運命の番じゃないあなたを愛している

12．仕組まれた罠

最初は婚約者の存在を理由にメイリンからのアプローチを断っていたレイモンドだったが、女の色香を勾わせてやればすぐさま彼女の身体を求めるようになった。
いつまで経ってもヒートが来ない欠陥品のオメガに性的なフラストレーションを溜めていたレイモンドを誘惑するのは赤子の手を捻るよりも容易だった。

だが、どこまで行ってもメイリンは浮気相手という枠を抜け出せずにいた。
それが如実に表れてしまったのは皮肉にもソニアにレイモンドとの関係を知られたあの日だった。

すぐにでも別れてほしかったが、ソニアに関係を知られてもなおレイモンドは全く行動を起こさなかった。

痺れを切らしたメイリンは愚兄を使って、2人の仲を裂くことにした。
口説いても袖にされていたフウはソニアを逆恨みしている。
それを利用して、ソニアを軍内部で陥れることを画策した。
有罪だろうと無罪だろうと、懲罰委員会にかけられた時点でメイリンの勝利は確定していたのだ。

レイモンドとソニアは運命の番であったが、婚約は周りに公表していなかった。
身体の関係を持つに至ったメイリンですら、3度目の情事の最中にお得意のベッドテクニックを活かして、ようやく口を割らせたのだ。

それほどまでに秘密にしていたのには理由があった。
彼の母親であるリディオン公爵夫人の存在だ。