕がない、顔が腫れ上がりまるでホラー映画でも見ているようだ。音だけを頼りに動いている様子だ。あっちへ方向を向けた瞬間彼は一気に飛び出し、階段を駆け上がった。必死に1階へ降りる階段を探しながら懸命に走る。奴は追ってきていないようだもういいだろうと思い、膝に手をついて深く呼吸を整えた。それにしても階段が見つからない、しかもまたわけの分からない場所へと来てしまっていた。ここはトイレか?辺りは水色のタイルで敷き詰められている。だがそれらしきものは一つもない、その代わり瓶や水槽がポツポツと置いてある。携帯のライトを近ずけ目を凝らしてよく見ると、水かなにかつけてあるものは一体なんなのか?まさか奴の体の一部なのか、変に考えれば考えるほど気味が悪くなりそこをあとにしようとしたその時……
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