遑神 ーいとまがみー

慶光院周

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第1章

巻き込まれとブラック

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 以降、新月がお送りします⊂(_ω_ つ  )つ



 やっと今日の依頼、『濃霧の墓場で蠢いているスケルトンの大群を倒して欲しい』をや~~~っと終わらせてギルドに帰ってきた。もう真夜中じゃん。

 「クロー……あとどれだけ依頼ってやらないといけないんだ? もう依頼の消費に貢献しなくてもよくない?」
 「あぁ、もうやらなくてもいいだろう……流石の私でも休息が欲しい」
 「もう嫌です修行って辛い。何回走馬灯を見たことか……」

 クロもハリスくんも二人とも顔が死んでいる。
 クロは元から表情が硬いけど今は顔に疲労感が出ている。当たり前だよな、一番動いているのクロだもん。




 あれから一ヶ月? 二ヶ月? 下手したら半年ぐらい? 俺達はそれぐらいの時間をギルマスが持って来る依頼に忙殺されていた。
 中にはニ週間程かかった長期の依頼で、

ーーーーーーーーーー
【討伐依頼】凶鳥 ボルボ 報酬:金貨30枚
 数:1
ランク:S   場所:国鳥  五天神鳥 シラの巣
備考:我が国の国鳥であるシラの巣に凶鳥のボルボが住み着いてしまいシラが巣に戻れなくなっておる。どうにかしてボルボを倒して欲しい。
  倒した者は証としてコアと翼を採取しておくこと。

 ボルボはシラの巣の最深部であるシラの寝床にいる。
ーーーーーーーーーー

 って書いてあって堂々とSランクの依頼と書かれたものだった。なのに今はSランクのパーティが全部凶暴化してる大型魔獣の討伐に行ってるから不在だーとか言ってクロに押し付けやがったから脛に蹴りいれてやった!(`・ω・´)

 場所が分かっているなら早く終わると思ってたのにボルボっていうあの灰色の鳥は不在で待ち惚けをくらう羽目になった、チネ。
 でここからが大変だったんだけど、もういないじゃないかってクロがパイプを吸ってたんだよね。
 そしたら「パイプ吸ったら舌がヒリヒリする」 って言い出してちょっとした騒ぎになってる時に依頼の対象のボルボってやつと「こんにちは」 になっちゃった。結果は勿論クロが勝た。当たり前だよね!
   けど、あのあとクロが喋りづらくなったから会話は【以心伝心】を通してやったから面倒だった。もうあんな思いしたくない。
 なんで今俺達はこんな思いをしながら依頼をこなしているんだろう……本当ならもっとゆっくりとしたゆったり&ぐーだらライフを送ってる筈だったのに……!
 なんでクロが王様やってた時以上の超過密スケジュールをこなさなきゃいけないんだよ。
 あれか?!  クロの運30のせいなのか?! おかげで依頼の過密スケジュールに俺の仕事(料理、衣類の製作)、+αの変態と変人との遭遇!!



 戦闘とかではちゃんと運が働く癖になんでこういう時に働かないんだー?! 俺はこたつでゲームしたい。ダラけたい。働きたくない!!!

 こうなったらギルドを辞めてカジノで俺の運70を使って稼いでいくか?(勿論クロはお留守番で)
 あ、そっちの方が楽な気がしてきた。


 「残念だったな『ヴージェノヴ・ニュアレンバーグ』の三人よ!  まだ依頼は残ってるぞ!」

 やっと帰ってきた我が宿敵、ヤクザの事務所より立ち寄りたくない所No.1のギルド、禁断の書パンドラ
 その建物の前でギルマスが仁王立ちして待っていた。



 てか、なにが残ってるぞ! だよ。あれから何個の依頼をこなしたと思っているんだ。(クロがだけど)

 「もういりません!  押しかけ依頼販売えんがちょ!」
 「押しかけはわかるが、えんがちょ って何だ?」

 あー、この世界にはえんがちょが無いのか。

 「で、次の依頼なんだがなこれがちょっとな……応接室に来てくれ」

 ギルマスが有無を言わさずに俺とハリスくんを引きずってギルドの扉を開けて中に入る。
 中では真夜中なのにまだ冒険者達が宴会をしていた。若いのは元気だね~、
 俺達が入ると音にに気づいた冒険者達がこちらに顔を向ける。そりゃギルマスが直々に運んでいる冒険者がいると注目されるよな。


 クロ、お願いだから今入って来るなよ。
 今はこんなに人がいるとカオスになるーーーって、カオスって俺じゃん(笑)!
 あははー……じゃなかった。入って来るんじゃないぞ。フリじゃないからな!
 
 絶対に入って来るな!

 俺がギルマスに引きずられながらそう願っていたが、ギィ  っという扉を開ける音を聞いた瞬間、頭の中に『残念でした☆』の文字が浮かぶ。
 
 あ、これオワタじゃん。


****

その頃の巻き込まれ組は……


 「まさかコンビ二でバイトしてて異世界でモンスターを倒さなきゃいけなくなるとはな」

 コンビ二の店員雄型改め笹島 伸さんはそう言った。
 
 「あたしもこんなメルヘンチックなことに巻き込まれて生死を賭けた戦いをするなんて思ってなかったな~」

 コンビ二の店員雌型改め朝比奈 洋子さんも同じようなことを言った。

 「伸さんも朝比奈さんもそんなこと言ってないでこいつらどうにかしないと不味いって! 頼むから現実逃避するな。
 するなら俺も連れてってよ!  置いていかないで!  仲間はずれダメ絶対」

 はいこちらギルドに向かっている途中でモンスターに襲われそうになっている木戸  稔リポーターです。
 
 現在、スライムの集団に囲まれています。ファンタジーですね―――じゃない!

 スライムってドラ●エでは雑魚だよな? 異世界に行ったら会えるモンスターで仲間になることが多いやつだよな。
 なんかめっちゃ殺られそうなんだけど?!
 俺もうスライムに夢なんて持たない……



 俺生まれてからこの方喧嘩もしたことないのにいきなり戦闘なんて無理だよ。
 
 人生積んだ。オワタ\(^о^)/

 でも、確かこういう時は魔法とかが使えるはず!

 「とりあえずステータスとか魔法かなんか出てこい!」
『ステータスを表示します』


 マジか。自棄になって叫んでみたけど案外いけるんだな。

**********************

木戸  稔

【種族】人間

【性別】男

【年齢】18

【Lv】1

***【称号】***************
【巻き込まれ異世界召喚者】
**********************  
【体力】36
【魔力】40
【攻撃力】6
【命中率】30(+30、60)
【知力】55
【素早さ】20
【精神力】28
【運】50

***【装備】***************
武器 :無し

頭  :無し

耳  :ヘッドホン

腕  :腕時計
     
上半身:山桜高校の制服(ブレザー)、シャツ、カーディガン

下半身:山桜高校の制服(ズボン)
            
靴  :靴下、ローファー
               
***【スキル】***************
【回避力UP】、【命中率+30】
***【特殊スキル】*************
【世界の図書館】
***********************
【職業】高校生
***********************
 

 嘘これだけ? 攻撃に使えるものはないのか?!

 スライムがジリジリと追い詰めてくるのに俺には解決策がない。もしかしたら俺も魔法かなにかが使えるかもしれないが今はなにも分からないので使えない。じゃあ俺どうすればいいの?!
 ……仕方ない。 今は伸さんと朝比奈さんに任せよう。

 「二人とも! 攻撃に使えるようなものない?!  ステータスって叫べは出てくるから探してくれ! 俺は知ってる限りのことをやってみる!」
 「あ、あぁ」「え? う、うん!」

 オタク舐めんなよ! 魔法なら今まで散々見てきたんだ。

 画面の向こうでだけど、

 二人とスライムの間に立ち深呼吸をする。頼むからどれか一つは成功してくれ。でないと俺が恥ずかしい思いをするだけだ。

 「いくぞ、メラ! バ●ク●ロス! ホーリーアロー!
  ………………………………
 ………………
 ………」


  駄目だなにも起こらないし、めっちゃくちゃハズイ……
 あれから俺が知っている限りの魔法や魔術の呪文を叫んでみたがなにも出てこなく、ただスライムにジリジリと距離を詰められただけだった。
 後ろには大きな岩、前にはスライムの集団。完全に積んだ状態だ。しかも俺が恥ずかしい思いをしただけだったし!


 もう逃げ場が無い。
 後ろに下がりながらどうやってこの窮地を脱出するか考えていると何かに足を取られた。
 慌てて体制を整えて見てみると結構な大きさの石だった。そういえばスキルに命中率+30ってのがあったな。

 ステータスにに書いてあったことを思い出しなんとなく石を地面から掘り起こして石を持つ。
 命中率って確か弓系のスキルだった筈だ。なら俺が持つことが出来る武器は必然的に弓となる。しかし今の俺はそんな大逸れた物を使ったことが無いし持ってもいない。
 弓が無いなら命中率が上がっている今、石でもなんでも使うしかない!……よな?
 投石の経験はないが体育の授業で野球部のやつがやっていたアンダースローを見よう見まねでやってみる。

 「これでもくらえ!」

 駄目元で石を投げた。だが投げて直ぐに後悔する。素人が投げた石で倒せたら苦労なんてしなーーー「ブチャ!」

 当たった。

 一匹のスライムに石が命中し、まるで水風船が破裂したかのように体の液体を辺りにぶち撒けて動かなくなる。

 石ってスゲェ……

 「え? なにこのスキルってやつ?!」

 後ろを見ると朝比奈さんがステータスを見てるのだろう。スキルに驚いていた。

 「何か使えるものがありましたか?!」
 「うん、なんか使えるっぽいから使ってみる」

 『特殊スキル【リアリスティック ペイント】を使います。この能力は描いたものを10秒だけ実現させることが出来るスキルです。描いたものを実現させるには描いた絵を強く叩いて下さい。
 スケッチブックに絵を描き溜めしておくと描く時間がない時にも使用が可能なストックとして使えます。
 また、このスキルを使うとそれに見合うだけの魔力が消費されます』

 マジか、チートじゃん裏山。

 朝比奈さんがパニックになりながらもスキルを使って出てきたスケッチブックとペンで必死に絵を描いている間、俺はスライムに向かってひたすら石を投げる。

 と、伸さんがいきなり俺よりも前に足を踏み出した。

 「危ないぞ伸さん!」
 「俺も、っ! 戦う!」

 そう叫んで伸さんはスライムの隣にあった岩を持ち上げて投げる。
 伸さんの投げた岩の餌食になったスライム二体は岩に押しつぶされて一発で息絶えた。

 「スキルってやつに攻撃力と筋力の増強ってやつがあったからやってみたんだが凄まじいな」

 伸さんがぼそり、と独り言のように呟いだが結構凄いこと言ってた。けど、あと大体10体以上はいる。どうする、また石でも投げるか?

 「出来た! 二人とも離れて、パッと描いたから効くかわからないけど今はちゃんと発動するか? えーと『竜巻!』」

 次に投げれる石を目で探していると朝比奈さんが何かを描き終えたらしい。

 スケッチブックをバン! っと叩くと何もない空間から突如として姿を表した竜巻が姿を現し周りのスライムを吸い込んで暴れ回る。
 いきなり現れた竜巻に吸い込まれたスライム達は為す術無く竜巻の中で互いの体を叩き合いながら踊り狂うことになった。
 竜巻は移動するし巻き込まれる。そんな中に少しでも巻き込まれるとあとは死しかないだろう。

 竜巻って恐ろしいな。



ーーーって不味い。こっちにまで来てる!

 「ヤッバ!  二人ともごめん撤退!」
 「「マジで?!」」

 スライムを巻き込んだ竜巻が段々俺達の方へ寄って来たのですぐさま朝比奈さんは焦ったように撤退命令を出す。
 まだ死にたくない俺と伸さんも命令に従って竜巻から逃げようとする。
 が、それは必要の無い行動だったらしい。竜巻が俺達の方に移動しながら徐々にスピードを落として消えてしまったのだ。

 「あれ? もしかして10秒過ぎた?」
 「らしい。助かった~……ん?」

 視界に何か光るものがあったので広い上げる。よく見るとビーズ程の小さな青い石だった。
 これは何だろうか。

 『特殊スキル【世界の図書館】を使いますか?』

 なんか聞かれた。使うに決まってるじゃん。

 
『特殊スキル【世界の図書館】を使いコアを調べます。

 コア  

 魔物や全種族が持つもの(魔力を持たないものにはない)で、人間は微々たる量しかないが他の種族や魔物は比較的に大きく、生活必需品、装飾砕いて堆肥にするなどあらゆるものになり機械を動かす電気の代わりにも使われる。

 種族によりコアの色は違う大体血の色が元になり、

 魔物:青、人:赤、ドワーフ:緑、エルフ:黄色、獣人:紫、魔族:黒

 となる。しかしほとんどが魔物しかコアは流通していなく、色でわかって仕舞うので青以外のコアを持っていたら他人に怪しまれる。(神聖カルットハサーズは例外)
 また宝石との違いは魔力があるものは一発でわかるので宝石とコアの違いを間違えるのは魔力がないものだけである』

 マジかこれよく異世界召喚の時にある【鑑定】とかなのか。(違う)なんかこれがあればこの世界でやっていける気がしてきた。

 にしてもコアか、倒したスライム達のを全部集めておいた方が良さそうだ。

 「伸さん朝比奈さん、このビーズみたいなもの集めて貰えませんか?なんかこれ金になるっぽいんで」
 「そうか……生きていくための金になるのか。なら集めないとな」
 「OK、任せてよ。コンビ二のバイトでガキが零した菓子の片付けで慣れてるから」

 出た! コンビニあるある
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