12 / 32
Chapter1:名探偵と美少女と召使い
事務所
しおりを挟む真凛亜ちゃんのおかげで無事大通りに戻れたオレは、その足で探偵事務所に向かった。
「やあ、そろそろ戻ってくる頃なんじゃないかなと思っていたよ。・・召使いくん」
もちろん探偵自身が先に戻って来ているという保証はなかった。
けど、探偵はまさに待っていたと言わんばかりで部屋の奥にある一人用の肘掛け椅子に座っていた。
そして、その椅子の真横にはサイドテーブルもあった。
そのテーブルには真凛亜ちゃんにも出したあのティーセットが置いてある。
…優雅にお茶でも飲みながら待っていたと、探偵はそう言いたいのだろうか。
でも、余裕でいられるのも今のうちだ。
…真凛亜ちゃんのためにも、確かめなきゃいけないんだ。
「アンタ…本当は全部、知っていたんじゃないですか?」
「・・・何が言いたいのかな。」
「真凛亜ちゃんのことですよ。本当は、何もかも知っていた上で依頼を引き受けたんですよね?」
「ッ!」
オレがそう言うと、探偵は一瞬だけ驚いた素振りを見せた。
すると、手に持っていたカップをサイドテーブルに置いて、そのままゆっくりとオレに近づいてきた。
じりじりと縮む距離に怯みそうになるも、オレは負けじと言葉を続ける。
「…否定、しないんですか」
探偵はニヤッと笑うだけ。
ああ、そうか。
思えば始めからおかしかった。
…真凛亜ちゃんが依頼に来る時点で、オレは違和感を覚えるべきだったんだ。
「・・それで、召使いくんは私にどう答えて欲しいのかな?」
「オレは答えなんて求めていません。ただ、真凛亜ちゃんには本当のことを話してあげてください」
「…キミは聞かないのか」
「元々オレは部外者です。それにオレの聞きたいことはもう聞きました。それ以上は聞く権利なんてありませんよ」
「変わった子だね、普通ここまで色々と感づいていれば、問い詰めてでも無理にでも聞き出そうとするだろうに」
「・・・・・誰にだって、触れて欲しくないことくらいあるでしょう」
…オレにだって、それはある。
だからこそ、分かってしまう。
「…そう。召使いくんは随分と聞き分けが良いんだね。」
「・・・いけませんか」
「いや、否定するつもりはないよ。・・ただ、生憎だけど私はそうじゃないんだ」
「どういう意味ですか?」
「ほら、召使いくんはまだ私に本当のことを話してくれてないだろう?」
「…はい?」
探偵の言いたいことが良く分からない。
何故このタイミングで、オレの話になるのか…理解が追いつかなかった。
「実はね、ちょっと興味あるんだよ。召使いくんが今日初めて会った女の子に対して、何でそこまで感情的になれるのかなって」
「!あんた、まさか…ッ!」
「真凛亜ちゃんためなら、教えてくれるよね?召使いくん」
「ほんと…最低、ですね……」
笑顔の奥にある黒い思惑に、オレはただただ言いなりになるしかなかった。
これも全て探偵の読み通りというなら、この人は本当に本物かもしれないと、そう思わずにはいられなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる