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第一章 4月
翼を得た者 ★7★ 陸上部のお姉さま
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柚鈴が志奈さんを迎えに校門に走っていった頃。
幸は柚鈴と別れると、真っ直ぐ特別棟の3階にある図書室に向かった。図書室のカウンターを抜け、閲覧室も通り過ぎる。
そして図書室の一番奥にある書籍の棚の影になってる場所に立った。ここは図書室にいる生徒達からは殆ど死角になっている。そしてそこには非常扉があるのだ。
幸は音がしないように非常扉を開いた。
非常扉の外は階段になっていて、その階段の下が部室棟からのグラウンド入り口になっている。
陸上部部員はここに集まって、まず簡単なミーティングをしてから練習へと移るのだ。
少しずつ着替えて集合する陸上部部員たちを階段のフェンスに隠れるようにして幸は覗いた。
柚鈴ちゃんのお姉さんの言う通りなら、何か良い兆しが見えそうだけど。
ドキドキしながら眺めているが、陸上部部員はどこか重苦しい雰囲気だ。
常葉学園の体操着は、見れば直ぐに学年が分かるようになっている。
幸達1年生はジャージと体操着の襟が紺色。
2年生は青色。3年生は黒。
だから陸上部の様子も色を注意してみれば、随分分かりやすい。
2年生が有沢部長を避けるような動きをしているのだ。
あれ。これってあんまり良いことが起きてない?
どうしても不安になってしまう。
見つからないように頭一個分出して見つめていると、ふいに肩をポンとたたかれた。
「ぇえ!?」
「幸さん、こんにちは。良い場所を見つけたわねぇ」
恐る恐る振り返ると、生徒会長たる長谷川凛子が涼しげな表情で立っていた。
「り、り、り、凛子先輩!」
「あら、驚かせた?ごめんなさい。ここ、穴場ね」
「い、いえ。まさかここにいらっしゃるなんて」
「それがね。ここに来る前に陸上部顧問の先生とばったり会って、不思議なことを言われたから、陸上部の様子がみたいと思っていたの。そうしたらあなたが、まるで子うさぎみたいに付いてきて欲しそうな様子で歩いていたから、つい」
「こ、子うさぎですか?」
その言葉につい幸は曖昧に笑ってから、上手い言葉を探そうと考える。
「と、いうことは、凛子先輩はアリスですか?」
その言葉に、凛子先輩は顔を引きつらせた。
アリスの何が問題だったかは幸には分からない。
「……まあ、子猫でも子犬でも良いんだど」
「良くないですよぉ」
「幸さんは、薫さんのこと気にしてたし、もしかしたら陸上部でも偵察するのかと思って付けたのよ。大正解ね」
凛子先輩は話をすり替えた。
見つかってしまった幸の方の心境は複雑だ。
なんだっけ、こういうの。上手い言葉があった気がする。
あ、頭隠して尻隠さず?
自分の状況が当てはまる言葉に行きついたような気がして、幸はトホホとため息をついた。
それから気になって、凛子先輩を見る。
「そういえば陸上部顧問の先生はなんと仰ってたんですか?」
「それが…」
凛子先輩が説明しようとして、何かに気付いたように、頭を引っ込めて身を隠した。
「え?え?!」
「幸さん、来たわよ」
慌てる幸に、その報告を指差す。
その方向に気づき、離れた所から颯爽と歩いて来る人影に気づいた。
あの姿は、部誌の写真でも見た緋村楓さんだ!
幸もすぐに隠れなおした。
幸は柚鈴と別れると、真っ直ぐ特別棟の3階にある図書室に向かった。図書室のカウンターを抜け、閲覧室も通り過ぎる。
そして図書室の一番奥にある書籍の棚の影になってる場所に立った。ここは図書室にいる生徒達からは殆ど死角になっている。そしてそこには非常扉があるのだ。
幸は音がしないように非常扉を開いた。
非常扉の外は階段になっていて、その階段の下が部室棟からのグラウンド入り口になっている。
陸上部部員はここに集まって、まず簡単なミーティングをしてから練習へと移るのだ。
少しずつ着替えて集合する陸上部部員たちを階段のフェンスに隠れるようにして幸は覗いた。
柚鈴ちゃんのお姉さんの言う通りなら、何か良い兆しが見えそうだけど。
ドキドキしながら眺めているが、陸上部部員はどこか重苦しい雰囲気だ。
常葉学園の体操着は、見れば直ぐに学年が分かるようになっている。
幸達1年生はジャージと体操着の襟が紺色。
2年生は青色。3年生は黒。
だから陸上部の様子も色を注意してみれば、随分分かりやすい。
2年生が有沢部長を避けるような動きをしているのだ。
あれ。これってあんまり良いことが起きてない?
どうしても不安になってしまう。
見つからないように頭一個分出して見つめていると、ふいに肩をポンとたたかれた。
「ぇえ!?」
「幸さん、こんにちは。良い場所を見つけたわねぇ」
恐る恐る振り返ると、生徒会長たる長谷川凛子が涼しげな表情で立っていた。
「り、り、り、凛子先輩!」
「あら、驚かせた?ごめんなさい。ここ、穴場ね」
「い、いえ。まさかここにいらっしゃるなんて」
「それがね。ここに来る前に陸上部顧問の先生とばったり会って、不思議なことを言われたから、陸上部の様子がみたいと思っていたの。そうしたらあなたが、まるで子うさぎみたいに付いてきて欲しそうな様子で歩いていたから、つい」
「こ、子うさぎですか?」
その言葉につい幸は曖昧に笑ってから、上手い言葉を探そうと考える。
「と、いうことは、凛子先輩はアリスですか?」
その言葉に、凛子先輩は顔を引きつらせた。
アリスの何が問題だったかは幸には分からない。
「……まあ、子猫でも子犬でも良いんだど」
「良くないですよぉ」
「幸さんは、薫さんのこと気にしてたし、もしかしたら陸上部でも偵察するのかと思って付けたのよ。大正解ね」
凛子先輩は話をすり替えた。
見つかってしまった幸の方の心境は複雑だ。
なんだっけ、こういうの。上手い言葉があった気がする。
あ、頭隠して尻隠さず?
自分の状況が当てはまる言葉に行きついたような気がして、幸はトホホとため息をついた。
それから気になって、凛子先輩を見る。
「そういえば陸上部顧問の先生はなんと仰ってたんですか?」
「それが…」
凛子先輩が説明しようとして、何かに気付いたように、頭を引っ込めて身を隠した。
「え?え?!」
「幸さん、来たわよ」
慌てる幸に、その報告を指差す。
その方向に気づき、離れた所から颯爽と歩いて来る人影に気づいた。
あの姿は、部誌の写真でも見た緋村楓さんだ!
幸もすぐに隠れなおした。
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