18 / 37
第18 ばってん
しおりを挟む
私は今、たーれい 子爵邸の応接間にいます。
貴族のまどろっこしい決まりで、手続きには時間がかかるようです。
暇ですね。
でも。
お菓子には手を伸ばしません。
何故か、へたれ君の お姉さんがいるから、よそゆきの顔をしています。高級そうなお菓子が夢のように並んでいるのに。
誰も口にしないから、食べづらいんですよね。
りょうちゃんなら、遠慮せずにバクバクと頬を張るでしょう。
いずみちゃんならうまいことみんなで食べる流れに持っていくはずです。
でも、私は......。
損な性格をしていますよね。
はあっ。
「 甘いものはお嫌い?」
へたれ君の お姉さんが笑顔で聞いてきます。
私は素直に答えました。
「 大好きです」
「 もう一度、同じセリフを言ってくれ!」
へたれ君が 妙なテンションだけど、面倒などので無視しておきましょう。
お姉さんは、私にお菓子を勧めてくれました。
「 遠慮なさらずにどうぞ、お食べになって」
「 私だけがいただくわけにはいきませんよ」
「 つまり俺様と一緒に食べたいってことだな!」
「 では、私と一緒に召し上がってくださいな」
そう言って、 お姉さんがクッキーを口に入れます。
やっと。
私もお菓子を味わうことができました。
「 美味しいです!」
「 気に入っていただけて嬉しいわ」
「 一流のパティシエがいるんですね」
「いえ、 これは私が作ったのよ」
「 凄いですね!私はこんなにうまく作れませんよ」
「 では今度、時間が空いた時にでも一緒にお菓子作りをなさらない?
作り方を教えて差し上げるわ」
「 是非お願いします!」
私とお姉さんは意気投合しました。
今のうちに。
精霊界について勉強しておきましょう。
大地のエリア、水のエリア、火のエリア、風のエリア、光のエリア、闇のエリアといった6つのエリアに 分かれていて、それぞれのエリアに精霊王がいます。
大地のエリアには大地の精霊王といった具合です。
まずは、こものちゃんの 属性を知る必要があります。
別のエリアの精霊王に会っても意味がないからです。
残念ながら私は、こものちゃんの 言葉がわかりません。
ひんじゃく君に 聞いてもらう他ありませんでした。
「こものちゃんの 属性は何?」
「こもこも」
「へーっ、 そうなんだ」
「こもこもっ」
「あはは。 そうだね」
「うん、 わかるよ。
でも、あれだからね」
「 通訳してくださいよ!」
これだから男子は!
......いえ。
今のは八つ当たりのようなものですね。
反省。
反省はするけど。
やっぱり、こものちゃんと楽しそうに談笑しているのはうらやましいですよ。
そう思っていると、ひんじゃく君は 素直に謝ってくれました。
「 ごめん、忘れてたね。
俺のカードを使えば、一時的に[精霊の加護]を受けられるよ」
「 つまり、こものちゃんと 会話が成立するわけですね?」
「 そういうことだよ」
では早速。
こものちゃんに 声をかけてみましょう。
「こものちゃん、 元気ですか?」
「 元気こも」
語尾は『こも』のままなんですね。
あざとい感じもしますけど、かわいいので何の問題もありません。
「こものちゃん、 たくさんおしゃべりしましょうね」
「はいこもっ」
にっこり。
癒されますね。
心が洗われて、今までの苦労が忘れられそうですよ。
なぜか。
へたれ君が 仕切っていました。
「 手続きが済んだから、精霊界に向かうぜ」
「 ちょっと待ってください。
へたれ君も仲間に入るつもりですか?」
「たーれい 子爵家は代々、精霊使いの家系なんだ。
だから、むしろ。
ふぃんじゃっくのような 部外者を連れて行く必要はないんだよ」
「いえ。
私はへたれ君とは 仲間になりたくないから、ひんじゃく君じゃないと 無理ですよ」
「そ、 そんな!?」
ガーン!
弟の心配をよそに、お姉さんは場違いな質問をしました。
「ふぇるがへたれ君なら、 私は何ちゃんかしら?
ちなみに私のフルネームは、とぅーりんでいりあ、たーれいと 申しますのよ」
「うーん......。
りあちゃん でしょうか」
「 あら、普通なのね」
「姉様は 性格は普通じゃないけどな」
へたれ君は 余計なひと言を言っていました 。
これはお姉さんを完全に怒らせてしまいましたね。
「 私は別にふぇるのために 何もしていないことになっているから、何とでも言いなさい」
お姉さんは逆に、へたれ君のために 何らかの手助けをしているわけですね。
「 つんでれちゃんですね」
「 私はでこちゃんに『お姉様』と呼ばれたいだけで、別に ふぇるのために仲良くしているわけじゃないのよ」
なるほど。
つんでれちゃんは、へたれ君にたーれい家を 継いでほしいし。
私には、へたれ君の お嫁さんになってほしいわけですか。
もちろんお断りですよ。
「 私はつんでれちゃんとだけ 仲良くしたいですよ」
「あら?
『お姉様』と呼んではくださらないの?」
「 はい。つんでれちゃんの義 妹になるつもりはありません」
「そう。
じゃあ、『お姉ちゃん』ね」
にっこり。
「いえ、つんでれちゃんと 呼ばせてください」
「 姉妹同士であだ名で呼び合うのも悪くないわね」
「...... そんなに、へたれ君が大好きなんですか」
「 でこちゃんと仲良くしたいだけよ」
@ そこは、『勘違いしないでよね。別にへたれ君のためじゃないんだからね』だろ!
@つんでれちゃんを 名乗るならツンデレのテンプレは押さえとかないとな!
「 でこちゃん、そうなの?」
「ええ、まぁ......」
「 勘違いなさらないでよね。私は別に、ふぇるのためにでこちゃんと仲良くしているわけではありませんからね」
つんでれちゃんは 照れたような表情まで作って下さったので、視聴者の皆さんはご満悦でした。
@ 完璧だ!
何か忘れているような?
@こものちゃんのことでしょ。
そうでした。
えっと......。
こものちゃんは 風の精霊と判明したので、精霊界の風のエリアに向かいます。
貴族のまどろっこしい決まりで、手続きには時間がかかるようです。
暇ですね。
でも。
お菓子には手を伸ばしません。
何故か、へたれ君の お姉さんがいるから、よそゆきの顔をしています。高級そうなお菓子が夢のように並んでいるのに。
誰も口にしないから、食べづらいんですよね。
りょうちゃんなら、遠慮せずにバクバクと頬を張るでしょう。
いずみちゃんならうまいことみんなで食べる流れに持っていくはずです。
でも、私は......。
損な性格をしていますよね。
はあっ。
「 甘いものはお嫌い?」
へたれ君の お姉さんが笑顔で聞いてきます。
私は素直に答えました。
「 大好きです」
「 もう一度、同じセリフを言ってくれ!」
へたれ君が 妙なテンションだけど、面倒などので無視しておきましょう。
お姉さんは、私にお菓子を勧めてくれました。
「 遠慮なさらずにどうぞ、お食べになって」
「 私だけがいただくわけにはいきませんよ」
「 つまり俺様と一緒に食べたいってことだな!」
「 では、私と一緒に召し上がってくださいな」
そう言って、 お姉さんがクッキーを口に入れます。
やっと。
私もお菓子を味わうことができました。
「 美味しいです!」
「 気に入っていただけて嬉しいわ」
「 一流のパティシエがいるんですね」
「いえ、 これは私が作ったのよ」
「 凄いですね!私はこんなにうまく作れませんよ」
「 では今度、時間が空いた時にでも一緒にお菓子作りをなさらない?
作り方を教えて差し上げるわ」
「 是非お願いします!」
私とお姉さんは意気投合しました。
今のうちに。
精霊界について勉強しておきましょう。
大地のエリア、水のエリア、火のエリア、風のエリア、光のエリア、闇のエリアといった6つのエリアに 分かれていて、それぞれのエリアに精霊王がいます。
大地のエリアには大地の精霊王といった具合です。
まずは、こものちゃんの 属性を知る必要があります。
別のエリアの精霊王に会っても意味がないからです。
残念ながら私は、こものちゃんの 言葉がわかりません。
ひんじゃく君に 聞いてもらう他ありませんでした。
「こものちゃんの 属性は何?」
「こもこも」
「へーっ、 そうなんだ」
「こもこもっ」
「あはは。 そうだね」
「うん、 わかるよ。
でも、あれだからね」
「 通訳してくださいよ!」
これだから男子は!
......いえ。
今のは八つ当たりのようなものですね。
反省。
反省はするけど。
やっぱり、こものちゃんと楽しそうに談笑しているのはうらやましいですよ。
そう思っていると、ひんじゃく君は 素直に謝ってくれました。
「 ごめん、忘れてたね。
俺のカードを使えば、一時的に[精霊の加護]を受けられるよ」
「 つまり、こものちゃんと 会話が成立するわけですね?」
「 そういうことだよ」
では早速。
こものちゃんに 声をかけてみましょう。
「こものちゃん、 元気ですか?」
「 元気こも」
語尾は『こも』のままなんですね。
あざとい感じもしますけど、かわいいので何の問題もありません。
「こものちゃん、 たくさんおしゃべりしましょうね」
「はいこもっ」
にっこり。
癒されますね。
心が洗われて、今までの苦労が忘れられそうですよ。
なぜか。
へたれ君が 仕切っていました。
「 手続きが済んだから、精霊界に向かうぜ」
「 ちょっと待ってください。
へたれ君も仲間に入るつもりですか?」
「たーれい 子爵家は代々、精霊使いの家系なんだ。
だから、むしろ。
ふぃんじゃっくのような 部外者を連れて行く必要はないんだよ」
「いえ。
私はへたれ君とは 仲間になりたくないから、ひんじゃく君じゃないと 無理ですよ」
「そ、 そんな!?」
ガーン!
弟の心配をよそに、お姉さんは場違いな質問をしました。
「ふぇるがへたれ君なら、 私は何ちゃんかしら?
ちなみに私のフルネームは、とぅーりんでいりあ、たーれいと 申しますのよ」
「うーん......。
りあちゃん でしょうか」
「 あら、普通なのね」
「姉様は 性格は普通じゃないけどな」
へたれ君は 余計なひと言を言っていました 。
これはお姉さんを完全に怒らせてしまいましたね。
「 私は別にふぇるのために 何もしていないことになっているから、何とでも言いなさい」
お姉さんは逆に、へたれ君のために 何らかの手助けをしているわけですね。
「 つんでれちゃんですね」
「 私はでこちゃんに『お姉様』と呼ばれたいだけで、別に ふぇるのために仲良くしているわけじゃないのよ」
なるほど。
つんでれちゃんは、へたれ君にたーれい家を 継いでほしいし。
私には、へたれ君の お嫁さんになってほしいわけですか。
もちろんお断りですよ。
「 私はつんでれちゃんとだけ 仲良くしたいですよ」
「あら?
『お姉様』と呼んではくださらないの?」
「 はい。つんでれちゃんの義 妹になるつもりはありません」
「そう。
じゃあ、『お姉ちゃん』ね」
にっこり。
「いえ、つんでれちゃんと 呼ばせてください」
「 姉妹同士であだ名で呼び合うのも悪くないわね」
「...... そんなに、へたれ君が大好きなんですか」
「 でこちゃんと仲良くしたいだけよ」
@ そこは、『勘違いしないでよね。別にへたれ君のためじゃないんだからね』だろ!
@つんでれちゃんを 名乗るならツンデレのテンプレは押さえとかないとな!
「 でこちゃん、そうなの?」
「ええ、まぁ......」
「 勘違いなさらないでよね。私は別に、ふぇるのためにでこちゃんと仲良くしているわけではありませんからね」
つんでれちゃんは 照れたような表情まで作って下さったので、視聴者の皆さんはご満悦でした。
@ 完璧だ!
何か忘れているような?
@こものちゃんのことでしょ。
そうでした。
えっと......。
こものちゃんは 風の精霊と判明したので、精霊界の風のエリアに向かいます。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる