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第1章
新月
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「アホ、こんな話乗るわけ――――あるだろうが。時間も丁度、真夜中と言ってもいい時間だ。
今なら一緒に行きたいとか、お土産よろしくとか言ってくるやつらに見つからずに行ける。それに、こんな面白そうなことやらずにどうする」
たまにはいいことを言うじゃないかと感心しているとあいつは目を輝かせて私の手を引っ張って立ち上がらせた。私の方がこいつよりも遥かに高いので引っ張られると前に倒れそうになる。
危ない、何とか体制を整えるとあいつが私の手を引っ張りながら話し始めた。痛い、まだ引っ張る気かこいつは、
「よーし! なら思い立ったが吉日だ! 普通なら用意は必要だが俺らならなんも要らない! さっそく出発!!」
ちょっと待て。いきなり手を取って、さぁ行こう! じゃないだろう。もう一つ大切なことを忘れてるぞこいつ。
「ちょっと待て」
私が止めると、あいつが輝かせていた目を不満そうにして私を睨んできた。
「……なんだよ。文句でもあんのか?」
こいつはまだ決めなくてはいけないことがあるくせにまるっと忘れているらしい。
「いや文句はない。が、お前には混沌 カオス以外の名前がないだろう? 私にもクロノス以外にはない。精々、読み方を変えるぐらいで直ぐにバレてしまう。異世界に行くのならそれでいいが名前やファミリーネームがないと可笑しいだろう?」
「……あ~、そうか」
「行きました。着きました。ですぐ目の前に人がいたらどうするんだ?困るだろう?」
「あー……まぁそうですね、申し訳ございませんでした。保留中だったの忘れてました。確かに困ります、何かいい案はないですか?」
馬鹿か、そんなの自分で考えろと言いたいところだったが私も考えなくてはいけないので言わないでおく。
「あーそうだな、ファミリーネームは案外カオスとかでいけるかもしれん。下手につけて後で反応出来ないからこれでいいだろう。あと名前だ、私も偽名を考えておこう」
私が復活したことは秘匿とされてるらしい。だから名前をそのまま使うと多かれ少なかれ問題が起こる。起こらなくても嫌がられるだろう。私は自分の名前が嫌いな訳ではない。ないが、それではのんびりと暮らせない。それは困る、私だってゆっくりのんびりしたい。
何かいい名前はないか? 呼ばれたときにすぐに反応できる名前は―――ない。
個人的にクで始まるものがいいんだが、思いつかない。あってもしっくりこないだろうが……何も思いつかない。こういう時は先にあいつのアイデアを聞いてからあいつに任せた方が楽だろう。
「そっちは決まったか?」
そう言ってあいつに目を向けると手と首を振った。
「全然決まらない。候補はあるけど長ったらしくて呼ばれたときに反応出来ない。ファミリーネームはカオスでいいと思う。
いやだけど忘れるよりはマシだし。名前じゃないなら我慢できる。クロはどうだ?」
逆にこっちに振られた。私だってまだ決まってないぞ。
「私もまだだ。出来ればクで始まるものがいいのだが……」
言ってる最中にふと思いつく。
クロノスからノを取ったらクロスになる。クロスとはファミリーネームに使われることが未来では多い。私が王になる前に遊びに行った現代では結構いた。なら、名前にも使ってもいいのではないか?
これなら反応出来ないことはないだろう。また現代に遊びに行ったとしても名前がこれでファミリーネームがカオスなら外人だと思ってくれると思う。私はよく現代の日本に行くが、私の顔がどう見ても日本系ではないからな。
なぜ私が日本に行くのかというとどの文化よりも好きだからだ。多分、自国の文化より好きかもしれない。今では、日本の常識は全部覚えてしまった程だ。
前はよく行っていたんだが王になってからは忙しくて行っていない。また今度行こう。
「なあ、クロスってどうだ? これなら呼びやすいし、お前がクロって呼んでも違和感がないからな」
そう言ってあいつに意見を求めると……
「いいんじゃね? それなら楽だしな。あとは俺か。名前……ムズイ。簡単に決められないからな。面倒だな~」
こいつは自分の名前を考えるのがめんどいと言ったぞ。何言ってるんだ。そりゃ簡単に決めれるわけがないだろうが。
あっ、と言う声が聞こえて今までグルグルと動いていたあいつがこっちに戻ってきた。目の間にいると余計に小さく見えるなこいつ。私が202cmあるから余計にそう見えるんだがな。
「なぁクロ、今日って月が出ないのか?ポイっぺ(ポイペー。月の女神、月そのもの)おサボり?」
「アホ、今日は新月じゃ」
あいつが首を傾げると、いいこと思いついた! とでもいうような顔をしてきた。一体、何を始める気なんだ。
「新月って名前は知ってるけどなんでそうなるの? 教えて! クロ先生―!!」
……
「いぇーい! 第一回教えて! クロ先生―!! 始まりました!! ドンドンパプパプ!
今回の質問は『どうして新月は見えないの?教えて! クロ先生―!!』です!! さあ、クロ先生なんでか教えてくださーい!!」
相変わらず悪巫山戯のだけは得意だなこいつは。
「自分で調べ「めんどい」ろ……」
こいつは……私と同じく長い間存在しているのにそんなことも知らないなんて、いや、知ろうとしなかったという方が正しいかもしれない。
こいつには私と同じく頭の中にインターネットが入っているようなもので頭で知りたいと考えればすぐに調べられる。
しかし、こいつはピク●ブなんてものや動画、物書きになろうとかしかに使っていかった。形がないからほとんど何もできないくせにかろうじて使える能力をこんなことにしか使っていないのだから勿体無い。宝の持ち腐れだ。
「あのな、新月と言うのは月が太陽と同じ方向にあるが故に太陽の明るさに隠れ月が見えぬことじゃ。よう覚えておけ」
あ、こいつのアホに付き合っていたら少し素が出でしまった。
「へ~、そうなんですか先生! 勉強になりました! しかし、先生の素が出てますよ! 隠してください! 古臭くて何を言っているのか分かりません!!」
「気を抜いてしまっただけです。聞き流して下さい」
「分かりました! では先生の希望通り聞き流す事にしましょう!
っと、今日はこの辺で今回はお別れのようです。また次回お会いしましょう! 以上、教えて! クロ先生でした!! チャンチャン♪」
勝手に始まって勝手に終わった。
「じゃあ俺の名前は新月の夜に形を得たから新月にする! 新月ってなんかかっこいいし。今日から俺は新月ね」
決めポーズをするようにウィンクする新月にそれでいいのかと言いたいところだが本人がいいなら良しとするか。いろいろ混ざっているが。
「……そうか新月か決まって良かったな。けどいいのか?漢字と英語が混ざるぞ」
私が指摘したあと、しばし沈黙が流れた。何にも考えずに決めたらしい。適当すぎる。
「い、いいんだよ、クロ以外にはレモーネとでも名乗るし! 君だけが俺のことを新月と呼べ! それでいいんだ!」
レモーネとはスェーデン語で新月という意味だ。名前の響きは良くなったか。
だが、『何でクロスさんはレモーネさんを新月って呼ぶんですか? 言いづらくないんですか?』って言われる未来がみえる。
それも嫌なんだが、あいつ……いやこれからは新月か。新月は少しキレ気味に言ってきた。なんで私がキレられなくてはいけないんだ。
まあ、本人がいいなら放っておこう……
今なら一緒に行きたいとか、お土産よろしくとか言ってくるやつらに見つからずに行ける。それに、こんな面白そうなことやらずにどうする」
たまにはいいことを言うじゃないかと感心しているとあいつは目を輝かせて私の手を引っ張って立ち上がらせた。私の方がこいつよりも遥かに高いので引っ張られると前に倒れそうになる。
危ない、何とか体制を整えるとあいつが私の手を引っ張りながら話し始めた。痛い、まだ引っ張る気かこいつは、
「よーし! なら思い立ったが吉日だ! 普通なら用意は必要だが俺らならなんも要らない! さっそく出発!!」
ちょっと待て。いきなり手を取って、さぁ行こう! じゃないだろう。もう一つ大切なことを忘れてるぞこいつ。
「ちょっと待て」
私が止めると、あいつが輝かせていた目を不満そうにして私を睨んできた。
「……なんだよ。文句でもあんのか?」
こいつはまだ決めなくてはいけないことがあるくせにまるっと忘れているらしい。
「いや文句はない。が、お前には混沌 カオス以外の名前がないだろう? 私にもクロノス以外にはない。精々、読み方を変えるぐらいで直ぐにバレてしまう。異世界に行くのならそれでいいが名前やファミリーネームがないと可笑しいだろう?」
「……あ~、そうか」
「行きました。着きました。ですぐ目の前に人がいたらどうするんだ?困るだろう?」
「あー……まぁそうですね、申し訳ございませんでした。保留中だったの忘れてました。確かに困ります、何かいい案はないですか?」
馬鹿か、そんなの自分で考えろと言いたいところだったが私も考えなくてはいけないので言わないでおく。
「あーそうだな、ファミリーネームは案外カオスとかでいけるかもしれん。下手につけて後で反応出来ないからこれでいいだろう。あと名前だ、私も偽名を考えておこう」
私が復活したことは秘匿とされてるらしい。だから名前をそのまま使うと多かれ少なかれ問題が起こる。起こらなくても嫌がられるだろう。私は自分の名前が嫌いな訳ではない。ないが、それではのんびりと暮らせない。それは困る、私だってゆっくりのんびりしたい。
何かいい名前はないか? 呼ばれたときにすぐに反応できる名前は―――ない。
個人的にクで始まるものがいいんだが、思いつかない。あってもしっくりこないだろうが……何も思いつかない。こういう時は先にあいつのアイデアを聞いてからあいつに任せた方が楽だろう。
「そっちは決まったか?」
そう言ってあいつに目を向けると手と首を振った。
「全然決まらない。候補はあるけど長ったらしくて呼ばれたときに反応出来ない。ファミリーネームはカオスでいいと思う。
いやだけど忘れるよりはマシだし。名前じゃないなら我慢できる。クロはどうだ?」
逆にこっちに振られた。私だってまだ決まってないぞ。
「私もまだだ。出来ればクで始まるものがいいのだが……」
言ってる最中にふと思いつく。
クロノスからノを取ったらクロスになる。クロスとはファミリーネームに使われることが未来では多い。私が王になる前に遊びに行った現代では結構いた。なら、名前にも使ってもいいのではないか?
これなら反応出来ないことはないだろう。また現代に遊びに行ったとしても名前がこれでファミリーネームがカオスなら外人だと思ってくれると思う。私はよく現代の日本に行くが、私の顔がどう見ても日本系ではないからな。
なぜ私が日本に行くのかというとどの文化よりも好きだからだ。多分、自国の文化より好きかもしれない。今では、日本の常識は全部覚えてしまった程だ。
前はよく行っていたんだが王になってからは忙しくて行っていない。また今度行こう。
「なあ、クロスってどうだ? これなら呼びやすいし、お前がクロって呼んでも違和感がないからな」
そう言ってあいつに意見を求めると……
「いいんじゃね? それなら楽だしな。あとは俺か。名前……ムズイ。簡単に決められないからな。面倒だな~」
こいつは自分の名前を考えるのがめんどいと言ったぞ。何言ってるんだ。そりゃ簡単に決めれるわけがないだろうが。
あっ、と言う声が聞こえて今までグルグルと動いていたあいつがこっちに戻ってきた。目の間にいると余計に小さく見えるなこいつ。私が202cmあるから余計にそう見えるんだがな。
「なぁクロ、今日って月が出ないのか?ポイっぺ(ポイペー。月の女神、月そのもの)おサボり?」
「アホ、今日は新月じゃ」
あいつが首を傾げると、いいこと思いついた! とでもいうような顔をしてきた。一体、何を始める気なんだ。
「新月って名前は知ってるけどなんでそうなるの? 教えて! クロ先生―!!」
……
「いぇーい! 第一回教えて! クロ先生―!! 始まりました!! ドンドンパプパプ!
今回の質問は『どうして新月は見えないの?教えて! クロ先生―!!』です!! さあ、クロ先生なんでか教えてくださーい!!」
相変わらず悪巫山戯のだけは得意だなこいつは。
「自分で調べ「めんどい」ろ……」
こいつは……私と同じく長い間存在しているのにそんなことも知らないなんて、いや、知ろうとしなかったという方が正しいかもしれない。
こいつには私と同じく頭の中にインターネットが入っているようなもので頭で知りたいと考えればすぐに調べられる。
しかし、こいつはピク●ブなんてものや動画、物書きになろうとかしかに使っていかった。形がないからほとんど何もできないくせにかろうじて使える能力をこんなことにしか使っていないのだから勿体無い。宝の持ち腐れだ。
「あのな、新月と言うのは月が太陽と同じ方向にあるが故に太陽の明るさに隠れ月が見えぬことじゃ。よう覚えておけ」
あ、こいつのアホに付き合っていたら少し素が出でしまった。
「へ~、そうなんですか先生! 勉強になりました! しかし、先生の素が出てますよ! 隠してください! 古臭くて何を言っているのか分かりません!!」
「気を抜いてしまっただけです。聞き流して下さい」
「分かりました! では先生の希望通り聞き流す事にしましょう!
っと、今日はこの辺で今回はお別れのようです。また次回お会いしましょう! 以上、教えて! クロ先生でした!! チャンチャン♪」
勝手に始まって勝手に終わった。
「じゃあ俺の名前は新月の夜に形を得たから新月にする! 新月ってなんかかっこいいし。今日から俺は新月ね」
決めポーズをするようにウィンクする新月にそれでいいのかと言いたいところだが本人がいいなら良しとするか。いろいろ混ざっているが。
「……そうか新月か決まって良かったな。けどいいのか?漢字と英語が混ざるぞ」
私が指摘したあと、しばし沈黙が流れた。何にも考えずに決めたらしい。適当すぎる。
「い、いいんだよ、クロ以外にはレモーネとでも名乗るし! 君だけが俺のことを新月と呼べ! それでいいんだ!」
レモーネとはスェーデン語で新月という意味だ。名前の響きは良くなったか。
だが、『何でクロスさんはレモーネさんを新月って呼ぶんですか? 言いづらくないんですか?』って言われる未来がみえる。
それも嫌なんだが、あいつ……いやこれからは新月か。新月は少しキレ気味に言ってきた。なんで私がキレられなくてはいけないんだ。
まあ、本人がいいなら放っておこう……
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