遑神 ーいとまがみー

慶光院周

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第1章

親方ー!川から男の子がー!!

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 家を出てから山に登った。山は王都への方角にあるから通る必要がある。けど本当は山に行く必要はない。俺が家を出ればそれで目的は達成されてるからな、それでも俺は王都を目指している。
 何故かって? 俺にも分からない。分からないが多分、まだ心の何処かで『生きたい!!』って思っているからだと思う。
 だから俺はその思いに従って歩いている。

ふらふらと足を出す。



 右、左、また右……

 お腹が空いて歩くのが苦しい。生えていたキノコや木の実を採ったりしてるが全然足りない……水も、もう飲み切ってしまったので喉が乾いて仕方ない……急いで川か何かを探さなきゃいけない。
 まだ魔獣や獣に会っていない今のうちに……あぁ、幻聴かな? さっきから凄い大きな音が頭の中で響いている。早く川を探さないと、



 川だ!!  なんとか魔獣にも獣にも会わずに川に着くことが出来た。
 ここまで長かった……結構上の方まで来たんだろう川の流れが早い。気をつけて飲まないと、と思った瞬間、足が滑る。俺の体は踏ん張る力すら残っていなかったらしい。

ドボン

 飲み込まれる―――
 そう思った時にはすでに息が苦しくなっていた。


 苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい!!!


 沈む、沈む、体が……沈む―――

 必死に手足を動かすがバチャバチャと僅かな抵抗にしかならない。体は川に流されて水に揉まれるがままだ。さっきまでは水が欲しくて仕方がなかったのに今はもう喉に入り切らないほど流れ込んでくる……余りの量に咽せ返る。
 そしてさらに水が入ってくる。


 苦しい苦しい苦しい苦しいクルシイ苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいクルシイ苦しい……………





 
****

 以降、新月がお送りします。_(:3 」∠)_

 「どうして俺だけ除け者なのーー!!!」

 はいこちら相棒に置いて行かれた悲劇のヒロイン(笑)の新月でござる。
 ただいま拙者は川で洗濯をして……ござらぬ。いや皿洗いはやったけど。本当は川を降った下流にあったでっかい岩の上に座って釣りをしてます。
 川のせせらぎが心地よく(時折、雑音が混じりますが)、山の緑は青々としてし(たまに木や動物見たいなものが空高く吹き飛んでいますが)、俺はのんびりと釣竿にあたりが来るのを待っています。(サボってます(ゝω・)キラッ☆)

 現在、あゆみたいなのが2匹と靴、骨、木が捕れました。骨はもしかしたら人間のかもしれないですね……ナムアミダブツ(漢字がわかりません)

 「ってのんびり実況してる場合じゃないし! せっかくアニメみたいなかっこいい足防具作ったのに意味なしじゃん! クロだけずるい! 一人だけ楽しんでるなんてー……俺も混ぜろー!」

 さっきから俺が釣りをしている場所のすぐ近く、木々が生い茂っている所からズッドドドン!!! とかドッカァァァン!!! と盛大な音がなり響き渡っています。
 あれはもしかしなくてもクロです。ハッスルしてますね~。おかげで俺の周りには魚しかいません。そしてついさっきの爆音でその魚にも逃げられました。おかげでまだ二匹だけなんです。
 クロと合流したら今度からはちゃんと範囲と威力を決めろと注意しなくてはいけませんね……

 パチャ

 「お? 魚が引っかかったかな? さっき逃げたのに」

 釣竿がすごく引っ張られています。結構、大物かもしれません。

 「よっしゃー! って重てえぇー!!」

 何でしょうかすごく重いです。このままでは釣竿が折れます。こうなったら仕方がありません。

 「【狂気】発動!! ただし10秒だけ!!」

 スキルの【狂気】とは狂気に染まる代わりに体力と筋力、瞬発性が二倍以上になるものらしいです。さっきまで暇だったのでスキルと書かれていたところを調べたらそう出てたんで合ってると思います。

 「グォォォガァァァ!!! (よっしゃ!!  ばっちこい!!!)」

 ルアーを巻きながら釣り上げる。早いです。
 【狂気】ってすげぇ……でもやり過ぎるとスキル【狂気】が本当の精神状態が狂気になっちゃうんらしいですよね~。気をつけないとな~。
 あと5秒です。大きな影が見えてきました。あと少しですね。

 「シャァァァ!! (いっけぇぇぇ!!)」


 ザバァァァン


 なんとか間に合いました。良かったです残り時間あと2秒だったので。
 釣り上げたものを確認します。さてどんなものがと見てみると魚ではありませんでした。

 えーと……釣り上げたのは大物でも川の主でもなくガリガリの男の子でした。
 とりあえずこういう時にしか言えないセリフを言っておきます。

 「親方ー! 川から男の子がー!!」


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