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サイドストーリー
フォーゼムの告白1
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彼女が私の想いを受け入れてくれた時、本当に嬉しかった。
彼女を送り届けるために馬車に共に乗り込んだ時、彼女は私の顔色を窺っているようだった。カレン嬢とのこともあり何から話してよいのかわからないのだろう。
彼女の話ならどんな内容でも私は喜んで聞くのに。
「先ほどは大勢の前で、突然プロポーズしてしまい申し訳なかった。あなたを驚かせてしまったことも」
ずっと話し出すきっかけを探しているような彼女を見るのも愛らしいが、私が彼女の声を聴きたいという欲求に勝てずに話しかける。彼女は会話のボールが投げられたことにほっとしたようで柔らかい笑みとともにこちらを向いて答えた。
「いえ、本当に嬉しいです。この魔法のドレスを着たからでしょうか。これほど幸せな舞踏会も初めてです。カレンにはかわいそうなことをしてしまいましたが…」
そしてそのまま続けて話し出す。
「あの、フォーゼム様のお噂はかねがねお聞きしておりました。容姿のお美しさはもとより、お人柄の素晴らしさも」
突然、好いた女性から褒められて、頬が緩みそうになるのを何とかこらえる。
「それは光栄だな。」
さらっと答えると彼女ははにかんだ笑みを浮かべた。あまりの愛らしさに今度こそ頬が緩んでしまった。
「それでフォーゼム様にお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」
彼女は一転して不安げな表情で私を見つめて尋ねてきた。
「もちろん、どうぞ」
「私の噂は悪いものが多いことは自分でもよく分かっております。もちろん全く身に覚えがないものばかりですが…。それにも関わらず、初対面の私にプロポーズしてくださったのはどうしてでしょうか」
いつかは聞かれるだろうとわかっていたが、まさか今聞かれるとは思っていなかった私は返答に窮する。事実を伝えるべきだろうか、いやでも少女時代から気にしていたなんて知られたら気持ち悪くないか。逡巡していると彼女は思いつめたように私に言った。
「あの、私をかばうためだけにあのようにプロポーズしてくだっさたのであれば、もう十分でございます…婚約は破棄していただいてもかまいません。今日はとても素敵な夢を見させていただけたのですから。」
泣きそうになりながら勝手に話を進めようとする彼女を見て、思わず口走った。
「ずっとあなたに焦がれていたんだ,」
彼女を送り届けるために馬車に共に乗り込んだ時、彼女は私の顔色を窺っているようだった。カレン嬢とのこともあり何から話してよいのかわからないのだろう。
彼女の話ならどんな内容でも私は喜んで聞くのに。
「先ほどは大勢の前で、突然プロポーズしてしまい申し訳なかった。あなたを驚かせてしまったことも」
ずっと話し出すきっかけを探しているような彼女を見るのも愛らしいが、私が彼女の声を聴きたいという欲求に勝てずに話しかける。彼女は会話のボールが投げられたことにほっとしたようで柔らかい笑みとともにこちらを向いて答えた。
「いえ、本当に嬉しいです。この魔法のドレスを着たからでしょうか。これほど幸せな舞踏会も初めてです。カレンにはかわいそうなことをしてしまいましたが…」
そしてそのまま続けて話し出す。
「あの、フォーゼム様のお噂はかねがねお聞きしておりました。容姿のお美しさはもとより、お人柄の素晴らしさも」
突然、好いた女性から褒められて、頬が緩みそうになるのを何とかこらえる。
「それは光栄だな。」
さらっと答えると彼女ははにかんだ笑みを浮かべた。あまりの愛らしさに今度こそ頬が緩んでしまった。
「それでフォーゼム様にお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」
彼女は一転して不安げな表情で私を見つめて尋ねてきた。
「もちろん、どうぞ」
「私の噂は悪いものが多いことは自分でもよく分かっております。もちろん全く身に覚えがないものばかりですが…。それにも関わらず、初対面の私にプロポーズしてくださったのはどうしてでしょうか」
いつかは聞かれるだろうとわかっていたが、まさか今聞かれるとは思っていなかった私は返答に窮する。事実を伝えるべきだろうか、いやでも少女時代から気にしていたなんて知られたら気持ち悪くないか。逡巡していると彼女は思いつめたように私に言った。
「あの、私をかばうためだけにあのようにプロポーズしてくだっさたのであれば、もう十分でございます…婚約は破棄していただいてもかまいません。今日はとても素敵な夢を見させていただけたのですから。」
泣きそうになりながら勝手に話を進めようとする彼女を見て、思わず口走った。
「ずっとあなたに焦がれていたんだ,」
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