もう一度、君に逢いたい

星 陽月

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【最終章②】

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 沢尻朝子と川島徹は、時の経つのも忘れて語り合っている。
 そうしてふたりは出逢ったのであるが、果たしてふたりは結ばれるのであろうか。
 これは、ふたりにとって新たに用意された別の未来。
 そう、これまでの物語は、すべて初期化されているのである。
 だから、ふたりがこれから先どうなるのかは、だれにもわからない。
 けれどきっと、ふたりは幸福になるに違いない。
 そう願いたいものだ。

 幸あれ、と。

 そのふたりを、大天使ミカエルは微笑ましく見つめている。
 唇が動いている。
 何かを言っているようだ。
 幸せそうなふたりを祝福しているのかもしれない。
 と、ふいにこっちを見た。

「アンタ、煙草を持っていないか。天国には煙草がない」

 大天使ミカエルは、口端を上げて笑みを浮かべた。
 いやはや、なんとも。
 あれほど激しく降っていた雨は、すうっと上がり、空には見事な虹がかかっていた。



 魂のきずな。
 それは切っても切れぬもの。
 たとえどんなに離れていようとも、それは必ずめぐり逢う。
 そう、必ず。きっとどこかで――

                                 Fin
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