【R18】お盆

トキどき

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1.誘惑

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 ―お盆。

 それは日本で夏に行われる、祖先の霊を祀る行事の事である。

 この日ばかりは、日頃どんなに近くても行かないお墓を訪れ、掃除をし、花や供物を飾り、蝋燭の火を灯してお参りをする。

 遠方の者はわざわざ休みを取って実家へ帰る。
 そうして集まった親戚共で、酒を飲みながら下らない話に興じるのだ。

 が、最近はそれすらしない奴らが多い。
 滅多に取れない連休として、家族旅行へ出かけたり、自分の休暇として利用する。
 
 かくいう俺はどうかって?
 そうだな、それなりにちゃんとやってると思うよ。



 俺、宇佐夏巳うさなつみは、去年大学を卒業した社会人2年生である。
 昨今の売り手市場のおかげで、ほどほどの大学卒の俺でも、中堅の企業に就職できた。

 残業や休日出勤はあるものの、ちゃんと手当もつくし、休みも確保できている。
 給料も高額とまではいかないが、常識の範囲で遊ぶのに困るほどではない。
 ざっくり言えば、中の上といったところだろう。

 今の生活に十分満足している俺は、祖先に感謝することも、願うこともない。
 そもそもあったことも無い人間を敬えと言われても、土台無理な話である。

「ねぇ、泳がないの?」
「んー、もう少し休んでからにしようぜ?暑いし、人も多いしさ」

 よくある古びた海の家。
 写真映えする洒落た店に客を取られて、人はまばらだ。

 お盆中日なかびの今日、俺は都心を離れ海に来ていた。

 使い古されたゴザの上で、冷たいビールをごくりと嚥下する。
 海からあがってまだ1時間も経っていない。
 この後の事を考えたら、もう少し休んでおきたいというのが本音だった。

「そうだけどぉ…」

 甘えてぴたりと身体をよせてくる隣の女は、砂浜をふらついている時に声をかけられた。

 ビキニタイプの水着は、トップスが白で肩紐にフリルのついたかわいらしいデザインだが、胸は寄せてかなり協調されている。
 花柄のショーツはサイドが編み上げになっていて、リボンが解いてくれとばかりに揺れていた。

 童顔のかわいらしい見かけの割に中身は肉食のようで、先ほどから無駄に柔らかい感触を俺に押し付けてくる。

 まあ、昼飯も食べた事だし、頃合いかもしれない。
 俺は残りのビールを一気に煽ると、剥き出しの女の腰をぐっと引き寄せた。

「な、もっと静かなトコ、行かない?」
「えぇ―」

 語尾が上がった声は、迷っているように見せながらも、顔は期待に満ち溢れていた。
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