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昭和塾堂
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城山八幡宮の境内を出ると昭和塾堂はすぐに目に入ってきた。八角形の塔のような物を中央に立てた昭和っぽい建物だったからだった。周りの近代的な建物とは明らかに違う雰囲気を醸し出していた。
三宅は両手にお宝捜索の機器を持ったまま足を早めた。
「到着したみたいだな」
「はい、でも、何か物々しいですね」
そして昭和塾堂を囲む塀と思われる物の前まで到着した。
「やっぱり門の中には入れないんじゃないですか」
「いや、あんなフェンスなら簡単に乗り越えられると思うな」
「そう意味じゃなくて、侵入禁止ということです」
「まあ、そうだね」
二人は門の前に立てられたガードフェンスを見ながらそう言った。
「それにこれだけ大きなな建物が立ってるんじゃ、埋蔵金が埋められていたとしても掘り出されてしまってるんじゃないかしら」
「うん、そうかもしれないね」
「もう、ここまでで良いんじゃないですか」
「せっかくここまでたどり着いたんだから、もう少し見て行こう」
二人は門の方に歩いていった。
そして二人は門の前に到着した。
門の前にはガードフェンスは立てられた立ち入り禁止と書かれた札がぶら下げられていた。
でも、それだけだった。門は開かれたままになっていて、建物と敷地が丸見えになっていた。
「ちょっと、少し行ってくるよ」
三宅はガードフェンスに手を置きそう言った。
「えっ、門の中に入るんですか」
「ああ、でも、君は入らなくても良いよ」
三宅はそう言うとフェンスをまたいで門の中に入っていってしまった。
「あ、あの、ちょ、ちょっと待って」
酒井はそう言うとキョロキョロ周りを見渡し始めた。そして近くに誰もいないのを確かめると三宅を追いかけフェンスをまたぎ門の中に入って行った。
「何だ君も来ちゃったのか、悪かったね。どうせすぐ出るつもりだったのに」
三宅は探知機で捜索をしながらそう言った。
「じゃあ、私もやります。早く終わらせましょう」
酒井はそう言うと三宅から探査機を受け取り探索を始めた。
幸い敷地は塀に囲まれているのであまり人目を気にする必要はないようだった。それに古びた建物には全く人の気配は感じられなかった。
二人はまた末盛城址の時と同じように敷地内を漏れなく探索していった。
とは言っても、もちろんただのお遊びだった。お宝が見つかるとは思っていなかったし、もしお宝が見つかったとしても簡単に掘り出せる所だとは思ってはいなかった。
「見つかると思いますか」
酒井は三宅の側に来ると探索しながらそう聞いた。いつまでも侵入禁止の場所で宝探しを続けるのが不安になってきたからだった。
ピピピビピピピビ
すると三宅の探査機が何かを探知してアラーム音を鳴らし始めた。
「えっ、何か見つかったんですか」
酒井は驚いたように聞いた。
「いや、この建物に使われてる金属か、建物中の何かの金属に反応したからだろう」
三宅は建物の壁を見ながらアラームを止めた。
「でも、本当に古そうな建物ですね」
「昭和初期に建てられた建物だろうね。昭和塾堂というくらいだからね」
「あっ、そうでしたね。神社の神官さんは確かそう言ってましたね」
「ああ、」
三宅はそう言うと近くの窓の方に歩いて行き建物の中を覗いてみた。
薄暗くてよく見えないが中は広い講堂のようになっているようだった。壁際には何かが布のような物がかけられ置かれているようだった。
「もう使っていないのかしら」
「そうみたいだね」
三宅はそう言うと酒井の方に顔を戻した。
「もう、止めにしませんか」
「うん、そうだね。残念だけど、宝探しはここまでにするよ。たぶんもう誰かに掘り出されているだろうね」
「もう五百年も前の話ですものね」
「まあな、おっ、もうすぐ2時だな。何か食べに行こうか」
三宅は時計を見ながらそう言った。
「じゃ、前に話したイタリア料理のお店はどうですか」
「ああ、あの店か、もちろん良いよ」
「じゃ、私、予約入れますね」
「うん、頼む」
三宅はそう言うと探査機の片付けを始めた。お宝は見つからなかったが、正直なところそんなにショックはなかった。今の気分はどちらかと言うと満足感でいっぱいなくらいだった。祖父の家から見つかった古文書に書かれていた場所をこうして自分の手で確かめることができた。それだけで十分楽しかったからだった。
「あっ、予約取れた」
「そう、ありがとう。じゃ、行こうか」
「今日は頑張ったから豪華フルコースが食べても良いですか」
「ああ、何でも好きなものを食べてくれ」
「わあ、嬉しい、実はお腹ペコペコだったんです」
「僕もさ」
二人は楽しそうに食事の話をしながら門の方に歩き始めた。
三宅は両手にお宝捜索の機器を持ったまま足を早めた。
「到着したみたいだな」
「はい、でも、何か物々しいですね」
そして昭和塾堂を囲む塀と思われる物の前まで到着した。
「やっぱり門の中には入れないんじゃないですか」
「いや、あんなフェンスなら簡単に乗り越えられると思うな」
「そう意味じゃなくて、侵入禁止ということです」
「まあ、そうだね」
二人は門の前に立てられたガードフェンスを見ながらそう言った。
「それにこれだけ大きなな建物が立ってるんじゃ、埋蔵金が埋められていたとしても掘り出されてしまってるんじゃないかしら」
「うん、そうかもしれないね」
「もう、ここまでで良いんじゃないですか」
「せっかくここまでたどり着いたんだから、もう少し見て行こう」
二人は門の方に歩いていった。
そして二人は門の前に到着した。
門の前にはガードフェンスは立てられた立ち入り禁止と書かれた札がぶら下げられていた。
でも、それだけだった。門は開かれたままになっていて、建物と敷地が丸見えになっていた。
「ちょっと、少し行ってくるよ」
三宅はガードフェンスに手を置きそう言った。
「えっ、門の中に入るんですか」
「ああ、でも、君は入らなくても良いよ」
三宅はそう言うとフェンスをまたいで門の中に入っていってしまった。
「あ、あの、ちょ、ちょっと待って」
酒井はそう言うとキョロキョロ周りを見渡し始めた。そして近くに誰もいないのを確かめると三宅を追いかけフェンスをまたぎ門の中に入って行った。
「何だ君も来ちゃったのか、悪かったね。どうせすぐ出るつもりだったのに」
三宅は探知機で捜索をしながらそう言った。
「じゃあ、私もやります。早く終わらせましょう」
酒井はそう言うと三宅から探査機を受け取り探索を始めた。
幸い敷地は塀に囲まれているのであまり人目を気にする必要はないようだった。それに古びた建物には全く人の気配は感じられなかった。
二人はまた末盛城址の時と同じように敷地内を漏れなく探索していった。
とは言っても、もちろんただのお遊びだった。お宝が見つかるとは思っていなかったし、もしお宝が見つかったとしても簡単に掘り出せる所だとは思ってはいなかった。
「見つかると思いますか」
酒井は三宅の側に来ると探索しながらそう聞いた。いつまでも侵入禁止の場所で宝探しを続けるのが不安になってきたからだった。
ピピピビピピピビ
すると三宅の探査機が何かを探知してアラーム音を鳴らし始めた。
「えっ、何か見つかったんですか」
酒井は驚いたように聞いた。
「いや、この建物に使われてる金属か、建物中の何かの金属に反応したからだろう」
三宅は建物の壁を見ながらアラームを止めた。
「でも、本当に古そうな建物ですね」
「昭和初期に建てられた建物だろうね。昭和塾堂というくらいだからね」
「あっ、そうでしたね。神社の神官さんは確かそう言ってましたね」
「ああ、」
三宅はそう言うと近くの窓の方に歩いて行き建物の中を覗いてみた。
薄暗くてよく見えないが中は広い講堂のようになっているようだった。壁際には何かが布のような物がかけられ置かれているようだった。
「もう使っていないのかしら」
「そうみたいだね」
三宅はそう言うと酒井の方に顔を戻した。
「もう、止めにしませんか」
「うん、そうだね。残念だけど、宝探しはここまでにするよ。たぶんもう誰かに掘り出されているだろうね」
「もう五百年も前の話ですものね」
「まあな、おっ、もうすぐ2時だな。何か食べに行こうか」
三宅は時計を見ながらそう言った。
「じゃ、前に話したイタリア料理のお店はどうですか」
「ああ、あの店か、もちろん良いよ」
「じゃ、私、予約入れますね」
「うん、頼む」
三宅はそう言うと探査機の片付けを始めた。お宝は見つからなかったが、正直なところそんなにショックはなかった。今の気分はどちらかと言うと満足感でいっぱいなくらいだった。祖父の家から見つかった古文書に書かれていた場所をこうして自分の手で確かめることができた。それだけで十分楽しかったからだった。
「あっ、予約取れた」
「そう、ありがとう。じゃ、行こうか」
「今日は頑張ったから豪華フルコースが食べても良いですか」
「ああ、何でも好きなものを食べてくれ」
「わあ、嬉しい、実はお腹ペコペコだったんです」
「僕もさ」
二人は楽しそうに食事の話をしながら門の方に歩き始めた。
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