貞操逆転世界は衰退の道を辿る

漆黒之仔猫

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発情期 その1

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 家に帰りテレビを付けてみると、そこはニュースが放送されていて、そこでは女性が男性専用車両に入り込んだとか、異世界だと再認識させられるような物ばかりだった。

「男性専用車両か、やっぱり逆転しているからあるのか」

 呟きながら、ニュースを確認していく。

「学生での結婚を許可させるか、か」
「男性への援助を増やすかわりに、性的行為の増加を」
「男性アイドル、ファンに襲われ精神的療養中」
「男性増加の為に、遺伝子操作容認か」

 うん。核兵器よ脅威が無い代わりに、男性の減少が問題視されてるな。

「精液検査、新技術によりランクと付けされるか?」

 うわ、ランク付けで差別が起こるかもしれないから、政府は容認するか悩んでるのか。これは、めんどくさいよな。日本に管理されるようになるとか、人権問題とか発生するだろうし、容認されないだろうな。

 さて、俺の精液検査はいつだ?人前で出すとか嫌だな。

 そんな現実逃避を繰り返すが、そんなものはすぐに戻ってしまう。

「あああーーーー!!!」

 枕で声を押し殺して叫ぶ。どれだけ叫んでもこの胸の気持ちは抑えられない。帰ってから自分で言った言葉に恥ずかしさが感じるが、前の世界からある好きだという気持ちが遥かに上のため、悶え苦しんでいる。

「なんで、あんなことしちゃったんだよーー」

 好きだという感情が少しずつ湧き出てくるのが止まらない。

 好きだよ。好きだよ。だからこんな気持ちがあるんだよ。でも、好きからのエロがあああ。

「オナニーがしたい、でも、おかずがない。それなら彼女をって、だめだ!」

 触れたらいいのに、触れちゃダメという気持ちが相反してる。なんでこんなにエロいことが頭に湧いてくるんだ?くそ!

「あの、遥菜さん居ますか?」

 慌てる心を押さえ付けながら、言葉を大切に選びながらそう電話の主に問い掛ける。

「はい、私がそうですが?」

 よかった、美術部の連絡網貰ってて。これで会える。

「和樹だけど、今から会える」

「え、え?」

「だめ?」

「い、いいよ?」

「じゃあ家を教えて」

 吐息が熱を帯びていることに気付かないまま、俺は彼女の家へと向かった。幸い、家からはそこまで離れていなくてよかった。

「ごめんね、急に」

「ど、どうしたの」

「上がってもいい?」

「い、いいよ」

 頭がよく回らないまま、彼女は僕を部屋まで案内してくれた。
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