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【第50話】
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「これまでの宇宙が滅し、そして新しい宇宙が生まれるということ」
シャカが言う。
「それは、人類が滅亡するってことですか?」
透は驚きの眼をシャカに向けた。
「ある意味ではそうですが、正しくはありません。すべてはあなたとともに生まれ変わるのです。『一の者』それはいわば、新しい宇宙となるべくうえでの核。人でいうところの卵巣です。『二の者』それはいわば、新しい宇宙を構成していくうえでの種。人でいうところの精子です。その『二の者』に重要な要素となるのが、自己を犠牲にしてまでも貫きとおすことのできる『愛』なのです。それを持ちえているのが、透、あなたです」
「な、ななな……」
スケールがあまりにも大きすぎて、透はパニくった。
そして踊りはじめた。
「踊るのはおやめなさい」
呆れたように、シャカが言った。
「あ、これは失礼しました。ですが、その、私とともに宇宙が生まれ変わるなどと言われましても、なんとも……」
「驚くのも無理はありません。とはいえ、新たなる宇宙が始まるのは、あくまでも、『一の者』の魂と、『二の者』であるあなたの魂が融合できてのことなのです。それにはどれほどの年月が必要となるのか。その前に人類が滅びぬことを祈るだけです」
「祈るだけって、祈るのは人であって、その祈りや願いに応えてくれるのが、神様や仏様ではありませんか」
「いいえ、違います。祈りや願いを叶えるのは、人の中にある本来の己自身。あなたも言ったばかりではありませんか、神様や仏様は見守っているだけだと。そのとおりです。神や仏はあなたたちとともに在る、それだけです。あなたたち人の中に、神や仏は宿っているのですから」
透はわかったようなわからないような顔でシャカを見ていた。
「では透、またいつの日か会えるときを楽しみにしています」
シャカ――お釈迦様の身体が耀きはじめた。
「透、がんばりなさいよ。そうじゃないと、ミンチにするからね」
ディエルは、黒猫であったときのように片手をかざす真似をした。
そのディエル――愛の女神ミューズも耀きはじめている。
「アンタ、煙草を持ってないか」
ザイールが言う。
「持っているわけがありません」
思わず透は答えた。
「ハハ、そうだな。楽しかったぜ。また会おう」
ザイール――大天使ミカエルの身体も耀いた。
「汝、幸福なれ!」
ゼウス神がそう言ったとたん、神々の身体はしだいにひとつの光になりはじめた。
「って、ちょっとみなさん。私にはなにがなんだか、さっぱりわからないのですが」
ひとつとなった光はだんだん小さくなっていき、球体となった。
「あ、あなたは……」
我はアルファでありオメガである――
「はい、存じています。あなた様は、唯一絶対神のヤハウェ」
汝、人より流れいでし者よ――
「はい……」
我は汝とともにある――
「ああ、はい。それで私はどうなるのでしょう」
汝は我とともにあるー―
「あ、あの……」
さあ、ゆくがよい――
「私の質問の答えになっていませんが」
汝が求める者のもとへ――
「って、聞いてない……」
汝が愛する者のもとへ――
汝を愛する者のもとへ――
光あれ――
その言葉とともに、透は煌びやかな光となった。
シャカが言う。
「それは、人類が滅亡するってことですか?」
透は驚きの眼をシャカに向けた。
「ある意味ではそうですが、正しくはありません。すべてはあなたとともに生まれ変わるのです。『一の者』それはいわば、新しい宇宙となるべくうえでの核。人でいうところの卵巣です。『二の者』それはいわば、新しい宇宙を構成していくうえでの種。人でいうところの精子です。その『二の者』に重要な要素となるのが、自己を犠牲にしてまでも貫きとおすことのできる『愛』なのです。それを持ちえているのが、透、あなたです」
「な、ななな……」
スケールがあまりにも大きすぎて、透はパニくった。
そして踊りはじめた。
「踊るのはおやめなさい」
呆れたように、シャカが言った。
「あ、これは失礼しました。ですが、その、私とともに宇宙が生まれ変わるなどと言われましても、なんとも……」
「驚くのも無理はありません。とはいえ、新たなる宇宙が始まるのは、あくまでも、『一の者』の魂と、『二の者』であるあなたの魂が融合できてのことなのです。それにはどれほどの年月が必要となるのか。その前に人類が滅びぬことを祈るだけです」
「祈るだけって、祈るのは人であって、その祈りや願いに応えてくれるのが、神様や仏様ではありませんか」
「いいえ、違います。祈りや願いを叶えるのは、人の中にある本来の己自身。あなたも言ったばかりではありませんか、神様や仏様は見守っているだけだと。そのとおりです。神や仏はあなたたちとともに在る、それだけです。あなたたち人の中に、神や仏は宿っているのですから」
透はわかったようなわからないような顔でシャカを見ていた。
「では透、またいつの日か会えるときを楽しみにしています」
シャカ――お釈迦様の身体が耀きはじめた。
「透、がんばりなさいよ。そうじゃないと、ミンチにするからね」
ディエルは、黒猫であったときのように片手をかざす真似をした。
そのディエル――愛の女神ミューズも耀きはじめている。
「アンタ、煙草を持ってないか」
ザイールが言う。
「持っているわけがありません」
思わず透は答えた。
「ハハ、そうだな。楽しかったぜ。また会おう」
ザイール――大天使ミカエルの身体も耀いた。
「汝、幸福なれ!」
ゼウス神がそう言ったとたん、神々の身体はしだいにひとつの光になりはじめた。
「って、ちょっとみなさん。私にはなにがなんだか、さっぱりわからないのですが」
ひとつとなった光はだんだん小さくなっていき、球体となった。
「あ、あなたは……」
我はアルファでありオメガである――
「はい、存じています。あなた様は、唯一絶対神のヤハウェ」
汝、人より流れいでし者よ――
「はい……」
我は汝とともにある――
「ああ、はい。それで私はどうなるのでしょう」
汝は我とともにあるー―
「あ、あの……」
さあ、ゆくがよい――
「私の質問の答えになっていませんが」
汝が求める者のもとへ――
「って、聞いてない……」
汝が愛する者のもとへ――
汝を愛する者のもとへ――
光あれ――
その言葉とともに、透は煌びやかな光となった。
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