令和の名探偵シャーロック・ホームズ

本音云海

文字の大きさ
22 / 32
Chapter1:名探偵と美少女と召使い

依頼人

しおりを挟む
 

「…それで、あなたは引き受けたんですか。その依頼を」

「もちろん。断る理由もなかったしね。それに、アテもあった」

「アテというのは…警察のことですか?」

「ご名答。まぁ…その辺りは各々話すとして、とりあえず続きを話そうか」



少なくとも私が抱いたその違和感について、現時点では確かめる術はない。

とにかく今は情報が必要だった。

彼がどこまで知って、それをどこまで話してくれるのか、そして、その上で何を隠そうとしているのか、私は見定めなければならない。



















「・・・分かりました。依頼を引き受けましょう」

「っ!!本当かッ!」

「…えぇ。ただ、それには一つ条件があります。」

「な、なんだ…金か?か…金なら、いくらでも出すぞ」

「ああいや。報酬の件もそうですが、それ以上に貴方には出してもらいたいものがあるのです」

「・・か、金以外に何を出せと…」

「…もちろん、情報ですよ」

「じょ、情報…?」

「そうです。依頼を引き受けると言った以上、その言葉に二言はありません。必ず、貴方の依頼をやり遂げてみせると約束しましょう。」



そして、私は釘を指す意味を込めて更に言葉を続けた。



「だからこそ、その為にも先ずはが不可欠なのです。私の言っている意味…お分かりですね?」

「・・・・・」



広樹さんの目は微かに泳いでいた。

どうやら今は、まだ全てを話してくれそうにはないらしい。

…が、釘は刺した。
少なくとも今は、これくらいで十分だ。



「では、交渉成立ですね。私の携帯番号を書いた紙をお渡ししますので、何かお分かり次第ここに連絡をください。どんな小さな事でも、構いません。もしくは…思い出した事でも構わないので、逐一連絡をお願いします」

「・・・・ああ。それと、だ…俺もアンタに渡すものがある。」

「!渡すもの…ですか?」



すると、広樹さんはポケットから一枚の写真を取り出した。

そこには一人の女性と、一人の少女が写っている。



「・・・人探しだ。一応、写真は必要だろ?その写真の裏には、俺が知っていることを全て書き記している。よかったら参考にしてくれ」



写真を受け取った。
その裏には確かに彼の言う通り沢山の文字が殴り書きで書かれてある。


「!へぇ…」


それを見た瞬間、思わず笑みが溢れた。


「…何がおかしい?」

「おっと失礼。なぁに、大したことじゃありませんよ」

「・・・どういう意味だ」


彼は険しい顔付きでそう聞いてきた。
というより、不機嫌そうな顔付きと言った方がここは正しいか。

まぁ彼からしてみれば写真を見て笑われたか、もしくは裏の殴り書きの文字の汚さを見て笑われたか、そのどちらかだと思ったのだろう。

どっちにしろ彼からしてみれば私の仕草は、かなり不愉快だったに違いない。
そこは反省すべきだ。

とはいえ、反省こそすれど私の答えは変わらない。

ついつい笑みが溢れてしまうほど、その写真には私の求めている答えがあったのだから。



「ーどういう意味と、おっしゃいましたね」

「?何が言いたい?」

「いやね、質問を質問で返すのはいささかどうかと思いますが…こう言わざる得ないんですよ。ー広樹さん、貴方はこの写真を



それは、茶髪のロングヘアの女性が愛おしそうに女の子を抱いている写真だった。

いや女の子というのはいささか早計かもしれない。


「…広樹さん。貴方、先程こう言いましたよね。3歳の娘だ。と…」


その瞬間、彼の顔はみるみると青ざめていった。

どうやら彼自身もことの重大さに気付いたようだ。

…だが、容赦はしない。
私は畳み掛けるように言葉を続けた。


「…この写真、どう見ても赤子だ。服装から見てかろうじて女の子と推測は出来る…が、何故あなたは3歳の娘だと言っておきながら3歳の女の子とは到底思えない赤子の写真を携帯しているのですか?」

「!そ、それは………」

「ああ、それとこうも言っていた。居なくなったのは、だとも…つまり貴方はひと月ものの間この写真を使って、人探しをしていたということになる…。それは、何故ですか?」

「……っ……」


もはや黙るしかなかったのだろうか。

唇を噛み締め、足を上下にただひたすらに動かしていた。
…酷い貧乏ゆすりだ。

これはおそらく彼の意志の表れだろう。
焦り、苛立ち、…そして、迷い。

やはりというか、これは心配からくるものではないと私は今度こそ確信した。

…出来ればそれは私の予想と反して欲しいものではあったが、十中八九間違いないだろう。



「答えたくないというならそれもまた一興。だったら、無理にでも、答えるしかない質問を投げかければいいだけのこと…」


以前、黙ったままだったが鋭い眼光で睨み付けてくる彼。
けど私は一切怯むことなく彼の前に立ち、はっきりとこう言ってやった。








「簡単な質問ですよ。ーーそうですよね?誘拐犯の…広樹さん?」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

不思議なショートストーリーたち

フジーニー
ミステリー
さくっと読める短編集 電車内の暇つぶしに、寝る前のお供に、毎日の楽しみに。

25年目の真実

yuzu
ミステリー
結婚して25年。娘1人、夫婦2人の3人家族で幸せ……の筈だった。 明かされた真実に戸惑いながらも、愛を取り戻す夫婦の話。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...