遑神 ーいとまがみー

慶光院周

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第2章

解毒剤(仮)

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……よし、やっと完成した。後は使えるかどうかの問題だけだ。





 ロザリアントがここの生活に慣れてきた頃、今日も今日とて育て甲斐のある生徒の相手をした後、決闘を言い渡され完膚無きまでに叩きのめす。
 何時ものように周りからヤジが飛びまくり、毎度お馴染みの新月の差し入れを五十嵐拓也とその仲間が食べ尽くし新月が激情を表すのを抑えてた。これで今日も仕事が終わった。

 その後、新月は五十嵐拓也に剣の稽古を見せてやると言われ連れて行かれ、ツァスタバとハリスは一緒にゲルを目指し歩いていると下働きの人間に声をかけられた。二人は城へ行き、私一人で帰ることとなった。
 2人を待ってコーヒーを淹れていると入り口から物音がした。見ると両手にいくらかの麻袋を抱えたツァスタバとハリスだった。

 「これは?」
 「下働きのものが私達にギルドの依頼ばかりで食料を買う時間が取れないだろうからと」

 紐を緩めると出てきたのはこれと言ってなんの変哲も無い根野菜だった。

 「そうか、なら少し貰うぞ」
 「は、はい」
 「しかしマスター、野菜など何に使うおつもりで?……は、まさか!」

 麻袋を順々に開けていくらか拝借するとツァスタバが何かに感付いたように声を荒げた。それを聞いてハリスもはっ、と顔を上げた。

 「いや腹が空いたから野菜炒めでも作ろうかと思っただけだ」
 「な、なんだ~……」
 「あ、ああ、でしたら私が」
 「いやこれぐらい一人でやる。それよりお前達はロザリアントを手伝ってやってくれ。今日は他にも済ませておきたいことがあるからな」

 窓の外に視線を向ける。外の庭では昼用の淡い色合いの仕事着に室内帽を身に付け意気揚々と土弄りをしているロザリアントがいた。まだ納得していない様子の二人だったが断る程嫌ではないらしくすんなりと従う。
 二人にロザリアントの手伝いをさせている間私は野菜炒めを食べていると新月が修羅のような顔で戻ってきた。

 「早い帰りだったな」
 『誤解を招くような言い方はやめれ。あいつらがあのじゅげむの女騎士と話している隙に逃げてきたんだよ。あー疲れた。俺休む!』
 「いやこれから出掛けるぞ」

 あらかさまに嫌そうな顔をして恒例の床に穴を開けるイベントをした新月を仰向けにすると三人が戻ってきた。

 「次まだやることがあるんだから動け。お前達全員外に出ろ、ゲルの外ではなく庭だ」

 新月を引きずって立たせると【無限の胃袋】からとあるものを庭に向かって取り出す。出てきた物はというと―――



 「これは……馬車ですか?」
 「そのように見えますわ。ご主人様これはいつの間に作ったのです? それにしても……

 「「「『ギンギラギンの悪趣味一歩手前   (だね)(ですね)(ですわ)」」」』
 「ああ、この前城を散策していた時に見た王族用の馬車を装飾取り外して創った物だからな」
 「それでこのギンギラギンですか? うわー……引きますね」
 「はい、お里が知れるというものです」
 「ええ、ツァスタバの言う通りです。この馬車の元になった物は純金製でしょう。引くのに馬が何頭も必要だったのでしょうね。 
 しかしこれは私が見たところ金……ではなく金色に輝く蔦で出来ています。飾りっ気はないですがそれで正解ですね。装飾を取ったとはいえ蔦自体が装飾性がありますから」
 『ま、これぐらいならクロの馬車としては合格かな? ちょっと置いて置いたら無くなりそうだけど。というかクロもやっぱり戦車が必要か~? とか考えてたけど馬車できたか~これは予想外だぜ』
 「戦車なんぞ要らん。あとその事に関してなら心配ない。これは全員で移動する時のみの非常用だから普段は眠らせておくつもりだ」

 四人が四人とも口々に私が出した馬車に文句を付ける。
 五月蝿い、私だってこんな目立つ物創りたくなかった。だが仕方ないだろ。城に来る馬車、来る馬車全てが金やらなんやらで鬱陶しい物ばかりだったんだ。
 これでも王族用のは金のみでまだマシなんだぞ。殆どの馬車は全て金は無理だからと絵が描かれていて純金製よりも色の暴力が酷かったんだからな。

 『で、お馬ちゃんどこ?』
 「そこが問題なんだ。普通のじゃ私が飼えないだろうし無理矢理眷属を増やすのも面倒だ。という訳で臨時にこれを引っ張って貰うのがこのアリアスだ」
 『どうも、アリアスです!』
 「「「『……鳩?」」」』

 ぺろっぽ……


 『鳩ではありません! しかし私の力不足のせいでせっかく蟻から進化出来たというのに小さくなってしまってこのサイズに……
 
 って無言で合掌しないで下さい! なんか余計に悲しくなるじゃないですか!!』

 登場してすぐ虐められて滝のような涙の川を流すアリアスが肩にとまった。五月蠅いので宥める。
 肩が湿り出した頃アリアスはやっと泣き止んだ。

 「まあ私が魔力を貸せばいいだけだ。アリアス頼んだぞ、今日のはお前との約束を果たすためなんだからな」
 『そうなんですか? ならお任せ下さい! 私アリアスはこの世界の主神、どんな些細なことも簡単に成し遂げてやりましょう!』
 「それは頼もしいな。で、約束だが何が欲しい?」
 『お花が欲しいです! 私の巣の見栄えを良くするために是非良質な物を!』
 「巣作りに使う花か? 了解した」

 アリアスがやる気の間に馬車―――いや馬ではないから鳥車としゃか。
 それに繋いで魔力がまたベコベコと削られていく感触を味わう。続いて新月以外を馬車へ押し込みスタシスで空を切り開き鳥車を操って進む。
 ここからは新月やアリアスが使っている【以心伝心】が世界を出た為、
 『“郷に入っては郷に従え”その世界にいったら例え神と言えどもその世界の法則に則って行動しなければならない』といったマナーが効かなくなり念話っといったものでの意思疎通となって念じるだけで届いて楽だと喜んでいた。
 だがこの二人は忘れている。こういったものは魔力、私達の世界などでは気力といったところのもので会話をしているので全く楽などしていない。つまり通常運転である。
 ついでにこの二人がこんなにも簡単に意思の疎通が出来ているのは他ならぬ《神》といった特別な存在であることを。

 やれやれ、自分達がどれだけ規格外なのかを覚えてほしいものだ。
 おそらくロザリアントやツァスタバの二人は神域に片足を突っ込んでいるから出来ないことはないだろうがハリスは魔法が一つも使えないだろう。
 教えてやるべきかと思ったが一回アリアスが使えず、私しか使えないような能力を使った私がこれを言うとでは私は規格外の化け物だと自賛してしまうことになるので喉の奥に留めておくことにした。



 『そういえばどこに行かれるんですか?』
 「異世界」
 『「「え、……い、異世界?!」」』

 まもなく目的地に着くといったところまで着た時そういえば、とアリアスが思い出したかのようにした質問にアリアスが驚き鳥車が急停車。乗り出したツァスタバとロザリアントの重さで全体が揺れた。

 「騒ぐな急に止まるな。危ないだろ」
 『いや驚きますって!! 私力弱いんで異世界とか行ったこと無いんですけど?! どれぐらいかかるんですか!』
 『えー、確かそんなに遅くなんないんじゃね?クロそこまで遠くいかんでしょ』
 「ああ、もう着く」
 「「「『早っ!!!」」」』

 驚く後ろと前の一羽を無視して目の前にある球体に切り口を入れた。そうして来た世界だが―――


 「『うわぁ~ーー!!!」』

 一人と一羽が歓声を上げる。そこにあったのは見渡す限り続く満開の花畑だった。

 ただ青空と太陽、満開の花畑に遥か遠くに見える木々、ここは異世界でも生き物はいない草木の楽園だった。

 『おお、異世界といえば不思議な雰囲気しかイメージがありませんでしたがこんな場所もあるんですね!』
 「いや、世界というのも生命が存在しない世界だってそう少ない訳ではないぞ。建物だけの世界もあるからな」
 「『まじか凄え! 行ってみたい!!」』
 「「マスター(ご主人様)!  まず百合を採取しておきました」」

 鳥車を降りてはしゃぐ二人を相手しているとツァスタバ、ロザリアントの二人が二人掛かりでも両手一杯になる程の百合を持って走って来た。一体いつの間に、しかも新月まで何処かに行った。
 ふと目を離した隙に見慣れた白髪はどこにもおらず人型に戻って何処かに飛んで行っていた。早く探し……

…………………………
………………
………


……いやあいつの事だすぐに戻って来るだろう。軽食でも食べて待っているか。

 徘徊ババアを放って全員でこの広々とした世界にランチマットを広げる。座るといつの間にかツァスタバとロザリアントがランチマットの上に所狭しと皿を並べる。

 柿、クリームチーズさらに生ハムで巻いた一品。
 それと新月が買って一回使ったまま封が開いて放置されていたホットケーキ●ックスで作ったというサーターアンダギー。
 他、レモンで味付けしたオリーブの実、王都で買って余ったネクタリンを乗せたプレートと出現して見せる。

 二人は大した物が出来ていないと首を振っていたが柿とクリームチーズ、生ハムの一品はクリームチーズのモッタリとした風味が柿と敵対せず生ハムの塩気で全てが喧嘩をしておらずサーターアンダギーはホットケーキ●ックスで作られていたので少し甘かったがケチャップをつけると甘さが抑えられて十分美味しかった。



 ひとしきり食べ終わるといったところで嫌な予感を感じ取る。後ろを振り向くと豪速球に等しい速度で白い物が私目掛けて飛び込んだ。

 「っ、うぐ……!」

 一瞬遅れて痛みが全身に行き渡った。突撃される前にどうなるか分かっていたので吹き飛ばされるようなことはなかったが。
 懐に飛び込んで来た豪速球を捕まえると青白い頭が縋り付いていた。これはもしかしなくてもあいつか、
 
 「……、新月か?」
 『おう! 君のだけのアイドル、新月ちゃんだZE☆クロ見て、これ見て、ヒスイカズラじゃないの?』

 白い塊を引き剥がそうとするが抱きついたまま離れなかった。
 新月が根っこごと持ってきたのは薄緑に輝く網目のように編まれ球体を描いている花だった。確かに見た目は美しいだが―――

 「残念だがこれは【ユンチャオ】という花でヒスイカズラでは無いな」

 ただ貴重なものに変わりはないぞと付け加えるが違うと知った途端のへこみ具合は大きかった。
 大きな翼はどさりと大きな音を立てて花びらを舞い散らせ、満面の笑みが花が枯れる様を早送りで見ているように萎れた。歩くのに邪魔だと離そうとした。が、私にくっついて離れない。
 大きな溜息が出る。仕方ない、このまま動くか。
 引き剥がすのを諦めると前に買った図鑑を出しす。薬品の素材となる植物のページをめくりながら全員に指示を出す。

 「アリアス、お前は欲しいものを取ってこい。取り過ぎない程度にな」
 『別行動ですか?!』
 「私達と行動するか? 歩き回ることになるぞ」
 『謹んでお受けします!』
 「あとは私と素材を集めるぞ。ロザリアント、お前の出番だ。先程のようにやってヒスイカズラと優曇華、莎莎羅竹は……むこうにあるからいい。その二つを捜索していてくれ」
 「かしこまりました。ご主人様」

 鳩が足早に飛び去って行くのを見送り私は素材の残りの二つを探すようロザリアントに指示をする。
 二つ返事で答えたロザリアントは草を掻き分け硬鞭を土に差し込む。差し込んだままロザリアントが何やらぶつぶつと唱えると地面から柔らかな緑の光が湧き上がった。

 光が花畑を照らすその幻想的な様子に私に抱きついていた新月も目を輝かせながら眺める。
私も読み終わった図鑑を閉じて他の三人同様に光が消えるまで待っていると花を透かす程強い輝きが大地から湧き出し二本の矢印を作っていた。

 「特定しましたわ。ご主人様ヒスイカズラ、優曇華共々すぐご案内できますがどちらから先に採取しましょうか?」
 『どちらから……でもないでしょ!! ロザりん先のなんなの?! ロザりんまで俺差し置いてチートとか泣けてくるんですけど――!』
 「そうですよ! 何やったらああなるんですか!」

 閉じていた瞼をゆっくりと開いたロザリアントは何もなかったかのように先へと進み始める。
 が、ここで新月とハリスが殆ど絶叫に近い声を上げる。驚くロザリアントを無視して肩をガシッ、と掴み揺らすことで白く映えたフリルが若草のように揺れた。あまりやり過ぎるとロザリアントが首を痛めるぞ。

 説明、説明と騒ぐ新月とハリスを引き剥がずとロザリアントは乱れてた服装を正す。だが知りたがりな二人が我慢する訳がなく教えて欲しいという声は止まらない。
 落ち着いたロザリアントはやれやれ、といった困り顔で理解が出来ていない二人にステータスやらなんやらを展開し読み上げた。


ーーーーーーーーーー
 え、いきなり仕事作らないで下さいよ!   いや、やりますけど!


ニンフ  【ロザリアント】

 異界の神の手により【アングルール】という黒い皮の中に琥珀色の果肉を隠した異界の果実を使い特殊スキル【生命の息吹】で創作した超ド級のニンフ。
 実力は神自らがら作り上げたため土属性植物系魔法を自在に操り花を活かしたりも殺したりも意のままに操ります。
 また土属性から生まれた果実から作られた為土の上にいて尚且つ離れた陸にいない限り本生命を持ったものの場所を特定出来るといった力を持つ神に近い存在。


 今は武器を得た為、悪魔にも等しい。ってか怖い。私よりも強いしカッコいいしなんなんですか! 
 べ、別に羨ましくなんかないんですからね! というかクロノス様の方が詳しいじゃないですか、そっちに聞いてくださいよ!
ーーーーーーーーーー


**********************

【Name】ロザリアント

【種族】精霊、ニンフ

【性別】女

【年齢】0

【Lv】2   

【称号】メイド、神々の従者、粗野の妖精、恩寵与えし者
        
**********************  

【体力】25
【魔力】4759
【攻撃力】10   (+90、100)
【命中率】50
【知力】50
【素早さ】60
【精神力】789
【運】50
***【装備】***************

【装備】
武器   :硬鞭:キコク(攻撃力+90)

頭    :ホワイトブリム、(髪についているのは元になった素材の為含まれず)

耳    :なし

腕    :無し
     
上半身  :黒い給仕服 、エプロン、ガーネットのブローチ

下半身  :ドロワーズ、羊毛の黒いストッキング
            
靴    :ピンヒール

手持ち品 :室内帽、昼用仕事着、ローファー

***【スキル】***********
【樹木の檻】【成長促進】【植物の声】
***【特殊スキル】*********
【土砂災害マッドサイド【地盤沈下 グラウンド・サヴサレント】【天獄両樹】【大地の声】
【世界の図書館】【無限の胃袋】【裁縫と裁断】【鑑定】

*******************
職業:メイド
**********************
 

 レベル2でこのばらつきは元になった素材がツァスタバとは違うからだろうか。体力は一発で死ぬレベルなのに魔力と攻撃力が強いから一発で勝負をつけれればレベルが低くても勝算がある。能力は土属性と植物系が多いのは元が葡萄だからだろうがそれなりに使えそうだ。

 『え……? 俺ってボンクラ?! ロザりんに負けた~。というか何気にロザりんの元がただの葡萄じゃなかったことがショック!』
 「なんだ新月お前知らなかったのか?というかロザリアントの元素材見ていなかったのか』
 『外側だけで判断なんて付きません!』
 「そうですよ、ただの葡萄と見た目大差ないですもん!」
 「お嬢様、あれはお嬢様が世界の狭間にある店で買ってきたと言っていたものですよ」
 『マジか?! 記憶無ぃぃぃいいい』
 「うぉおお……。(で、でもいつか俺も!)と、とりあえずこの尺取虫どうしますか?」
 「引きずって持っていく」

 ついにこのアホは呆けが始まったらしい。
 花の絨毯の上で手足を子供のようにジタバタとさせるアホにツァスタバが事実を言ってK,Oとなった新月を背負いロザリアントの案内を受けて先を急いぐ。


 まず初めに取りに行ったヒスイカズラは少し温暖な場所行くと藤のように垂れ下がったものが何本もあったのでそこから拝借する。
 優曇華はそれより先にあった湖の中央にぽつんとあった小島に白く光る花がありそれだと言われた。これは一本しかなかったので種だけ貰ってきた。それからも藤やらススキ、萩や梅、桜、桃といった木、
 インティビザ、極楽鳥花、棕櫚竹、アロエ、オリーブといったものからホット・リップス・プラントといわれる唇のような花を咲かせるもの。
 ドール・アイという目玉のような花、ハロウィン・トウガラシという紫、オレンジなどの色をした鑑賞植物まであったので少しづつ貰って【無限の胃袋】に放り込んでおいた。

 来た道を戻りアリアスと合流するとこちらは欲張って口から花を生やした姿で現れたので預かってやり、再び鳥車に乗って植物だけの世界を出る。
 しかし今度は新月が私達が元々いた世界に買い物に行きたい。と騒ぎ出し急遽鳥車の向きを180度変えて走らされた。おかげでアリアスがただえさえ無い体力やら魔力やらを使い切って私が補充する羽目になった。

 疲れた。
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