【完結】悪女のなみだ

じじ

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本編【第二章】

2−4

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「それならなおさら私から説明しよう。あなたはそれでも構わないか」

助け船が出されたことにほっとしながら答える。

「ありがとうございます。心強いです。」


私が屋敷に入ると、すぐにアンが出迎えてくれた。にこやかな表情で、私に話しかけようとしたアンだが、フォーゼム様に気づくと、さっと一礼したのち、優秀な侍女の顔に戻る。

「お帰りなさいませ、お嬢様。お客様もご一緒でございましたか。すぐに旦那様と奥様にお伝えしてまいりますので。」

そして、私にだけ聞こえるようにこっそりと耳打ちする。

「先ほどカレン様がお帰りになられまして…泣きじゃくるカレン様のご機嫌とりをお二人でなさっておいでです。」
「まあ…」

タイミングが最悪だということは分かる。ことの経緯の説明だけならまだしも、カレンが婚約破棄により体調を崩したとなれば、私の話を聞かないだけではすまないだろう。両親から罵声を浴びせられることは必須だ。でも、その罵声をフォーゼム様にまで浴びせるわけにはいかない。

「あの、フォーゼム様。ここまで来ていただいて本当に申し訳ございませんが、どうやら妹が体調を崩しているようで、両親は妹にかかりきりのようです。両親とはまた日を改めてお会いいただけませんか」

すぐに了承してくれると思ったがフォーゼム様は思案する様子を見せたあと、私に問いかけるた。

「ならば妹君が落ちつかれるまで待たせていただきたいのだが」
「ですが…」

私が言い募ろうとした瞬間、アンが微笑んで私に告げる。

「お時間がかかるかもしれませんので、お嬢様のお部屋でお待ちになられてはいかがです」
「アン、でも…フォーゼム様には」
「せっかく来ていただいたお客様におもてなしもせずにお帰りいただくことは失礼ですよ」

やんわり嗜められ、頷かざる得ない。

部屋にフォーゼム様を通すと、アンはお茶の用意をするからと言ってさがった。

「あの、侍女…アンと言ったか?よほどあなたのことが大切なようだ」

唐突に言われて私が戸惑っていると、フォーゼム様は続けた。

「カレン嬢が不機嫌な中、あなたを一人にしたくなかったのだろう。私がいればカレン嬢も多少は大人しくせざるを得ないだろうしな」
「申し訳ございません。」
「いや、むしろ好ましく思うよ。使用人に好かれているあなたも、主人を守ろうとする彼女も」

爽やかに笑ってくれる様子に私も思わず笑みをこぼした。


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