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第三章 5月‐結
お姉さま、借り物競争はご一緒に 8 ~幸のゴール?~
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少しだけ時間を置いて、じわじわとその言葉の意味が分かってくると、幸は目を見開いた。
「助言者資格を持ってる!?」
「はい。確かにそれを持っていると言う話はしていなかったので、勘違いさせてしまったのかもしれませんが」
少し申し訳なさそうな顔に、大ショックの顔を返して幸は頭を抱えた。
そんなばかな!という気持ちと、そもそもそう思ったのはなんでだっけ?という焦り。
今月の始めに配られた名簿を見てそう思ったのだが、焦っているのでどうしても思い出せない。
後で誰かに話を聞いてもらって整理してもらわないといけなさそうだ。
幸は今日はちょっと混乱しすぎているのだ。
頭を抱えている幸を宥めるように、沢城先輩は背中をさすってくれる。
「気にしないで下さい。私も、体育祭でこんなに焦ってペアをどうこうするつもりではなかったから、ちゃんと話をしてなかったんです」
「え、じゃあなんで急に」
「ええと、それは」
幸の素朴な疑問に、悠さんは困ったように目を逸らした。
「…幸ちゃんは、私が助言者資格を持ってると思ってなかったんですよね」
「はい」
「じ、じゃあ。私が走って来てとても驚きましたよね」
「それは勿論びっくりしましたよ!頭真っ白になっちゃって、ここまでどうやって来たのか分からないくらいの驚きです」
「そ、そうですか。よく分かってなくて、手を取ってくださったんですか…」
「はい!とにかく走らなきゃって思って、必死でした。1位とれて良かったですね」
聞いて来たのは悠の方なのに、なんだかがっかりしたような表情が気になるけれど、理由は分からない。
私が悠さんが、資格を持っていたのを知っていたかどうかが、今何の関係があるんだろう?
体育祭でペアを作るつもりなかったのに、急に借り物競争に出たくなった、ってどういうことだろう?
とクエスチョンが飛びまくっている。
がっかりしているということは、それなりに重要な質問だったのだろうけれど、もう少しストレートに聞いてくれないとその気持ちを察するのは難しかった。
幸は改めてそのことに触れようとすると、体育祭実行委員が近寄ってきた。
「それでは、ゴールをされた二人は、これから写真撮影がありますので、こちらにどうぞ」
「写真撮影?」
緊張のあまり、1年生の時のゴール後など見ていなかった幸は、誘導に驚いて質問が飛んでしまった。
キョトンとしていると、その様子が可愛いとでも思っているように、ふふっと笑った悠さんが幸の手を引いた。
「行きましょう、幸ちゃん」
「あ、は、はい」
この人は何か言いたかったんではないだろうかと思いつつ、引かれた手がなんだか嬉しい。
幸は素直に従った。
その様子がなんだか飼い主が大好きな子犬みたいに見えることは、本人は当然気づいていない。
写真部のカメラの前に並ぶ頃には、悠さんはますます嬉しそうに顔を綻ばせていた。
…?写真、撮られるの好きなのかな?
見当外れの解釈をしながら、その横顔に幸も妙に嬉しくなりながら、カメラの方を向いた。
「何かポーズとかされませんか?」
写真部の質問に、悠さんは目を輝かせて、何かを考え込むようにしてから、幸の方を振り返った。
「えっと、じゃあ幸ちゃん。せっかくなのでこのまま手を繋いで写真を撮ってもらっても良いでしょうか?」
「はい!」
そうして手に手を重ねていることが、なんだか新鮮で楽しい。
とびきりの笑顔で、写真を撮られて。
これはとびきり素敵な体育祭記念になりそうだと思った。
幸の中に埋まっている小さな種は、多分、今、芽吹いているのだろう。
温かな陽だまりの中にいるようなこの瞬間に、若葉のように。
そんな思いが温かすぎて。
どうして悠さんが借り物競争にわざわざ出て、幸の元に手を伸ばしたのか。
答えを聞きそびれたけれど、まあ、今日はいいかと、幸はのんびりと思っていた。
「助言者資格を持ってる!?」
「はい。確かにそれを持っていると言う話はしていなかったので、勘違いさせてしまったのかもしれませんが」
少し申し訳なさそうな顔に、大ショックの顔を返して幸は頭を抱えた。
そんなばかな!という気持ちと、そもそもそう思ったのはなんでだっけ?という焦り。
今月の始めに配られた名簿を見てそう思ったのだが、焦っているのでどうしても思い出せない。
後で誰かに話を聞いてもらって整理してもらわないといけなさそうだ。
幸は今日はちょっと混乱しすぎているのだ。
頭を抱えている幸を宥めるように、沢城先輩は背中をさすってくれる。
「気にしないで下さい。私も、体育祭でこんなに焦ってペアをどうこうするつもりではなかったから、ちゃんと話をしてなかったんです」
「え、じゃあなんで急に」
「ええと、それは」
幸の素朴な疑問に、悠さんは困ったように目を逸らした。
「…幸ちゃんは、私が助言者資格を持ってると思ってなかったんですよね」
「はい」
「じ、じゃあ。私が走って来てとても驚きましたよね」
「それは勿論びっくりしましたよ!頭真っ白になっちゃって、ここまでどうやって来たのか分からないくらいの驚きです」
「そ、そうですか。よく分かってなくて、手を取ってくださったんですか…」
「はい!とにかく走らなきゃって思って、必死でした。1位とれて良かったですね」
聞いて来たのは悠の方なのに、なんだかがっかりしたような表情が気になるけれど、理由は分からない。
私が悠さんが、資格を持っていたのを知っていたかどうかが、今何の関係があるんだろう?
体育祭でペアを作るつもりなかったのに、急に借り物競争に出たくなった、ってどういうことだろう?
とクエスチョンが飛びまくっている。
がっかりしているということは、それなりに重要な質問だったのだろうけれど、もう少しストレートに聞いてくれないとその気持ちを察するのは難しかった。
幸は改めてそのことに触れようとすると、体育祭実行委員が近寄ってきた。
「それでは、ゴールをされた二人は、これから写真撮影がありますので、こちらにどうぞ」
「写真撮影?」
緊張のあまり、1年生の時のゴール後など見ていなかった幸は、誘導に驚いて質問が飛んでしまった。
キョトンとしていると、その様子が可愛いとでも思っているように、ふふっと笑った悠さんが幸の手を引いた。
「行きましょう、幸ちゃん」
「あ、は、はい」
この人は何か言いたかったんではないだろうかと思いつつ、引かれた手がなんだか嬉しい。
幸は素直に従った。
その様子がなんだか飼い主が大好きな子犬みたいに見えることは、本人は当然気づいていない。
写真部のカメラの前に並ぶ頃には、悠さんはますます嬉しそうに顔を綻ばせていた。
…?写真、撮られるの好きなのかな?
見当外れの解釈をしながら、その横顔に幸も妙に嬉しくなりながら、カメラの方を向いた。
「何かポーズとかされませんか?」
写真部の質問に、悠さんは目を輝かせて、何かを考え込むようにしてから、幸の方を振り返った。
「えっと、じゃあ幸ちゃん。せっかくなのでこのまま手を繋いで写真を撮ってもらっても良いでしょうか?」
「はい!」
そうして手に手を重ねていることが、なんだか新鮮で楽しい。
とびきりの笑顔で、写真を撮られて。
これはとびきり素敵な体育祭記念になりそうだと思った。
幸の中に埋まっている小さな種は、多分、今、芽吹いているのだろう。
温かな陽だまりの中にいるようなこの瞬間に、若葉のように。
そんな思いが温かすぎて。
どうして悠さんが借り物競争にわざわざ出て、幸の元に手を伸ばしたのか。
答えを聞きそびれたけれど、まあ、今日はいいかと、幸はのんびりと思っていた。
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