魔女様の恋愛指南

はなまる

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わがまま姫様のご報告

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 平民では着ることができないドレス姿の少女が、ラブリナのもとを 訪ねてきた。

「ラブリナ様、 ごきげんよう」
「クルセイラ姫か。 何の用じゃ?」

 クルセイラはマルシュ王国の 第一王女だった。 最近彼女は サルヴァトーレ公爵のラハールと結婚し、 サルヴァトーレ公爵夫人となったばかりである。
 クルセイラと ラハールは仲睦ましく、 恋愛相談という名のノロケ話をしに来たのだろうか。

 爆発しろ!

 ・・・・・・。

 こほん。

 まずは深呼吸して、 ゆっくりとお茶を飲むことにしよう。

 クルセイラは 優雅に微笑み、用件を伝えることにした。

「 お兄さまのお相手の話を聞きにきましたのよ」
「 フェルディナントの相手・・・・・・ ティアのことかの」

 第一王子のフェルディナントが最近、 お忍びでアキナ村に遊びに来ていた。 その時に、 偶然居合わせた ティアとぶつかり、 お互いに一目惚れしたという。
 少女向けの物語ならよくできた話かもしれない。
 しかし、これは現実だ。 うまくいくはずがない。

 第一王子のフェルディナンドは王位継承権第1位で、 王太子となり いずれは国王陛下となる身だ。 その相手は上級貴族かた国の王女が求められる。
 平民では側室になることも叶わない。
 愛妾なら?
 いや、 身分違いの恋というのは叶わないものだ。

「ラブリナ様が その娘に、 お兄様との 恋を勧められたそうですね?」
「 は? 私がそのようなことをするはずがなかろう」

 クルセイラの 一言に、ラブリナは お茶を吹きこぼしそうになった。

「 好きにしろ、と仰いましたよね?」
「ああ。 ティアの妄想に付き合いきれんかったからな」
「 その結果、 お兄様とその娘は恋に落ちました。 責任を取ってください」
「うぐっ! そう言われると・・・・・・」

 適当にあしらってしまったラブリナに責任があるかもしれない。

「 王国側としてはティア様を王妃 として 迎え入れるのは やぶさかではありません。 おばあさまの例もありますからね」
「 サンデリアじゃの」

 サンデリアはアキナ 村で、先代 国王のマキラスと 運命の出会いを果たした。
 サンデリアを 諦めさせるために、 舞踏会ならぬ武道会が 開催されたり、 めちゃくちゃな騒ぎになっていた。

 頭が痛くなる話である。

 サンデリアの 話をモデルとした 灰かぶり姫の物語が作られた。

 前例があるだけに、ティアのことを完全に否定できなかったりする。
 しかし、あっさりと王妃の座まで 用意するのはどういうことだろうか。

「サンデリアは 今は無きセフィロン王国の 王家の血筋だから、 ぎりぎり認められたが。 ティアは正真正銘ただの村娘じゃぞ?」

 淑女の 礼儀作法を知らないのは問題がある。 身分の差も大きすぎるというものだ。
 それというのに、クルセイラは 優雅に微笑んだ。

「 淑女教育、 養子となる貴族家は すでに手配してあります」
「 相変わらず手際が良いの」
「 当然です。さあ、ラブリナ様。 お兄様とそのティアという娘のためにゆっくりと話し合いましょう」
「 ちょっと待って。 私も手伝う前提なのじゃ?」
「 それは私がラブリナ様の 弱みを握ってるからですよ」
「 お主、性格悪いの!」
「 褒め言葉として受け取っておきますね」

 ラブリナが どんなに喚いても、クルセイラは 優雅な微笑みを崩さなかった。




ーーーーーー




『 わがまま姫様は優雅に微笑む』のクルセイラ姫が ゲスト出演しています。
 サンデリアの 話はいずれいたしましょう。
 ラブリナのヘイントスとの 思い出話もいいかもしれませんね。


 
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