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本編【第二章】
2-39 カレン視点
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パーティ会場で、二人を探しながら私は溜め息をついた。
私が到着するまでの間に、そんな揉め事が起こっていたとは…もし知っていたとしても、まさかシュナイダーの企みを見抜けた訳でないけれど…。
会場を二周しても二人を見つけられず、私は焦り始めた。広い会場とはいえ、これほど見つからないのはおかしい。まさか入れ違いで外に出てしまった?ざっと血の気が引きそうになった瞬間、控え室から声が漏れてきた。
「フォーゼム様、私でしたら大丈夫です」
「だが、あまりこう言う場は好きではないだろう?」
「ですが、公爵家の方に失礼な真似をするわけには…」
「大丈夫だ。挨拶もしたし先に帰ったからと言って悪く言われることはないよ」
「はい…ありがとうございます」
浮かない声のカリーナに心配するようにフォーゼム様が尋ねる声が聞こえてくる。
「どうした?」
「実は先ほどシュナイダー様からダンスに誘われた時なのですが…」
「ああ、私が他の伯爵家の人間に挨拶をしていた時か」
「はい。お断りした直後にその…カレンはフォーゼム様の妻になりたがっている、と言われてしまいまして…婚約破棄を伝えに言った日にそのようなことをカレンが言ったそうなのです。だから破棄の申し出もすんなりと受け入れられた、と。」
「なるほどな。先日のパーティでも事情を良く知らない者の中には、私がカレン嬢にプロポーズしたと思っている者もいるようだし、難しいところだな。良くも悪くもあなた達二人は似ている。カレン嬢の行いであなたに火の粉がかからないように気をつけねばな。」
私は思わず目を閉じた。だめだ。私がそばにいる限り、必ず私の存在はカリーナの足手纏いになってしまうだろう。
カリーナ程の完璧な教養も心の美しさもない私が持て囃されたのは、よく似た惨めな姉が居ればこそだ。美しく羽化したカリーナを見たものは私の粗に気づくだろう。それは構わない。問題なのはカリーナに嫉妬した者が、私の行いを彼女の行いと一緒くたにしてしまうことだ。
よく似た紛い物の妹がいるせいで、カリーナまで謗られてしまうわけか。私はふっと思わず笑ってしまった。
私がどれほど心を入れ替えようとも、周りには決して届かない。それならいっそ…
コンコン。
二人がいる控え室のドアを叩く。少し硬い声でフォーゼム様が誰何する。
「カレンでございます」
扉越しにも部屋の中に緊張が走るのがわかる。カリーナに何か告げたフォーゼム様は、私の入室を許可するのではなく、自分が部屋から出てきた。
私は小首を傾げて尋ねる。
「中には入れてくださいませんの?」
私が到着するまでの間に、そんな揉め事が起こっていたとは…もし知っていたとしても、まさかシュナイダーの企みを見抜けた訳でないけれど…。
会場を二周しても二人を見つけられず、私は焦り始めた。広い会場とはいえ、これほど見つからないのはおかしい。まさか入れ違いで外に出てしまった?ざっと血の気が引きそうになった瞬間、控え室から声が漏れてきた。
「フォーゼム様、私でしたら大丈夫です」
「だが、あまりこう言う場は好きではないだろう?」
「ですが、公爵家の方に失礼な真似をするわけには…」
「大丈夫だ。挨拶もしたし先に帰ったからと言って悪く言われることはないよ」
「はい…ありがとうございます」
浮かない声のカリーナに心配するようにフォーゼム様が尋ねる声が聞こえてくる。
「どうした?」
「実は先ほどシュナイダー様からダンスに誘われた時なのですが…」
「ああ、私が他の伯爵家の人間に挨拶をしていた時か」
「はい。お断りした直後にその…カレンはフォーゼム様の妻になりたがっている、と言われてしまいまして…婚約破棄を伝えに言った日にそのようなことをカレンが言ったそうなのです。だから破棄の申し出もすんなりと受け入れられた、と。」
「なるほどな。先日のパーティでも事情を良く知らない者の中には、私がカレン嬢にプロポーズしたと思っている者もいるようだし、難しいところだな。良くも悪くもあなた達二人は似ている。カレン嬢の行いであなたに火の粉がかからないように気をつけねばな。」
私は思わず目を閉じた。だめだ。私がそばにいる限り、必ず私の存在はカリーナの足手纏いになってしまうだろう。
カリーナ程の完璧な教養も心の美しさもない私が持て囃されたのは、よく似た惨めな姉が居ればこそだ。美しく羽化したカリーナを見たものは私の粗に気づくだろう。それは構わない。問題なのはカリーナに嫉妬した者が、私の行いを彼女の行いと一緒くたにしてしまうことだ。
よく似た紛い物の妹がいるせいで、カリーナまで謗られてしまうわけか。私はふっと思わず笑ってしまった。
私がどれほど心を入れ替えようとも、周りには決して届かない。それならいっそ…
コンコン。
二人がいる控え室のドアを叩く。少し硬い声でフォーゼム様が誰何する。
「カレンでございます」
扉越しにも部屋の中に緊張が走るのがわかる。カリーナに何か告げたフォーゼム様は、私の入室を許可するのではなく、自分が部屋から出てきた。
私は小首を傾げて尋ねる。
「中には入れてくださいませんの?」
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