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空き巣
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そしてそれっきり昭和塾堂の管理をしていると言っていた女と会うことは無かった。それに城山八幡宮の神官からも古文書の件で連絡をもらうことはなかった。いつもの退屈な日常また戻ってきただけだった。三宅は次第に宝探しに行ったことなど思い出すこともなくなっていった。
プルルルルル
すると突然、電話がかかってきた。
警備保障会社からだった。
「はい、三宅です」
三宅は何か異変でもあったのかなと思い、家の中を見渡しながら電話に出た。
「お忙しいところ失礼いたします。実は十分ほど前に八事のお屋敷の敷地内に何者かが侵入したようなんです」
「えっ、敷地に侵入、」
「はい、今のところ建物の中に入られた形跡はありませんが、門が破壊され敷地内に三人の男が入ってきた様子が防犯カメラで確認されています」
「泥棒ですか、」
「現在当社の警備員がお屋敷に向かっているところです。詳しい事は改めてご連絡させていただくことになると思います」
「そうですか、よ、よろしくお願いします。あっ、それで、僕もそちらに行った方が良いですよね」
「そうですね、確認していただかなくてはいけないことが有りますので、お越しいただけましたら助かります」
「分かりました。それじゃ、今からそちらに向かいます」
「あっ、三宅様、それと、警察への連絡なんですが、いかがいたしましますか」
「警察にですか、連絡をお願いしても構いませんか」
「もちろんです」
「ありがとうございます。では、また後で、」
「かしこまりました。お気をつけて」
「では、よろしくお願いします」
三宅は電話を切った。
そして出かける準備を始めた。
幸いなことに、祖父のお屋敷からは金品や使えそうな身の回り品はすでにこっちのマンションに持って来ていた。個人的には盗まれて困るような物はお屋敷に置いてあるわけではなかった。お屋敷に残っているのは美術品や工芸品、それに骨董品ぐらいの物ばかりだった。盗まれても構わない物だった。
でも、だからと言って泥棒にみすみす盗まれるのを見過ごすことなどできるはずもない事だった。
三宅は出かける用意ができると車のキーを持ち部屋を出て行った。
ブブブブーン
そして約30分後三宅は祖父のお屋敷前に到着した。
「すいません、ここに車を停めるのは止めてもらえますか」
すると門の前に立っていた警察官が三宅の方に近づいてきてそう言った。
「僕の家なんです。駐車場に車を入れても構わないですか」
「あ、三宅さんですか、失礼しました。もちろん停めていただいて結構です」
「では、失礼します」
三宅は駐車場のドアをスマホ操作で開き車を屋敷の中に走らせていった。
「三宅様、お待ちしておりました」
そして敷地内の駐車場に車を停めると、今度は警備保障会社の人と思われる人が二人近づいてきてそう話しかけてきた。
「あっ、そうなんですか、どうも、ご迷惑をおかけしてます」
「いえ、あっ、それとこちらは、昭和警察署の木村さんです。捜査に来ていただきました」
「あっ、どうも、三宅です。ご迷惑おかけします」
三宅は刑事に挨拶をした。
「木村です。警備保障会社の方から連絡をいただき御屋敷の中に入らせていただきました」
「お忙しい時に申し訳ありません」
「では、さっそくですが、こちらを見ていただけますか」
すると木村はスマホの画像を三宅に見せながらそう言った。敷地の中を歩く黒ずくめの服を着た男達の写真だった。
「この人達が犯人なんですか」
「はい、住居侵入した犯人の写真です。防犯カメラに記録されていた画像を写させてもらいました」
「あっ、そうなんですか」
「この中に見覚えのある人はいませんか」
「これでは、ちょっと分かりませんね」
「まあ、そうでしょうな。でも、何か思いついた事がありましたら連絡お願いします」
「分かりました」
「それと、これまで調べて分かったところではですが、犯人達は建物内には侵入していないと思われています。防犯アラームと防犯照明に驚き、建物内への侵入を諦め敷地内から出て行ったと思われます」
「そうですか、それは良かった」
「しかし、念の為建物内に異常や盗まれた物がないか確認していただけますか」
「分かりました。今からでも良いんですか」
「はい、早いほうがよろしいと思います」
「あっ、じゃあ、今から見てきます」
「よろしくお願いします」
三宅は木村と一緒に玄関の方に歩き始めた。
「あっ、それとですが、門の鍵がバールのような物で破壊されてしまってます。大至急修理をされた方がよろしいかと思います」
「分かりました。とりあえず今日は何か応急処置をしておきます」
「その方がよろしいと思います」
「有難うございます」
「私どもは犯人画像などを利用しこれから周囲の防犯カメラや目撃者情報を集め犯人逮捕を目指します。ただ、すぐに逮捕できるかは分かりません。しばらくはご注意していただきたいと思います」
「あっ、はい、気をつけます」
「ところで、この御屋敷はご祖父様から相続された建物とのことですが」
「はい、そうです」
「今はこちらにお住まいではないようですね」
「ええ、以前から住んでいるマンションがあるものですから」
「こちらが空き家になっている事を知っている知人とかはいらっしゃいますか」
「友人の何人かは知っていますが、それ以外には思い当たりませんね」
「そうですか、もし何か思い当たることがありましたらご連絡お願いしてもよろしいですか」
「はい、分かりました」
「それと、こちらの建物内には何か盗まれそうな物とかは置いてあるんですか」
「美術品とか骨董品が置いたままになっています」
「そうですか、それが目的かも知れませんね」
「そうでしょうか。僕なら盗みませんけどね」
三宅はそんな物を欲しがる人がいるのかなと思いながら玄関のドアを開けた。
「では、確認よろしくお願いします」
木村はそう言うと三宅に小さく頭を下げ近くの警官の方に歩いて行ってしまった。
三宅は玄関の中に入りドアを閉めた。
プルルルルル
すると突然、電話がかかってきた。
警備保障会社からだった。
「はい、三宅です」
三宅は何か異変でもあったのかなと思い、家の中を見渡しながら電話に出た。
「お忙しいところ失礼いたします。実は十分ほど前に八事のお屋敷の敷地内に何者かが侵入したようなんです」
「えっ、敷地に侵入、」
「はい、今のところ建物の中に入られた形跡はありませんが、門が破壊され敷地内に三人の男が入ってきた様子が防犯カメラで確認されています」
「泥棒ですか、」
「現在当社の警備員がお屋敷に向かっているところです。詳しい事は改めてご連絡させていただくことになると思います」
「そうですか、よ、よろしくお願いします。あっ、それで、僕もそちらに行った方が良いですよね」
「そうですね、確認していただかなくてはいけないことが有りますので、お越しいただけましたら助かります」
「分かりました。それじゃ、今からそちらに向かいます」
「あっ、三宅様、それと、警察への連絡なんですが、いかがいたしましますか」
「警察にですか、連絡をお願いしても構いませんか」
「もちろんです」
「ありがとうございます。では、また後で、」
「かしこまりました。お気をつけて」
「では、よろしくお願いします」
三宅は電話を切った。
そして出かける準備を始めた。
幸いなことに、祖父のお屋敷からは金品や使えそうな身の回り品はすでにこっちのマンションに持って来ていた。個人的には盗まれて困るような物はお屋敷に置いてあるわけではなかった。お屋敷に残っているのは美術品や工芸品、それに骨董品ぐらいの物ばかりだった。盗まれても構わない物だった。
でも、だからと言って泥棒にみすみす盗まれるのを見過ごすことなどできるはずもない事だった。
三宅は出かける用意ができると車のキーを持ち部屋を出て行った。
ブブブブーン
そして約30分後三宅は祖父のお屋敷前に到着した。
「すいません、ここに車を停めるのは止めてもらえますか」
すると門の前に立っていた警察官が三宅の方に近づいてきてそう言った。
「僕の家なんです。駐車場に車を入れても構わないですか」
「あ、三宅さんですか、失礼しました。もちろん停めていただいて結構です」
「では、失礼します」
三宅は駐車場のドアをスマホ操作で開き車を屋敷の中に走らせていった。
「三宅様、お待ちしておりました」
そして敷地内の駐車場に車を停めると、今度は警備保障会社の人と思われる人が二人近づいてきてそう話しかけてきた。
「あっ、そうなんですか、どうも、ご迷惑をおかけしてます」
「いえ、あっ、それとこちらは、昭和警察署の木村さんです。捜査に来ていただきました」
「あっ、どうも、三宅です。ご迷惑おかけします」
三宅は刑事に挨拶をした。
「木村です。警備保障会社の方から連絡をいただき御屋敷の中に入らせていただきました」
「お忙しい時に申し訳ありません」
「では、さっそくですが、こちらを見ていただけますか」
すると木村はスマホの画像を三宅に見せながらそう言った。敷地の中を歩く黒ずくめの服を着た男達の写真だった。
「この人達が犯人なんですか」
「はい、住居侵入した犯人の写真です。防犯カメラに記録されていた画像を写させてもらいました」
「あっ、そうなんですか」
「この中に見覚えのある人はいませんか」
「これでは、ちょっと分かりませんね」
「まあ、そうでしょうな。でも、何か思いついた事がありましたら連絡お願いします」
「分かりました」
「それと、これまで調べて分かったところではですが、犯人達は建物内には侵入していないと思われています。防犯アラームと防犯照明に驚き、建物内への侵入を諦め敷地内から出て行ったと思われます」
「そうですか、それは良かった」
「しかし、念の為建物内に異常や盗まれた物がないか確認していただけますか」
「分かりました。今からでも良いんですか」
「はい、早いほうがよろしいと思います」
「あっ、じゃあ、今から見てきます」
「よろしくお願いします」
三宅は木村と一緒に玄関の方に歩き始めた。
「あっ、それとですが、門の鍵がバールのような物で破壊されてしまってます。大至急修理をされた方がよろしいかと思います」
「分かりました。とりあえず今日は何か応急処置をしておきます」
「その方がよろしいと思います」
「有難うございます」
「私どもは犯人画像などを利用しこれから周囲の防犯カメラや目撃者情報を集め犯人逮捕を目指します。ただ、すぐに逮捕できるかは分かりません。しばらくはご注意していただきたいと思います」
「あっ、はい、気をつけます」
「ところで、この御屋敷はご祖父様から相続された建物とのことですが」
「はい、そうです」
「今はこちらにお住まいではないようですね」
「ええ、以前から住んでいるマンションがあるものですから」
「こちらが空き家になっている事を知っている知人とかはいらっしゃいますか」
「友人の何人かは知っていますが、それ以外には思い当たりませんね」
「そうですか、もし何か思い当たることがありましたらご連絡お願いしてもよろしいですか」
「はい、分かりました」
「それと、こちらの建物内には何か盗まれそうな物とかは置いてあるんですか」
「美術品とか骨董品が置いたままになっています」
「そうですか、それが目的かも知れませんね」
「そうでしょうか。僕なら盗みませんけどね」
三宅はそんな物を欲しがる人がいるのかなと思いながら玄関のドアを開けた。
「では、確認よろしくお願いします」
木村はそう言うと三宅に小さく頭を下げ近くの警官の方に歩いて行ってしまった。
三宅は玄関の中に入りドアを閉めた。
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