遑神 ーいとまがみー

慶光院周

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第1章

やっと行きます異世界

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 「じゃあどこの異世界に行くか決めるぞ。クジは緊張感がないからダーツにする。ここなら誰もいないからな。異論はないか?」
 「ありませーん! ダーツやりたいです! 当てろコールしたいです!」

 なかったので手を振ってダーツの道具を出す。
 この能力はものを作ったり操ったりと大体の事が出来る能力で、一種の神通力として神なら大体のやつが使えるものだ。(私がそう呼んでいるだけで他では単純に力とか能力と言ってる神もいる)

 ただし、創造力と神通力を使うから疲れるので一日、20回ぐらいまでに抑えている。
 あまり、使いすぎると今の姿が保てなくなるからな。それでも20回中1回はかならず姿を今のまま保つために使うから実質、19回しか使えなくなる。(重症を負うと解けるが)

 それならやらなくてもいいだろうと思われるだろうが違うんだ。姿を保たないと本来の姿になってしまう。(自分で解くことも出来るが)人間が見ると灰になったり焼け死んだりする。
 詳しくはセメレという女を調べてほしい。

 話を戻そう。私が出したダーツセットは的×3、矢×10だ。的は宙に浮いていて、自動で回っている。
 一つ目は、この世界から見てどの方向を決めるものだ。時計の文字盤を思い浮かべてもらえるいいいだろう。
 二つ目は、距離だ。mmからkmまでにしてある。
 三つ目は、距離の数字を決めるものだ。一つ目と二つ目が終わった時点で残っていた矢を全て投げてこちらを決めようと思ったのでこれが最後にした。

 ルールは特にない。244cm以上離れていればもっと離れても大丈夫だ。

 「よーし、じゃあ言い出しっぺの法則!! 新月行きまーす!!」

 新月が翼を羽ばたかせて空に5m、後ろに100mほど下がった。

 流石にそこまで行くとは思ってなかった。これが最後じゃないんだぞ。次の私はどれだけ下がらなくてはいけないんだ?

 「セイヤ――――!!!!」

  ドズッッッン―――――


 私の髪を掠めて矢が飛んできた。目の前で黒い髪が靡く。
やめてくれ、先の戦いでまでは私の髪は長かった。平安時代の女並みには長かった。
しかし、戦いの最中に切られてズンバラリンになったんだ。戻ってきたあとにちゃんと整えはしたが、床屋で色んな髪型をウザイ程に勧められてウンザリだったんだ。もう行きたくない。

 「よーし、8時の方向だ! 次、クロね。ん? どうしたん?」

 どうしたという顔をして新月がこちらに飛んでくる。翼の花が散る。抜けるぞと言おうとしたら散ったとこの花から新しい花が咲いた。自己再生するのかこの花は。

 「いや、問題ない、私の番だな」
 「いぇーい! 当てーろ!! 当てーろ!!」

 危ないとかいろいろ言いたいが誰もいなかったので言わなくてもいいかと口を閉ざしとりあえず飛ぶ。当てろコールを新月が草原でしているのが見える。翼が目立つなと思いながら投げる。

  スト―ン

 新月程ではないかいい音が出て的に綺麗に刺さって、kmの中心に刺さっていた。
 よし、mmとかcmじゃなくてよかった。そんなのに当たったら新月につまらんって言われる。

 「kmになりました! 両者ともここまで矢を一本も無駄にしてこなかったため数字の最大は99999999kmになります! さてどうなるのでしょうか?! 最終ステージはCMのあとで!!」

要らない実況ありがとうございました。もう要らん。

 最後は新月と私で交互に投げる。結果、新月が三本外して45369kmになった。99999999kmよりはマシだがそれでも遠い。近いよりはいいが、

 「じゃあこの世界から見て8時の方向。45369km先の世界ね! 決定、すぐ行こう!!」

 新月が翼をしまって抱き着いてくる。胸は当たってくるがうれしくない。

「はいはい、行くからお前とりあえずスタシス出せ」

 私は一旦、スタシスを出してもらい握る。新月が念じたら溶けるように新月が消えてスタシスが出てきたのだが新月の反応がリアクション芸人並だった。
 垂れた鎖が邪魔なのでとりあえず右手にゆるく巻き付けておく。これだけなら鬱血はしないだろう。(スタシスを持たずに振り回したらなるだろうけど)
 構えてみる。アダマスの鎌の時にはあったあらゆる万物を切り裂く能力があった。勿論、時空も切れる。だが今は使えるだろうか?
 少し不安になるが意を決して縦に一回、振り下ろす。

  ザシュッ!!! スパァァァ――――

 大きな音を立てて何もないところに縦3mほどの裂け目が出来て開く。よし、出来る。杞憂だったらしい。
 開いている内に通り抜け、通り抜けるたあとも切った空間の裏側でしっかりと閉じるのを見る。裂いたものをそのままにして行ったら虫やらなんやらが入って異世界や異次元に行ってしまう。もしそれがそこの世界にない虫だったらどうなるだろうか?

 答えは見つかったらすぐに捕まって虫ピンの餌食だ。
 それだけならいいが細菌を持っていたらどうなるか? その最近がその世界にはないものだとして、増殖したらどうなるか?

……とっても面倒なことになる。

 考えるだけでも大変だ。それを戻すのも私か私の部下だからな。そのために空間を開くのは15秒だけにしている。

   パタン

 音がして閉じたのを確認してから後ろを振り替えった。
 目の前にはオーロラのような鮮やかな色が暗闇に広がっている。その中にぽつりぽつりと一定の間隔で光の玉が浮かんでいる。この光こそが一つ一つが全部バラバラの世界だ。
 で、その間を何かが行き来しているがこれは通称『時空のおっさん』といわれるやつらだ。ちなみに私の部下でもある。まあ、詳しい話はまた今度にして今回は軽い説明だけしよう。

 まず初めに言っておく。ブラックはない。仕事は一人につき一日3つにしてあるし、終わったらその足で帰れるようにしている。週2で休みもある。祝日祭日も休みだし、長期休暇もある。給料も実力で上がる。ボーナスもある。大きな仕事はちゃんとグループを組ませてやらしたりしてるし、ダメなときには私自ら身分を隠して動いたりしてる。

 だからブラックではない。もう一度言っておくブラックではない。 スタシスを返してもらうときに払った財産も会社のではなく私の私財だ。勘違いしないで頂きたい。
 とまあ、『時空のおっさん』についてはここまでだ。

 「それって、『時空のおっさん』の説明じゃなくて『時空のおっさん』の会社の説明になってるぞ。クロ」

 新月が突っ込んでくるがちゃんと説明はしている。『時空のおっさん』の会社の環境はブラックではなく、クリーンだという説明を、ブラックではない事は大事だからな。

 そんなことよりも、私たちの目的はあくまでこの世界から見て8時の方向の45369km先の世界だ。すれ違う部下には「頑張れよ」と一言かけておき、私とスタシスの中にいる新月は飛び進む。

 ちゃんと挨拶はした。問題ない。

 スピードを出して進み目的の世界に着いた。またスタシスで切って通り抜ける。

 「とーちゃく!! さーて、どんなとこかな♪」

 新月が喋った。しかし声がでかい、五月蠅い、耳元で喋るな。
 部下たちの仕事の邪魔になるだろうがと思い後ろを振り返るが閉じようとする裂け目を見るが誰も反応してない。
 このままだと私以外には聞こえないらしい。便利だ。 

 裂け目が閉じたのを見届けて前を向き、地上を目指す。

「待ってろよ、異世界! ヒャッハー!!」

 だから五月蠅いぞ。
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