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チャプター【041】
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「だが、その後もおまえは、人を喰らいつづけた」
蝶子は言った。
「そんなに責めないでおくれよ。私がしたことは、どんなことしたって消えやしないことはわかってるさ。だから、あんたに約束したとおり、これからは人間を喰わないよ。いまだって、こうして先祖返りを2匹も喰ったところなんだ。人間の肉とは天と地ほどの差があるけど、生きていくには困りはしない」
「その言葉、これからの生き方で示せ。この先、一度でも人を喰らうようなことがあれば、真っ先におまえを捜し出して駆除する。いいな」
「わかった。ありがとう。ほんとうにありがとうよ。あんたとの約束は、必ず守るよ」
邪蛇は眼を瞑り、顔の前で手を合わせた。
蝶子はふり返り、その場を去るために歩を進めた。
邪蛇は手を合わせたまま眼を細く開き、立ち去っていく蝶子を窺った。
そんな邪蛇に気づくことなく、蝶子は歩き去っていく。
「ばかめ、隙だらけだよ」
邪蛇が口許で小さく呟き、口端をつり上げてにたりと嗤った。
と思うと、その口が大きく開き、邪蛇は蝶子に向かっていった。
だが、蝶子に向かっていったのは、邪蛇の首だけだった。
両肩のあいだの首が異様なほどに伸びて、蝶子に襲いかかっていったのだ。
シャシャア!
いまにも蝶子の頭に喰らいつこうとする、その刹那、蝶子がすっとふり返っていた。
その蝶子と邪蛇の眼が合った。
邪蛇の貌が、愕きの表情を浮かべたまま固まっていた。
すると、邪蛇の頭が、その位置から真っ直ぐに地へと落下した。
伸びきった首だけが、まだ宙に残っている。
その首は、すっぱりと両断されていた。
蝶子がふり返りざまに、手にしていた太刀を払ったのだ。
宙に残っていた首の切断面からはとたんに血飛沫が上がり、力を失って地に垂れ落ちた。
頭を失った胴体は、数瞬わずかに痙攣すると地に倒れていった。
「そんなことだろうと思ったよ。馬鹿なやつだ。ほんのひとときでも、生きながらえることができたものを……。駆除、完了」
蝶子は太刀をひとふりし、血糊を払うと背の鞘に収めた。
焚火へと眼をやる。
燃える炎を見つめながら、蝶子は、邪蛇が言っていたことを思い返した。
蝶子は言った。
「そんなに責めないでおくれよ。私がしたことは、どんなことしたって消えやしないことはわかってるさ。だから、あんたに約束したとおり、これからは人間を喰わないよ。いまだって、こうして先祖返りを2匹も喰ったところなんだ。人間の肉とは天と地ほどの差があるけど、生きていくには困りはしない」
「その言葉、これからの生き方で示せ。この先、一度でも人を喰らうようなことがあれば、真っ先におまえを捜し出して駆除する。いいな」
「わかった。ありがとう。ほんとうにありがとうよ。あんたとの約束は、必ず守るよ」
邪蛇は眼を瞑り、顔の前で手を合わせた。
蝶子はふり返り、その場を去るために歩を進めた。
邪蛇は手を合わせたまま眼を細く開き、立ち去っていく蝶子を窺った。
そんな邪蛇に気づくことなく、蝶子は歩き去っていく。
「ばかめ、隙だらけだよ」
邪蛇が口許で小さく呟き、口端をつり上げてにたりと嗤った。
と思うと、その口が大きく開き、邪蛇は蝶子に向かっていった。
だが、蝶子に向かっていったのは、邪蛇の首だけだった。
両肩のあいだの首が異様なほどに伸びて、蝶子に襲いかかっていったのだ。
シャシャア!
いまにも蝶子の頭に喰らいつこうとする、その刹那、蝶子がすっとふり返っていた。
その蝶子と邪蛇の眼が合った。
邪蛇の貌が、愕きの表情を浮かべたまま固まっていた。
すると、邪蛇の頭が、その位置から真っ直ぐに地へと落下した。
伸びきった首だけが、まだ宙に残っている。
その首は、すっぱりと両断されていた。
蝶子がふり返りざまに、手にしていた太刀を払ったのだ。
宙に残っていた首の切断面からはとたんに血飛沫が上がり、力を失って地に垂れ落ちた。
頭を失った胴体は、数瞬わずかに痙攣すると地に倒れていった。
「そんなことだろうと思ったよ。馬鹿なやつだ。ほんのひとときでも、生きながらえることができたものを……。駆除、完了」
蝶子は太刀をひとふりし、血糊を払うと背の鞘に収めた。
焚火へと眼をやる。
燃える炎を見つめながら、蝶子は、邪蛇が言っていたことを思い返した。
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