【完結】悪女のなみだ

じじ

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本編【第二章】

2-26 アン視点

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ぱっと顔を上げたカレン様の頬が羞恥に染まる。

「違うわよ!姉様の気を引きたいくらいで自分の体に傷をわざわざ作るわけないじゃない。」
「それでは、カリーナ様とフォーゼム様のお互いを想い合う姿を見て、ご自身の存在が居た堪れなくなりましたか?」
「なんですって」
「あなたは本当に人を愛したことも、人から愛されたこともない。皆があなたに向けるのはその容姿への羨望や、天使のようだという噂を信じた憧憬だけです。あなたのことを真に知る人からは蛇蝎の如く嫌われる。
でも、あなたはご自分で分かっておられる。容姿も性格もカリーナ様の方が優れてらっしゃるということを。だからこそ、皆の目がカリーナ様に向かないように必死だった。」
「黙っていれば好き放題言ってくれるじゃない。カリーナと一緒にこの屋敷の隅っこで小さくなって生きてきた、あんた如きが」
「私は隅でも別にかまいませんでしたが…カリーナ様には相応わしいとは言えない場所でしたね。
ですが、カリーナ様があなたには傷つけられない場所に行かれた今、わざわざ隅にこだわる必要もないかと思いまして。」
「ごちゃごちゃうるさいわね」
「では、単刀直入に申し上げましょう。先ほどのパーティですでに勘のいい方達はご存知かもしれませんが…数々のカリーナ様のありもしない悪い噂、全て払拭してくださいませ。」
「するわけないでしょ、そんな私にはなんのメリットもないこと」

吐き捨てるように言ったカレン様に視線を合わせる。

「なによ」
「愛してるわ、憧れなの、側にいて」
「いきなりなに?」

苛立ったように問いかけられ、私は笑って答えた。

「いきなりも何も先ほど、眠っておられる間にカリーナ様の名前と共にカレン様が口走っておられた内容です。」
「そんなまさか」

顔色がさっと変わるのを見て、私は続けた。

「カリーナ様もしっかりお聞きになっておられましたよ。」
「うそよ」
「本当です。ちなみにその時カリーナ様はカレン様のお言葉にしっかり返事なさっておられました…気になりますか」

さすがに意地が悪いかなと思いながらも尋ねてみると、射殺さんばかりに私を睨みつけながら低い声でカリーナ様は答えた。

「仮に私がそんな言葉を口走ったとして…姉様は喜んだでしょうね」
「どのような意味でしょう」
「だってそうでしょう?姉様は何もしなくても周りから好かれる私のことを羨んでいたのだもの。その私がもし深層心理で姉様のことを慕っていたと知ったなら嬉しく感じるに決まってるじゃない」

私は冷笑した。
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