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第1章 転生少女の憂鬱
ママが魔法を教えてくれるんだって
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魔法の先生はママだった。
てっきり魔法の先生は宮廷魔術師のキャサリンだと思ってたけど、 彼女は仕事が忙しいってことかな。 彼女に確認してみたら、 彼女も子供の頃にママから 魔法を教わっていたようで、未だにママには 魔法の実力で敵わないと言う。
ママは 魔法学校の教師だったのかな。
「 カトリーヌ様には色々な逸話がありますよ」
カトリーヌというのは私のママのことだ。 キャサリンは子爵令嬢のはずだけど、ママのことを様付けで 呼んでいる。いや、 ほとんどの貴族がママに対して敬語を使っていた。
ママは何者なのだろう。 興味が湧いてきた。
「 お姉ちゃん、ママのことを聞かせてよ」
ママは 出かけているからちょうどいい。なのに、 キャサリンは首を横に振った。
「いずれ カトリーヌ様から エリカ様に 語ってくれる日が来ますよ。 それまで待っていてください」
「うん、わかったよ」
キャサリンはきっと、 ママから口止めされているのだろう。 内緒にされていることがあるのは少し悲しいけど、 人には隠し事の一つや二つあるものだ。ママが どうしても私に知られたくないというのなら、 無理に暴き出すような真似はしたりしないよ。
「 エリカ様は3歳とは思えないほど聞き分けが良いですね」
「 私はとってもいい子だからね」
「 自分で言いますか」
キャサリンはクスリと おかしそうに笑った。
なんとかごまかすことができたかな。まさか、 私が転生者だとは説明することができないからね。
「 今日もエリカ様の体に異常は見られませんね」
「 運動不足で、太ってしまわないか心配だけどね」
「 だからどうして、3歳児とは思えないような考え方をしているのですか」
キャサリンは 私が離宮に来てから毎日、 私の健康状態を調べている。 どうやら私が体が不自由なのは、 金貨を消費しないのに 無理やり 魔王を消滅させるほどの魔法発動した反動によるものだと 予想されていた。 他にも 体に害となる副作用がないか診察されているんだよ。
今ではすっかり、 私と キャサリン は仲良くなっていた。 敬語を使われると少しだけ距離を感じるんだけどね。 色々決まり事があって仕方がないようだ。
「では、 私は宮廷魔術師の業務に戻りますね」
キャサリンは私の体をある程度調べ終えると、 部屋を出て行った。
しかし、 寂しいなどと思う余地はない。 まもなく貴族の子供達が集まって、 うるさいほど賑やかになる。
今日からいよいよ魔法の授業が行われる予定だ。
ママは 予定の時間より少しだけ遅れて戻ってきた。 よほど急いで来たのか、 ママは息を切らしている。無理しないでね。
「 それでは、魔法の授業を始めます」
ママは呼吸を整えて、笑顔で教えようとしてくれている。 これは真面目に聞かなきゃいけないよね。
「 魔法には属性があります。 何の属性があるのか、分かる人は手を挙げて答えてください」
ママが問い掛けると、 子供たちが一斉に手をあげました。 貴族の子供達は家庭教師にも勉強を教わっているので、 魔法の基礎についても 既に ある程度知っているのだろう。
私はゲーム知識があるから詳しいよ。
地、水、火、風、光、闇の 六つの属性がある。 全ての属性持ちは稀だけど、平民でも 最低一つの属性を持っている。
魔法攻撃力のことを火力と表現するくらいだし、 火属性の魔法は攻撃に向いている。 一番回復魔法に向いているのは光属性だけど、 水属性は病気を治すことに 向いている。 生産系で最も効果を発揮するのは地属性だ。 風属性は一見パッとしないようだけど、身体強化魔法の補助や 空中移動を可能にする。
私も手を上げて、ママに頭ナデナデ・・・・・・こほん。 褒めてもらいたいものだよ。 でも無理だった。 答えられるだけの知識があっても、 体が不自由な私では物理的に手をあげる動作ができないからね。
私、 涙目だよ。
プリシラがママに当てられて、 ハキハキと元気よく答えていた。
「 花まる大正解。 プリシラちゃん、よくできました」
ママは プリシラの頭を撫でている。
本来ならば私のポジションだったはずなのに、 おのれプリシラめ・・・・・・!
「ひっ!? エリカちゃんが怖いよ!」
プリシラが泣き出してしまった。 どうやら私は、無意識のうちに彼女のことを睨みつけていたようだ。
反省。
私は、すぐにプリシラに頭を下げる。
「 プリシラちゃん、ごめんね」
「いつものエリカちゃんだ」
泣いたカラスがもう笑ってるよ。 これでママに叱られなくて済みそうだね。
「エリカ、 授業が終わった後で話があります」
「・・・・・・はい」
やはり、 お説教タイムを逃れることはできませんでしたか。 知ってた。 言ってみただけ。
プリシラには 素直に謝罪したから、 お手柔らかにお願いね。
ママは 普段は優しいんだけど、 怒るととっても怖いんだよ。
きっと、みんなの ママもそうだよね。
てっきり魔法の先生は宮廷魔術師のキャサリンだと思ってたけど、 彼女は仕事が忙しいってことかな。 彼女に確認してみたら、 彼女も子供の頃にママから 魔法を教わっていたようで、未だにママには 魔法の実力で敵わないと言う。
ママは 魔法学校の教師だったのかな。
「 カトリーヌ様には色々な逸話がありますよ」
カトリーヌというのは私のママのことだ。 キャサリンは子爵令嬢のはずだけど、ママのことを様付けで 呼んでいる。いや、 ほとんどの貴族がママに対して敬語を使っていた。
ママは何者なのだろう。 興味が湧いてきた。
「 お姉ちゃん、ママのことを聞かせてよ」
ママは 出かけているからちょうどいい。なのに、 キャサリンは首を横に振った。
「いずれ カトリーヌ様から エリカ様に 語ってくれる日が来ますよ。 それまで待っていてください」
「うん、わかったよ」
キャサリンはきっと、 ママから口止めされているのだろう。 内緒にされていることがあるのは少し悲しいけど、 人には隠し事の一つや二つあるものだ。ママが どうしても私に知られたくないというのなら、 無理に暴き出すような真似はしたりしないよ。
「 エリカ様は3歳とは思えないほど聞き分けが良いですね」
「 私はとってもいい子だからね」
「 自分で言いますか」
キャサリンはクスリと おかしそうに笑った。
なんとかごまかすことができたかな。まさか、 私が転生者だとは説明することができないからね。
「 今日もエリカ様の体に異常は見られませんね」
「 運動不足で、太ってしまわないか心配だけどね」
「 だからどうして、3歳児とは思えないような考え方をしているのですか」
キャサリンは 私が離宮に来てから毎日、 私の健康状態を調べている。 どうやら私が体が不自由なのは、 金貨を消費しないのに 無理やり 魔王を消滅させるほどの魔法発動した反動によるものだと 予想されていた。 他にも 体に害となる副作用がないか診察されているんだよ。
今ではすっかり、 私と キャサリン は仲良くなっていた。 敬語を使われると少しだけ距離を感じるんだけどね。 色々決まり事があって仕方がないようだ。
「では、 私は宮廷魔術師の業務に戻りますね」
キャサリンは私の体をある程度調べ終えると、 部屋を出て行った。
しかし、 寂しいなどと思う余地はない。 まもなく貴族の子供達が集まって、 うるさいほど賑やかになる。
今日からいよいよ魔法の授業が行われる予定だ。
ママは 予定の時間より少しだけ遅れて戻ってきた。 よほど急いで来たのか、 ママは息を切らしている。無理しないでね。
「 それでは、魔法の授業を始めます」
ママは呼吸を整えて、笑顔で教えようとしてくれている。 これは真面目に聞かなきゃいけないよね。
「 魔法には属性があります。 何の属性があるのか、分かる人は手を挙げて答えてください」
ママが問い掛けると、 子供たちが一斉に手をあげました。 貴族の子供達は家庭教師にも勉強を教わっているので、 魔法の基礎についても 既に ある程度知っているのだろう。
私はゲーム知識があるから詳しいよ。
地、水、火、風、光、闇の 六つの属性がある。 全ての属性持ちは稀だけど、平民でも 最低一つの属性を持っている。
魔法攻撃力のことを火力と表現するくらいだし、 火属性の魔法は攻撃に向いている。 一番回復魔法に向いているのは光属性だけど、 水属性は病気を治すことに 向いている。 生産系で最も効果を発揮するのは地属性だ。 風属性は一見パッとしないようだけど、身体強化魔法の補助や 空中移動を可能にする。
私も手を上げて、ママに頭ナデナデ・・・・・・こほん。 褒めてもらいたいものだよ。 でも無理だった。 答えられるだけの知識があっても、 体が不自由な私では物理的に手をあげる動作ができないからね。
私、 涙目だよ。
プリシラがママに当てられて、 ハキハキと元気よく答えていた。
「 花まる大正解。 プリシラちゃん、よくできました」
ママは プリシラの頭を撫でている。
本来ならば私のポジションだったはずなのに、 おのれプリシラめ・・・・・・!
「ひっ!? エリカちゃんが怖いよ!」
プリシラが泣き出してしまった。 どうやら私は、無意識のうちに彼女のことを睨みつけていたようだ。
反省。
私は、すぐにプリシラに頭を下げる。
「 プリシラちゃん、ごめんね」
「いつものエリカちゃんだ」
泣いたカラスがもう笑ってるよ。 これでママに叱られなくて済みそうだね。
「エリカ、 授業が終わった後で話があります」
「・・・・・・はい」
やはり、 お説教タイムを逃れることはできませんでしたか。 知ってた。 言ってみただけ。
プリシラには 素直に謝罪したから、 お手柔らかにお願いね。
ママは 普段は優しいんだけど、 怒るととっても怖いんだよ。
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